Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

海堂尊『ジーン・ワルツ』『医学のたまご』

少子化が問題になる中、僕の周囲では産婦人科が減ってきたと感じる。長男が生まれた総合病院の産婦人科がなくなったので、次男の時は別の病院を選んだ。また知り合いからは、産婦人科になかなか診てもらえないという話もよく聞く。高齢出産だとかかりつけになってもらえなかったり、双子だったりすると診察さえもしてもらえなかったり。

海堂尊の最新作 『ジーン・ワルツ』は、産婦人科医療の現場に内在する問題を鋭く提起する。彼の小説では毎回個性的なキャラクターが大活躍するが、今回は「クール・ウィッチ(冷徹な魔女)」と呼ばれる女医が主人公である。彼女を通して、不妊治療・人工授精・代理母といった現代の産婦人科医療に関わるさまざまなテーマについて、現場の医師からの強いメッセージが語られる。

同じ著者による 『医学のたまご』はジュヴナイルだと思って積ん読状態だったが、『ジーン・ワルツ』を読んだ後に本を開いてみてびっくり。『ジーン・ワルツ』で生まれた赤ちゃんが、中学生になって活躍するのが『医学のたまご』だったのだ。そのまま一気に読み終える。最後まで読むと、この本は実は 『ナイチンゲールの沈黙』の続編でもあったことが判明する。

このように『チーム・バチスタ』シリーズは一つの小説として完結するだけでなく、連作となって相互にリンクして発展していくのが魅力でもある。結局、先週末は大好きな 『ジェネラル・ルージュの凱旋』 『チーム・バチスタの栄光』を図らずも読み返すことになってしまった。改めて読み直してみると、ミステリーとしてのプロットのよさ、キャラクターの強烈さが光るのは『チーム・バチスタの栄光』である。

チーム・バチスタ』シリーズを通して著者が主張する死亡時画像診断(Ai = Autopsy Imaging)の重要性・必要性については、ブルーバックス 『死因不明社会』にて詳しく解説されている。

このところたくさんの著作が出ている海堂尊。書きたいことがずっと溜まっていたのだろう。