Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

グーグルの魔法はいつまで続くのか?(The Economist, December 4th 2010)

最近の自分のネット生活を振り返ると、ソーシャルネットワークを流れる情報、つまりソーシャル・ストリームと向き合っている時間がずいぶんと増えた。Twitterツイッター)のタイムラインで、自分が興味のある分野のキーマンをフォローすることにより、有用な情報を即時に知ることができる。Twitter をやっている友人たちのリストを作り、そのストリームを分けて表示することで、友人たちが何をやっているかがそれとなくわかる状態を作っている。しかもスマートフォン(僕の場合は iPhone)により、そのストリームにいつでもどこでも触れることができる。つまり、ネットでの「滞在時間」が最も長いのがソーシャルネットワークになっているのである。

そして今、最も有用かつ最速の情報入手手段は、twitter となっている。RSS フィードからサイトに行ったり、Google(グーグル)で検索したりすることは、情報入手経路として相対的に減ってきているというのが実感である。

このように、インターネットは、また新たな使われ方をされ始まっている。Facebooktwitter のようなソーシャルメディアの台頭を見るにつけ、もしかしたらこの10年続いた Google 全盛の時代は終わるのではないか?と考えたりもしている。

僕と同じような思いを抱く人は多いのだろう、The Economist の記事 "How long Google's magic last?" は、「Google の魔法がいつまで続くのだろう?」というタイトルのもと、かの大企業が置かれている現状や将来の解決すべき課題をまとめている。以下、記事の内容をメモとして残しておく:


Google は1800億ドルの時価総額を誇る世界で最も奇妙な大企業である:
  • オンライン検索ビジネスによる成長
  • YouTube(17億ドル)や DoubleClick(31億ドル)などの買収による成長

しかし、いまや次の二つのチャレンジがある:

  1. 力の濫用に対する監督機関の存在(EU による調査、買収に反対する会社のロビー活動など)
  2. 新しい成長源の不在:
    • 数多くの実験をやっているにもかかわらず、検索に関連する広告収入にほとんど依存しているビジネス構造(売り上げ 240億ドル、利益 65億ドル)
    • Windows OS と Office に依存している Microsoft のようになるのではないかという投資家の心配



Google を脅かすのは:

  • 情報を見つけるのに新しい方法が出てきたこと:
  • FacebookApple が顧客データを囲いこんでいること:
  • 新聞やテレビといった従来メディアも Google へのデータ提供を渋っている。
  • 利用者のプライバシーに関する懸念

さらに Google が内部に抱える問題もある:

  • 重要な人材の外部流出
  • 意思決定が遅くなり、トップタレントを惹きつける魅力を見出しにくくなっている。

しかし Google は不況下でも年 9% で成長しているし、3Q は 23% 売り上げを伸ばして、73億ドルとなった。しかも世界中で生成されるデータを相手に成長を続けている。

  • YouTube は毎分35時間もの映像コンテンツを取り入れている。人々がソーシャルネットワークを使っていても、このような大規模データは検索の対象になる。
  • ウェブ広告に成長余地がある。ディスプレイ広告にも力を入れている。
  • 高速な Chrome ブラウザ。
  • さらにモバイル・ウェブが Google の次の成長を生む。
    • スマートフォン用の OS、Android が中心的な役割を果たす。Android は通信会社やメーカーが無料で使える OS である。2年間で 26% の市場シェアを持つにいたった(図2)。



Googleスマートフォン分野を重視している。

  • 音声による検索ができるようになれば、検索数は飛躍的に伸びる。
  • 利用者の位置がわかるので近くの店やレストランへ案内する広告が打てる(だから Groupon のようなビジネスに興味を示している)。

モバイル広告は年 10億ドルのビジネスとなり、ディスプレイ広告も 25億ドルとなろうとしている。その半分は YouTube の広告である。そして米国の検索の 2/3 は Google であり、一日 20億回の検索が実行されている。今後は情報を見つけるだけではなく、必要な情報を届けるようになりたいと考えている。そのために:

  • 利用者からパーミッションを得て、利用者に関する情報も扱うようになっている。
  • ソーシャルについても、Facebook の競合となるサービスを作るよりも、「ソーシャル層」を導入。たとえば YouTube で友人がどんな映像を観ていたかがわかるようになる。

Google は数多くの開発プロジェクトを走らせて、イノベーションを起こし続けることを狙っている。勝ち続けるためには、人材が重要である。

  • ソフトウェアエンジニアの天国を作ることにより、有能な人材を惹きつけてきたが、今や FacebookGoogle から人材を引き抜いている。
  • それに対して、Google は全社員の給与を 10% 引き上げ、さらに $1,000のボーナスを支払った。
  • さまざまなベンチャーを買っている。
  • より起業家向きの自立的なビジネスユニットを作って有能な人材を引き止めている。
  • ベンチャーキャピタルを開始。

もっとも重要なのは有能な技術者をインスパイアさせるプロジェクトだ。グリーン・エネルギーや、無人カーなどがその代表だ。Google がかっこよく技術を使い、真の違いを人類にもたらすから、人々は Google で働くのである。「夢(ambition)こそが最も重要な Google の文化であり、Google で実行できる科学の深さは、世界中どこを探してもない。」と創業者の一人である Brin は言っている。

ソーシャルネットワーク分野では遅れをとっているものの、スマートフォンによりモバイル・ウェブを押さえにかかっている Googleソーシャルネットワークスマートフォンの相性のよさを考えると、Google の牙城は当面揺るぎそうもないように見える。その一方で、ソーシャルネットワークスマートフォンにより、新たなビジネスの機会が生まれていることも確かである。

本ブログにおける The Economist の記事に関するメモ・まとめ