Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

ソニー:ゲーム開始 --- 新体制で再生をめざす("Game on", The Economist)

ハワード・ストリンガー会長が、今までリストラを阻んできた中鉢社長を、ようやく辞めさせることができたので、これからは自らが主導して、ソニー変革をめざす。今までにできたのは、AIBO など利益を生まず市場性のないプロジェクトを終了させるだけで、徹底的な変革をするのに必要な責任・権限が与えられていなかった。

改革にはソニー内部からの抵抗もあったが、ストリンガー会長自身にも問題がある。カルロス・ゴーンは日産に来る時にすぐ日本に移り住んだが、ストリンガーはそうはせずホテルに泊まるだけであった。これからは1ヶ月のうち3週間は東京で過ごし、ソニーの問題は日本にあるという正しいシグナルを送る。

今回の再編ではネットワークメディアと組み合わせる製品群(ゲーム、コンピュータ、音楽プレーヤー、携帯電話)と、その他の製品群(テレビ、カメラ、部品)の二つのグループに分けた。重要なことは「縦割り」の精神構造を崩すことである。個々の製品グループからソフトウェア開発部門・調達部門を引き離し、中央に集約する。

以上が記事のあらましである。

インターネット・サービスとの連携で価値を追求する視点から製品群を分けているところが興味深い。確かにテレビやカメラは全製品ラインがインターネットに接続するとは限らない。したがってこの分け方は、ネットサービスではなく、製品自体が本来持つ価値を追求していくという意味だろうか。それとも赤字続きのテレビ事業については、インターネットによる付加価値よりもまず黒字化を優先ということだろうか。テレビ事業のトップをすげ替えたのだから、構造改革を本気でやるということだろう。

電機メーカーのコモディティ化したコンシューマ製品について、インターネット・サービスとの連携で価値を生み出すという視点をトップが持っていることは、ソニーらしい強みかもしれない。iPodiTunes Store という成功事例をまのあたりにしながらも、ネットサービスでの価値創造まで手が回らない、ネットサービスは製造業の遺伝子ではなかなかうまく立ち上がらないというのが現実だからである。同業で、しかもインターネット・サービスのプロを標榜するわれわれも、手をこまねいて見ているわけにはいかない。

ちなみにハワード・ストリンガー氏は knight なので、英語だと Sir Howard と書く(辞書によれば Sir という称号はファーストネームの前に置く)。また "silo" mentality(「サイロのような」)ということばで、「縦割り」の精神構造を表すのも面白い表現である。