Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

進化医学の入門書『進化から見た病気』

進化医学、あるいはダーウィン医学を提唱したネシーとウィリアムズによる『病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解』を一度読んでみたいと思っていたのだが、高価でもあり、また店頭で中身を確認する機会がほとんどないことから、そのままになっていた。そんな中、ブルーバックスから進化医学の入門書とも言える『進化から見た病気』が出版されたので、早速購入、目を通してみた。

病気を単に悪いものととらえるのではなく、ヒトと病原生物との共生・進化の結果としてとらえ、ヒトにとっての病気の意味を問い直す生物学として考えるのが進化医学・ダーウィン医学である。たとえば風邪の発熱などの症状も、ウィルスの増殖を抑えるために体温を上げた方が有利なためで、進化の産物である。だから解熱剤で発熱を抑えた場合にはウィルス増殖が継続するので、薬の服用をやめた途端に再び発熱、いわゆる風邪のぶり返しという結果を招くことがある。したがって風邪の時は無理に熱を抑えるよりも、自然治癒に任せる方がよいというのが進化医学の立場の結論である。単に「薬を使うな」というのではなく、毒になる可能性のある薬を使うことによって、かえって自然に治るものを妨害していないかという視点を持つことの重要性を説く。

ブルーバックスなので電車の中でも手軽に読め、また論じている病気の種類にもバリエーションがあり、入門書としてはちょうどよかった。

進化医学については、『迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか』も読み物として面白そうだ。

進化から見た病気 (ブルーバックス) 病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか