Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

出口治明『「思考軸」をつくれ』:インプットの絶対量を増やせ

岩瀬大輔さんと共にライフネット生命を立ち上げた出口治明社長の本。本の題名から巷にあふれる「思考法」とか「仕事術」の類いだろうと思って積読状態だったが、食わず嫌いはいけない。出口さんのスケールの大きさと懐の深さが感じられる本だった。

「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由

「思考軸」をつくれ-あの人が「瞬時の判断」を誤らない理由

人生のほとんどは思うようにはならない。何かを成し遂げられる人はほんのわずかだ。だから目の前にチャンスが与えられた時、つまり風が吹いた時にはいつでも凧を上げられるように準備しておくべきである。そのために必要なのが、自分だけの「思考軸」である。その思考軸を作り、磨いていくためにはどうすればいいか?

  • タテ(歴史)とヨコ(違う地域・国)から「森の姿」を眺めよ。
  • アウトプットが出ないのは、単にインプットが少ないから。インプットの絶対量を増やし、強制的にアウトプットする機会を作れ。
  • 正攻法で真正面から取り組め。
  • 「辺境」を作り「辺境」に出よ。自分の通常の価値観から大きく離れたところを、自分とつながる世界として捉え直せ。

この中でも印象的だったのは「インプットの絶対量を増やす」こと。仕事がうまくいかないのはインプットが質・量ともに足りないから。仕事を決めるのは瞬時の判断である直感であり、それは自分でも意識できないスピードで脳がフル回転するプロセスである。そのアウトプットの精度を高めるには、ストックしてある知識や情報、すなわちインプットの量が多ければ多いほどよい。つまり思考の材料になるのは、脳にインプットされている情報のみであり、その絶対量が足りなければ発想の精度は高まらないし、発想の幅も広がらない。言われてみれば当たり前のことだが、その当たり前のことを忘れていた自分が少しショックだった。

何事にも縛られず何事にも囚われない、何事に対しても開かれた「絶対自由」という生き方を、出口さんは理想としている。新しいことを知れば知るほど、世界の不確定要素は減少して、自由でいられる。そのために極太の思考軸を養っていく。ちなみに出口さんの思考軸のおおもとにあるのは、次のようなことだという:

  1. 人間は動物である
  2. 人間はそれほど賢くない
  3. 人生は「イエス・ノーゲーム」
  4. すべてのものは「トレードオフ
  5. 「おおぜいの人」を「長い間」だますことはできない

博覧強記、圧倒的な量の本を読み、どんな人にでも会いに行き、世界中を放浪して、積極的に異質なものを経験する出口さんだからこそ、ことばに重みがある。ツイッター(@p_hal)からもうかがい知ることのできる、その精力的な活動には脱帽するしかない。人間としての大きさ、真直ぐさ、懐の深さ…。50に近い僕の歳では今さらもう無理かもしれないが、少しでもこういう方に近づけるようがんばりたいものである。

巻末の読書リストは、恥ずかしながら僕が読んだことのないものばかりだ。いかに歴史を勉強してこなかったことか。このリストには、常識・定説とは違う歴史観・ものごとの見方を提示する本が多く挙がっているように思う。なかなか歯ごたえがありそうだが、少しづつ読み進めていこうと思う。

来週出る出口さんの新刊も、この本の続編にあたるような内容のようで、楽しみである。

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