- "Cloud computing: A market for computing power" (The Economist, February 17th 2011)
Enomaly というソフトウェア会社が、クラウド・コンピューティングのスポット市場 SpotCloud を開始した。SpotCloud 自身も Google App Engine のクラウド上で、グローバルな分散システムとして作られており、買い手は計算資源単位である仮想マシンについて、どこの国・都市で動かすかまで指定することが出来る。
計算能力が余っている売り手は匿名でよいため、本業とのカニバライズを避けて、余剰能力を安く販売することができる。SpotCloud は多くの売り手(供給者)を惹きつけており、その中には意外なことにエンターテインメント系の会社も含まれている。たとえば 4,000 サーバを持つその会社は、たぶんアニメーション映画を作っていない期間に、余剰計算能力・資源を売りに出しているのだろう。あるいは、古くなって捨てられていたであろうサーバが売りに出されている場合もある。
問題は市場が成立するために十分な需要が存在するか、ということである。Enomaly の創業者 Cohen 氏は楽観的だ。クリティカルでない計算を効率的に安くやりたい、新しいウェブサイトをテストしたい、といった需要があるだろうと見ている。そして SpotCloud を、サービス品質の保証が満たされるべき用途というよりも、急いで計算機パワーを必要とする人、何かまずいことがあってもやり直してもよいと考える人のためのものだと考えている。
もともと The Economist も含めて、クラウド・コンピューティング(仮想マシン)のオークションのような市場は、セキュリティ上の理由からプライベート・クラウドのような環境でないと成立しないのでは?という懸念があったが、意外なことにグローバルな分散クラウドのスポット市場が登場した。上記の記事にあるように、供給者は存在するようだ。それに見合う需要があってスポット市場が成立するのか、要注目である。もし市場が成立すると、クラウド・コンピューティングが用途によってはコモディティ化する可能性も出てくる。