昨日、横浜で開催された Google Developer Day 2008 に参加。仕事の都合で基調講演と Google App Engine のセッションのみを聴講したが、その熱気は初期の JavaOne を彷彿させるものであった。何と言っても参加者の年齢が若い。各セッションの様子は YouTube や Picasa にアップロードされるとのこと。
基調講演の内容をごく簡単にまとめておく。Google はオープンウェブのプラットフォームを提供し、アプリケーション開発者や利用者の皆さんと一緒に、エコシステムを作っていきたい。その「次世代ウェブ」は次の3つの C がポイントとなる:
- Cloud: よりアクセスしやすく
- Connectivity: ユビキタスに(どこにいてもつながるように)
- Client: よりパワフルに
Client(ここではブラウザをさす)では、リッチアプリケーションを実現する Gears を完全にオープンソースにして、あらゆるブラウザに対応させていく。
Connectivity の象徴は Android であり、モバイルのソフトスタックをオープンソースにしてプラットフォームとして提供する。僕は今回、Android のプロトタイプ実機でのデモを初めて見た。iPhone のようなタッチインタフェースによるワークスペースの操作や、携帯機にコンパスが組み込まれていて向きを変えるとそれに合わせて Google Map Street view が変わって見えるデモは印象的であった。(次の映像は 5月末にサンフランシスコで開催された Google I/O での基調講演の模様である。始まって 26分過ぎたところで Android プロトタイプ実機でのデモとなる。)
Cloud に関する今回の目玉は Google App Engine で、twitter でのつぶやき間の関係を示す TweetWheel やあとで読みたい Web ページを保存する LaterLoop が実アプリケーションとして紹介された。Python 以外への言語対応も鋭意進めているとのこと。データの保全、SSL などのセキュリティ面、DoS アタックへの対応など、ビジネス応用に向けてはまだ課題が多いと感じる。
上記の3つの C 以外の重要なポイントとして、ソーシャルウェブが挙げられ、OpenSocial が紹介された。2007年11月にリリースして以来、約半年で利用者が 2.7 億人、開発者 2 万人、アプリケーション数 5,000万になったとのこと。
アプリケーション開発をより容易にするために API の拡張も積極的に進められている。Google Maps API for Flash(デバイスで検知した情報をサーバにあげてフライトシミュレータのようなアプリケーションが作れる)、Google Earth をブラウザ上で動かすためのプラグイン API(地球上をどこでも旅する Monster Milktruck なるアプリケーションでは、エベレストや富士山にも車で登ってしまう)、API の RESTful 推進など。Java コードを高速な JavaScript にクロスコンパイルする Google Web Toolkit (GWT) は Ajax アプリケーション開発でかなり強力なツールになるかもしれない。