Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

アカウンティング/会計の教科書 (2) 〜ファイナンスへ〜

実践的な会計の本として、最も面白くためになったのが山根節氏による「ビジネス・アカウンティング―MBAの会計管理」である。

  • 会計は経営の写像
  • 企業家にとって財務諸表が読める(財務諸表からその裏側にある経営をイメージする)会計リテラシーは必須
  • 会計リテラシー・センスを養うには、理論ではなく実物の財務諸表と格闘すること
このような考え方に基づき、この本は現実の財務諸表によるケーススタディとなっている。第5章にあるメーカーの事例が本書の真骨頂であり、3期にわたる財務諸表からその裏にある経営管理を鮮やかに描き出す。

ただ会計のことをまったく知らないまま、いきなりこの本に取り組むのはタフだと思う。最近、同じ著者による「経営の大局をつかむ会計 健全な”ドンブリ勘定”のすすめ」が出版された。背景にある考え方は前著と同じであるが、より初学者に向けた入門書に位置づけられる。トヨタソフトバンク楽天など今をときめく企業の財務諸表が「健全なドンブリ勘定」で紹介・分析される。

ビジネス・アカウンティング―MBAの会計管理 経営の大局をつかむ会計 健全な”ドンブリ勘定”のすすめ (光文社新書)

アカウンティングを学ぶために、いろいろな本に手を出した。もしかしたら、ここまでに挙げた数冊だけで十分だったのかもしれない。だいぶ回り道をしているのかもしれない。そう感じつつ、拾い読みしたものも含めて、いくつかの落穂拾いをしていこう。

実際の財務諸表・有価証券報告書から会社を読む事例が豊富なのが「ビジネス・ゼミナール 会社の読み方入門」。とても参考になる。そろそろ改訂版が出て新しい事例が紹介されないだろうか。

経営指標を整理し、視覚的に説明した本として重宝するのが「マネジャーのための経営指標ハンドブック―財務諸表、ROE、キャッシュフローまで」である。英国会計であるため、B/S の項目の順番が違ったりするが、財務諸表を大枠としてとらえ、図表として整理されているのがわかり易い。

英文会計ということであれば「エッセンシャルズ・オブ・アカウンティング―英文会計の基礎」が定番らしい(新版が出ている)。なるほど穴埋めにより会計の基本を忠実に学んでいけそうである。ビジネススクールの事前図書となっているのもうなずける。ただし左のページの天地が逆になっている装丁はどうかと思う。

経営者自身が会計の重要性を示した本として稲盛和夫稲盛和夫の実学―経営と会計」が面白い。「会計を知らずして経営はできない」ことを説く。稲盛氏の本は何冊か読んだが、その真摯な経営哲学には心打たれるものがある。

ビジネス・ゼミナール 会社の読み方入門 マネジャーのための経営指標ハンドブック―財務諸表、ROE、キャッシュフローまで エッセンシャルズ・オブ・アカウンティング―英文会計の基礎 稲盛和夫の実学―経営と会計

僕は技術部門から事業部門に異動してようやくアカウンティング・会計と会社運営の結びつきを理解した。非常に恥ずかしい限りであるが、研究者やエンジニアにとって、会計が遠い存在であることも事実である。このギャップを埋めるために僕自身が読んだ会計読本として田中靖浩氏の3部作「実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営」「実学入門 不景気に効く会計(クスリ)―会社の問題をみつける財務会計編」「実学入門 儲けるための会計―強い経営をつくる管理会計入門」を挙げる(第1作目は改訂版が出ている)。マクドナルドの100円バーガーの例のように、新聞記事の背景にある会計の考え方が易しく紹介されている。

実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営 実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営 実学入門 不景気に効く会計(クスリ)―会社の問題をみつける財務会計編 実学入門 儲けるための会計―強い経営をつくる管理会計入門

アカウンティングからファイナンスへ。ファイナンスの教科書は既に挙げたが、アカウンティングからの橋渡しになる教科書がある。まずは「新版 ファイナンシャル・マネジメント ― 企業財務の理論と実践」。Brealey とMyers の分厚い2冊組に行かなくてもファイナンスの基礎が学べる。一方、日本語で書かれたものとしては「ビジネス・ゼミナール 経営財務入門」が定番であろう(こちらも改訂版が出ている)。さまざまな概念の確認のために、辞書代わりに使っている。

ファイナンス読本として、毛色の変わったものとしては「ムーディーズの財務アドベンチャー 戦略投資・リスク分析」がある。昔流行ったアドベンチャーゲームブック仕立てになっており、主人公とともにいくつかの事例を経験していくことで、ファイナンスの基礎が学べる。僕個人としては非常に面白く通勤電車の中で読んでしまったが、人によって好みは分かれそうである。

新版 ファイナンシャル・マネジメント ― 企業財務の理論と実践 ビジネス・ゼミナール 経営財務入門 経営財務入門 (ビジネス・ゼミナール) ムーディーズの財務アドベンチャー 戦略投資・リスク分析

気軽に始めた読書レビュー/思い出話だったが、意外と時間がかかってしまった。よかったのは読書歴を振り返りながら、拾い読みをすることで、さまざまな概念・経験を思い出せたこと。これにより改めて自分の理解度を確認し、今後どういう方向・分野の勉強をしていくべきかを考えることが出来た。その一方でこういう文章を書いているくらいなら、その時間をもっと別の仕事や別の本の読書にあてることができたのではないかという思いもある。「過去を振り返るよりも、今を見つめよ。将来を考えよ。」である。