Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

平野啓一郎「本の読み方 スロー・リーディングの実践」

読んだ本の内容が身につかなくなった。せっかく読んだのに、内容を思い出せないことがある。せめて感想だけでもメモしておこうと思って、ブログを始めてみたが、状況はあまり変わっていない。記憶力の低下もその一因ではあろうが、それよりも、本をフローとして扱い、ストックとしていない読み方に原因があるような気がする。一冊の本を読み終えると「ああ、こういうことも知らなかった。だから今度はこういう本を読んでみよう。」知識欲が先行して、次々と新しい本を手にしてしまう。反芻していない本の内容が身につかないのは当然かもしれない。

平野啓一郎の「本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)」は、僕のこのような読書法に対する警告の書。反省させられた。「『量』の読書から『質』の読書へ、網羅型の読書から、選択型の読書へ」「速読家の知識は、単なる脂肪である」「速読とは、『明日のための読書』である」「それに対してスロー・リーディングは、『五年後、十年後のための読書』である」こういったメッセージを噛みしめている。

僕自身はいわゆる「速読法」には否定的だし実践もできない。「これは大切」と思う箇所には線を引きながら読んでいく。スロー・リーディングの実践者である。しかしそれは表層的だ。実際には読んだ内容がどこかに流れ出ていってしまう。

要するに、大切な本を繰り返し読んでいない。そしてもっとも重要なことだが、読みながら自分の頭で考えていない。著者と議論していない。真の意味でのスロー・リーディングをしていないのである。

これはふだんの仕事の進め方が影響を与えているように思う。確かに、ビジネスのスキルとして、素早く情報を入手して処理をすることは必要である。要領よく起こっている現実のあらましをつかみ、判断を下すことが要求される場面が多い。しかしこれを繰り返していると、せっかく仕入れた情報が身につく前に、新しい情報でそれを上塗りしてしまう。そして忘れてしまうのだ。

その一方で本当に大事なことについては、じっくり考える。あるいは人と議論する。そして判断を下す。

本も同じである。読み飛ばす本(フロー)とそうでない本(ストック)を見極め、後者についてはスロー・リーディングを実践しよう。自分の頭で考えること。議論すること。「自分にとって大切な本を大切に読む読書」を心がけていこうと思う。

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)