Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

Kindle for iPhone による原著・訳書同時進行の新たな読書体験

ふだんやらない読書を試みている。原書(英語)と訳書(日本語)を同時並行して読んでいるのだ。正確には日本語でざっとメインアイディアをつかみ、原書であとから追いかけるという読み方をしている。僕の英語力だとなかなか「飛ばし読み」ができないので、原書は前から順番に読んでいる。日本語で読み飛ばしてしまった部分を、英語で補完するという、ちょっと変わった読書体験である。

読んでいるのは企業向け SaaS(Software-as-a-Service)、Salesforce.com の創業者 Marc Benioff(マーク・ベニオフ)による"Behind the Cloud"、そのKindle 版である。日本語訳は『クラウド誕生』

通勤電車の中で読んでいるので、Kindle for iPhone Kindle が大活躍だ。左手でつり革につかまり、右手に iPhone を持って読み進めている。iOS 4 のおかげで、英英辞典・英和辞典への切り替えが簡単にでき、調べた単語の意味をコピー&ペーストで Kindle の Note として保存できる。洋書の中に語義を書き込んでいく作業が、手のひらの中でできるのである。

英語も可能なかぎり速読を心がけている。本来ならばわからない単語があっても語義を推測して読み飛ばしていくのが正しい速読のやり方だと認識している。だが iPhone に慣れると簡単に辞書が引けるので、その都度調べてしまっている。Note として記録しておけば、あとで読み返すときも語義がすぐにわかって便利だろう。

せっかく Kindle for iPhone に語義を書き込んだのだから、望むらくは、それを Kindle 本体や、Kindle for iPad でも、whispersync で共有できるようになって欲しい。複数の端末を状況によって使い分ける時代である。どの端末でも論理的には同じ状態になっている。それこそが真のクラウド対応端末と言えるだろう。

Kindleクラウド端末らしくて面白いな、と思うのは、ラインマーカーで引いた線を共有するソーシャルなハイライト機能だ。読み進むに従い、ふっと "36 other people highlighted this part of the book" といったメッセージが現れる。他の読者がどの一節を重要だと思ったのかがわかる。

原著を読みながら「これを日本語でどう表現するんだろう?」と思ったときは、訳書を覗いてみる。日本語としてきちんと意味が通り、しかも理解し易い文章になっているのは、さすがである。また訳語の選択に翻訳者がかなり注意していることもわかる。

こんな調子で原著を最後まで読み通せるか自信はないが、珍しく Kindle for iPhone を intensive に使っている。原著を読むのが苦にならないくらい英語力が上がれば、Kindle をもっと使うのかもしれないが。


Behind the Cloud: The Untold Story of How Salesforce.com Went from Idea to Billion-Dollar Company-and Revolutionized an Industry クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語―

さて肝心の本の内容だが、SaaS という新しいソフトウェア提供のビジネスをゼロから作り上げた創業者の成功物語である。創業して成長するまでの数々のビジネスの TIPS が 111 条にまとめられている。しかし一つ一つの TIPS よりも、Benioff の熱い思い、新たなイノベーションをソフトウェア業界に起こしてやるという揺るぎない信念が、僕の心に残った。

Marc Benioff が10数年勤め、副社長にまでなった Oracle(オラクル)。その創業者 Larry Ellison(ラリー・エリソン) の太っ腹ぶりもすごい。Benioff が午前中は Salesforce.com で働き、午後だけ Oracle に来ればよい扱いにしたり、200万ドルを Salesforce.com の設立時の資金として提供したり。そしていよいよ Benioff が Oracle を離れる際には、「失敗したら戻ってきていい。」「Oracle からの引き抜きは3人だけにしれくれよ。」と言っている。僕らが通常抱いている、Larry Ellison の対決を好む激しいイメージとは全然違う。それだけ Benioff と Ellison の間は、深い信頼・友情で結ばれていたのだろう。

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