旧友との30年ぶりの再会、そして英語談義

『英語のしくみと訳しかた』の著者である真野泰君は、実は僕の小学校時代からの友人である。中学・高校も同じ学校に通ったのだが、時折顔を合わせるだけであまり接点がなかった。地元の駅前の本屋さんでたまたま会った時、彼が English Journal などの英語雑誌をまとめ買いしていたのを覚えている。彼は本当に英語が好きで、得意で、英語を職業として選んだ。

元旦に真野君から届いた年賀状に本を上梓したことが書いてあったので、Amazon で購入、翌2日に届いたので、早速読み始めた。英語学習者にとても役に立つ本であることがわかり、感想をメールで送ったところ、久しぶりに会うことになった。もしかしたら大学生の時にキャンパスですれ違っていたかもしれないから（そうか、彼とは小・中・高・大と同じ学校に通ったのだ）、それ以来、実に30年ぶりの再会である。

真野君の行きつけの飲み屋で、美味しい料理を前に、思い出話に花が咲いた。そして彼の専門である英語や今回の著書について話を聞かせてもらった。英語のプロ、翻訳家に直接話を聞けるなんて、滅多にない貴重な機会である。こちらがもっと英語のことを知っていれば、翻訳にまつわる苦労などをより深く聞くこともできたのかもしれないなぁ。そう思いつつも、どうやったら英語が上達できるようになるのかという、英語学習者の最大の関心事をストレートにぶつけてみたりした。

一方、彼は事前に僕のブログを読んでいてくれたようである。中でも iPhone 上の電子辞書がどんなものか興味があるというので、LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) やウィズダム英和・和英辞典などを実演してみせた。それを見た真野君は、iPhone の辞書は電子辞書専用機と違って、カラーで図が見られること、そして語義のすぐ下に例文が並んでいることがいいと言う。専用機だと例文を見るために新たにキーを叩かなければならない。そのせいかもしれないが、今の学生たちは電子辞書を引いても例文を読まない、と嘆いていた。なるほど。真野君の本は LDOCE をはじめ、さまざまな例文に溢れていて、とにかく辞書を読むこと、そして英文の構造をしっかり把握することを求めている。

大学の先生と会社勤め。今となっては仕事の分野も内容も全く違う二人だが、30年の時をあっという間に越え、時間がたつのを忘れて話をした。真野君に gout（痛風）とか uric acid（尿酸）とか、気をつけるべきことを英語で教わったばかりであるにもかかわらず、食事の後、さらに二人でバーに行って赤ワインを開け、気持ちよく酔っ払った。そして僕は久しぶりに一駅乗り過ごしてしまったのだった。

話に出た英語の辞書を忘れないようメモしておこう。iPhone 上のアプリとしてだいぶ揃いつつある：