Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

OpenSocial にみる Google 経済圏の拡大と、境界領域で生きること

OpenSocial により、Google は多数の SNS に対して、その広告ネットワークを拡大することになる。SNS サイトにおける人脈のネットワークや SNS 会員の活動状況をもとに、Google は広告配信をすることができるようになる。

SNS サイトは、Google のキーワードやコンテンツマッチとは異なった独自の広告システムを作ることが可能である。たとえば Facebook Ads はそのよい例であろう。だがこういう広告システムを、もし自前で持たないのだとしたら(Google の広告システムをそのまま採用するのだとしたら)、SNS サイトは自社の会員ベースを Google に広告対象として渡してしまうことになる。

一方 OpenSocial API の開発者側。もしそれが魅力的なサイトであれば、SNS の会員を誘導することで活性化するだろう。しかしこれも結局のところ、Google の広告経済圏の拡大促進の一端を担うことに他ならない。OpenSocial 開発者側サイトの収入モデルは広告になるだろうし、きっとそれは Google を採用することになるだろう。Google は標準 API を提唱することにより、ますますその広告ネットワークを拡大するのである。

Google は不得意だった領域に、標準 API・プラットフォーム化という得意な形で参入した。ソーシャルサービスの OpenSocial しかり、携帯電話(ハードウェア)における Android しかり。クローズド・ネットワークで入れなかった空間を API という形でオープン化し、自社広告ネットワーク傘下に収める。正しい戦略である。

当面磐石に見えるこの Google の広告収入モデルの存在があるからこそ、梅田望夫


主にパブリック空間を舞台とするウェブ2.0の本質は「経済のゲーム」よりも「知と情報のゲーム」である。(「ウェブ時代をゆく」 P.48)
と言うのである。Google の作り出すバーチャルな経済圏が、知と情報の「もう一つの地球」を作り出す。「経済のゲーム」に 100% 背を向けるわけではないが、広告経済を原資として知と情報空間が広がる方、つまり「知と情報のゲーム」に注目して、個としての新しい生き方・働き方を考えることを梅田は促す。

僕らのような「電機メーカーのネットビジネス屋」はバーチャルな世界とリアルな世界の境界で、その橋渡しをする仕事をしており、そこに事業機会と意義を見出そうとしている。両方の地球を眺めながら「経済のゲーム」に参加して、組織として自分たちの価値提供のあり方を考えている。今まであまり強く意識したことはなかったが、あんがい希少な存在なのかもしれない。