國貞克則 『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』は、自分で小さな会社を経営するつもりになって、会計取引によって財務3表(BS/PL/CS)がそれぞれどう連携して動くかを一つ一つ理解することで、財務会計のエッセンスがわかるよい入門書である(参照:2008.5.7)。そしてその続編、『財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方』が出た。今回は財務分析入門である。
この本では、財務分析は
- どのようにお金を集めてきているか
- それを何に投資しているか
- 投資した資産を、いかに効率良く活用して売上高を作っているか
- その売上高をどのように利益に変えているか
- 以上の事業全体のプロセスの中で、現金がどのように動いているか
財務諸表を簡単な図表に落とし込むことで、ザックリとイメージで全体像を把握する。その図をもとに、別の期間で比較したり、同業他社と比較したりすることで、繰り返しさまざまな業種業態の財務諸表に取り組めるようになっている。自動車業界(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、富士重工、スズキ)、電機業界(パナソニック、ソニー、日立、東芝、シャープ、三洋電機)、流通業界(三越、伊勢丹)、飲食業界(吉野家、ゼンショー)、携帯電話キャリア(ドコモ、ソフトバンク)、インターネット業界(楽天、ライブドア)、商社・卸売業界(三菱商事、三井物産)、金融業界(みずほ、三井住友、自動車会社の金融セグメント)と、分析対象は多岐に渡る。このように理解を深めるためには、実際に手を動かして決算短信から図表へ落とし込む作業を繰り返し行うことが重要であると説く。
この本と同様、ザックリと大局を掴むこと、何度も財務諸表と格闘することを進めているのが、山根節『経営の大局をつかむ会計 健全な”ドンブリ勘定”のすすめ』と『ビジネス・アカウンティング―財務諸表との格闘のすすめ』 である(参照:2005.5.5)。
会計やファイナンスに関する本についてのエントリ
なぜか例年5月の連休に会計やファイナンスの書評を書いている。僕の読書には季節性があるのかしら?