Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

小さな組織で働き、経営者として成長する

以前、グループ会社に出向している従業員の面接をしていて嬉しく思うことがあった。

「小さな会社なので仕事の範囲を自分で規定してしまうと何もまわらなくなる。事業部本体にいるときは、お客のことは営業担当、設計や実装は開発担当など、他の人にお願いすればよかった。今は自分のやる仕事の範囲を相当広げないと、ものごとがまわらないし何も起こらない。それを経験することで自分自身が成長した。もちろん、最初は死ぬ思いだったけど。」

そう言ってくれる人がいたのである。人事は適応力・サバイブ力などを勘案して注意深く行っているつもりだが、思い切って「可愛い子に旅をさせて」よかった。

実は同じことが僕自身についてもあてはまる。今、小さいながらも事業部の長ということで経営に携わっている。事業部長は、営業・技術という機能を越えた判断基準で意思決定を行う。複数の事業にまたがって全事業部門としての戦略を立て実施する。その中には事業提携なども含まれる。グループ会社管理の一環として、グループ会社の取締役になったり、資本政策を検討したりする。経営に関わるさまざまな業務を遂行し、戦略立案・遂行、マーケティング、アカウンティング、ファイナンスなど必要なスキルをスピーディに身につけていかなければならない。自ら仕事を作り、自ら学ぶ毎日である。

さらに僕は小さいベンチャーの社長もやっている。これは事業部長とはまた違う経験である。事業部長は組織の一員であるが、社長は違う。社長は最後に判断する人であり、後ろにボールをそらすことはできない。そして判断の際に誰にも相談できない場合が多い。

社長としての大事な仕事にキャッシュフロー管理がある。小さな会社だと、今手元にいくら現金があるのか、金庫の中身をチェックして、銀行の預金通帳とにらめっこすればすぐにわかる。キャッシュが増減が一つ一つの取引に対応して、「現実」としてとらえられる。儲かっていればキャッシュは増えるし、そうでなければキャッシュは減る。キャッシュフロー経営の重要さが皮膚感覚でわかる。

このように小さいながらも社長を経験することにより、経営者としてのセンスとスキルを磨くよい機会となっている。これは僕個人だけではなく、一般的なこととして、経営者を育成する有効な手段の一つではないかと思う。ところが社長経験というのはなかなかできるものではない。大手の商社や広告代理店などを見ていると、新規事業開発を行う際には新たに子会社を作り、プロジェクトリーダがその社長となっている。社長経験を若いうちに積ませることによって、将来の経営者としての人材を育成しているのだと考えられる。

実際に社長や事業部長にはならないまでも、そうなったことを想像して、経営の視点でものを考える訓練はできそうだ。ただ高い目線でものを見続けるには、強い意志力が欠かせない。よほど優秀な人でないとむずかしいだろう。結局のところ、経営の現場に放り込まれて無我夢中で泳ぐ、というのが一番の上達の早道ではないだろうか。となると、経営に近い仕事を早い段階で任せていくことを考える必要がありそうである。