Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

学習の高速道路:クルーグマンの経済学の教科書と Web リソースが凄い

経済に関連する読み物や The Economist のような雑誌の記事を読んでいると、経済学の基本的な考え方が身についておらず、基礎の勉強不足を痛感する。本来なら定番のマンキューやスティグリッツの分厚い教科書を読んで勉強するのがあるべき姿なのだろう(米国の大学生は1年生の時にこういった教科書で基礎をたたきこまれるらしい)。

10数年前、『スティグリッツ入門経済学』(初版)を読んだことがあるが、入門編で終わってしまい、肝腎の『ミクロ経済学』『マクロ経済学』までたどり着けなかった思い出がある。今さら 1,000ページも超える教科書に取り組むのはハードルが高いし、現実的ではない。ということでスティグリッツの入門の入門とも言える以下の2冊の新書を読んでみた。

スティグリッツの非対称情報での経済や、グローバリズムに関する最近の考えを知るには手軽でよい。だが物足りなさが残るのも事実。

もう少し踏み込んだ経済読み物としては、クルーグマンの著書が歯に衣着せず面白い。たとえばちょっと古くなるが、『クルーグマン教授の経済入門』などは翻訳のユニークさもあいまって一気に読めてしまう。

もともとスティグリッツは教科書、クルーグマンは読み物という印象だったが、最近ではスティグリッツも読み物的な本を多数書いているし(たとえば 『スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く』)、一方でクルーグマン奥さんと共著で懇切丁寧な教科書(まずは 『クルーグマン ミクロ経済学』、マクロ編の翻訳は来春刊行予定とのこと)を書き上げている。

結局のところ、経済学的なものの考え方の基本を身につけるという意味では、経済読み物を漫然と読んでいてもダメで、基礎的な教科書に取り組むのが一番近道なのかもしれない。米国の教科書が分厚いのは大学の学部生レベルが独学で理解できるように、細部まで詳細に説明しているからだろう。特にクルーグマンの教科書( 『クルーグマン ミクロ経済学』)は、興味を引く話題の導入から本文に入り、理解度テストやコラム、ちょっとしたジョークなどが随所に散りばめられ、初学者がとっつき易くあきないよう、サービス精神にあふれた記述になっている。

しかもそれだけではない。Web サイトに教師と学生のための豊富な資料・リソースが用意されているのだ。たとえば学生向けのパワーポイントでは講義の要点がわかるし、おそらく数学の不得意な学生のためだろう、インタラクティブグラフを理解させるアニメーションがふんだんに提供されている。さらにはクルーグマン自身が出演して経済の話題について言及するビデオが、キャプションつきで用意されている。こういった資料を参照することで、英語で経済学を学ぶことができる。懇切丁寧な参考資料が用意されているので、ちょっと気の効いた優秀な高校生であれば、家にいながらにして大学レベルの経済学を身につけられるだろう。分厚い教科書と豊富な Web リソースによる「学習の高速道路」である。

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