2ヶ月ほど前、The Economist に "Clouds under the hammer" (March 13th 2010) という記事が載った。タイトルにあるように、Amazon によりクラウドによる資源提供がオークション化されたという内容の記事であり、前半でクラウドのベースとなる仮想化技術の最前線の様子が報告されている。仮想化技術の進歩により仮想マシンが世界中を動き回り、さらにはその価格がビッドされることにより「計算機パワーの取引市場」の展望が生まれている。電力と同じようになってきているという話だ。
英語表現を学ぶ勉強も兼ねて、英文でまとめてみた(と言っても、パラフレーズしながらの引用であるが)。日本語だとさらに短くまとめられる。
- 計算機資源をユーティリティ化するクラウド・コンピューティングのキー技術は「仮想化」である。一つのマシン上に複数の仮想マシンが走ることによりデータセンター間で計算機パワーは移動が可能となっている。
- 仮想マシンの移動を容易にしようと標準化団体が動いており、また多くのベンチャーがそのビジネスに取り組んでいる:
- Zimory: 複数の企業のデータセンターを一つとして扱う。
- CloudKick: 仮想マシン管理ツールを提供する。
- libcloud: CloudKick を使うオープンソースのプロジェクトで、複数のクラウド間にまたがるサービスの開発を容易にする。
- RightScale: クラウド間のスイッチを支援する。
- 大企業の取り組みもある:
- VMware: 仮想化のリーダー。「プライベート・クラウド」(企業データセンター)と「パブリック・クラウド」(クラウド提供者)で同じ仮想化ソフトウェアを使っているならば、その間での仮想マシンの移動が容易にでき、企業は簡単に容量を増やすことが可能となる。
- Cisco: 「インター・クラウド」という複数のデータセンターを一つにつなげる技術構想を発表した。
- その中にあって2009年12月、Amazon は計算機資源の市場とも言うべきものを開始した。
- これがさらに進化して金融市場のようになるという者もいれば、法的な理由から計算機資源は完全な自由市場にはならないという者もいる。またクラウド提供者も、それがコモディティと化すのは面白くないだろう。
- どちらも正しいだろう。プライベートクラウド内、パブリッククラウド内で仮想マシンはどんどん移動可能となっていくだろうし、タイムゾーンが夜(需要が低く、温度も低くてコストがかからない)のところを求めて仮想マシンを移動させる実験を始めているクラウド提供者もいる。