このところ、パッティングの調子は悪くないものの、ジャストタッチの距離感で打つせいか、打ち切れないミスも多い。そこで、ボールに順回転を与えて球足が伸びるというオデッセイの新しいマイクロヒンジ・インサートのパター、O-WORKS の存在が気になっている。
まずはオデッセイのパットラボにて、パターのフィッティングを受けてみた。SAM パットラボという計測器で、自分のパッティングの軌道や打点などデータとして明らかになる。そのデータをもとに、自分のパッティングのスイングに合ったオデッセイのパターが推薦される。O-WORKS に興味があるということで、フィッティングの時間中に、何本か試して比較することもできる。
白金台にあったパットラボだが、この10月に丸の内 MY PLAZAにあるキャロウェイの店内に移転した。移転を機に、9月から新たに Web 予約が始まっており、その予約開始当日に速攻で申し込んだのだ。1回 45分ほどの計測・フィッティングには 2,000円かかるが、休日や平日の夕方はすぐにいっぱいになってしまうのである。
自分が普段使っているパター(White Hot Pro #7)とボールを持参(ボールは同じ PHYZ がラボにもあり、それを使って計測)して、パッティングを行う。10ft 程度の速さに設定された人工芝の上で、2.5m ほど先にあるカップを目標に、7球、転がして計測を行う。
実際の計測前には、ウォーミングアップ・距離感の調整も兼ねて 10球ほど転がす。球足が結構伸びるので、距離感を合わせるのに苦労する人もいるとのこと。その後、パターに計測用のセンサーを装着、このセンサーからの信号を拾って、以下の 7種類のデータを計測する(レポートのサンプル PDF 版):
- Aimig(アドレス時のフェース向き)
- Impact(インパクト時のフェース向き)
- Top View(上から見たスイング軌道)
- Spot(インパクト時の打点位置)
- Side View(横からみたスイング軌道)
- Rotation(クラブフェースの回転)
- Timing(リズムとタイミング)
計測されたデータによれば、僕のパッティングのアドレス・軌道・打点・タイミングは以下の通り(実レポートはこのエントリの最後に掲載):
- Aimig(アドレス時のフェース向き)
- 0.3度 閉じている(closed)。
- Impact(インパクト時のフェース向き)
- Top View(上から見たスイング軌道)
- インパクト時のパスは、左方向に 2度。
- Spot(インパクト時の打点位置)
- 芯よりも 5.6mm トゥ寄りで打っている。
- また 3.4度、トゥアップしている。
- Side View(横からみたスイング軌道)、Loft & Rise
- インパクト時には 0.2度 下向き(down)、ダウンブローに当たっている。
- シャフトの角度は、1.3度 deloft、パターのロフトが 2度のため、実効のロフトは 0.7度。
- 予測される打ち出しは 0.5度 up(上向き)。
- 予測されるスピンはニュートラル。
- 地面からのパターの距離:10.3mm。
- Face Rotation(クラブフェースの回転)
- フォワードスイング開始時:5.1度 開いている。
- インパクト 10cm 手前からインパクトにかけて: 1.9度 閉じる。
- インパクト時のフェースの向き:0.5度 閉じている。
- インパクトから 10cm 後にかけて:0.8度 閉じる。
- スイング終了時: 10.9度 閉じている。
- Timing(リズムとタイミング)、Movement Dynamics
フェースローテーションを使って、アウトサイドインに振っている、フォローでも左に振っている、という事実が見て取れる。インパクトまでのフェースは 0.5度閉じて、アウトサイドからインサイドに、左に 2度振っているので、ボール自体は左に 2.5度打ち出されそうな感じだが、トゥ寄りの打点でインパクトしているため、インパクト時にボールとの衝撃でフェースが 2度開く。そのため結果的に左に打ち出される角度が緩和されている。そのように理解すればいいのだろう。#7 というツノ型のマレットのため、トゥ寄りでインパクトしても、後ろに重さがあるので当たり負けしにくいかもしれない(ブレード型だと芯を外した時に当たり負けしていた)。
「ボールを芯で打っていない」という事実を突きつけられたのは、残念だった。5.6mm トウ寄りだという。米国 PGA ツアー選手の平均が 1.6mm トウ寄りだというから、まだまだ練習して改善していく余地がある。
またダウンブローにインパクトして、パターのロフトがうまく使えていないということもわかった。藤田寛之プロなどは「パターもダウンブローのイメージで打つ方が、打った直後から芝をとらえて転がる」と言っており、多分にその影響を受けていると思う。打ち初めに一瞬フォワードプレスを入れるのも、影響しているかもしれない。
それから注目すべきは、地面からのパターの距離であろう。ボールの直径は 21mm、人工芝よりも芝では 2mm ほどボールは沈むので、地面からボールの赤道までは 19mm。ストロークの際に、パターは地面から浮き上がっている訳だが、プロや上級者は 4-5mm とのこと。それに対して、僕は 10.3mm も浮いている。したがってフィッターからは「低重心のパター」を使うことを勧められた。確かにその方がインパクトはよくなるだろう。しかも僕はゆっくりストロークをするので、重心が低く、重さのあるパターがよいのだそうだ。
そこで推奨されたパターはオデッセイ O-WORKS 2-BALL。重心が最も低いパターとのこと。僕の場合、ボールに引いたラインで方向を合わせることをしないので、2-BALL でアラインメントを行うのも、そのやり方に合っているらしい。
これに加えて、ダウンブローに振って、実効のロフトが小さくなっているので、ロフトを 2度大きくすることも勧められた。確かに推奨された 2-BALL パターを、その場でロフト調整した際のボールの転がりは、インパクトの音も含めてちょっと違っていた。この辺りは「打ち方を変えるか、パターを調整するか」という選択になるが、僕の場合、機械的に振るスタイルなので、パターを調整する方がいいのかもしれない。
実を言うと、#7 のようなツノ型のマレットに慣れていることもあり、個人的には O-WORKS V-LINE FANG CH のヘッド形状や、白と黒のコントラストによるアドレス時の構えやすさが気に入っていた。しかし、このモデルはシャフトにホーゼルがついており、重心が高くなっている。残念ながら、僕のパッティングには合わないモデル、ということだ。
SAM パットラボの計測データは、パターのフィッティングではなく、パッティングの練習にも大いに活用されている。『ロジカルパッティング』という本によれば、米国 PGA ツアー選手の平均値は下記の通り(括弧内は僕のデータ):
- 打点: 1.6mm トウ寄り(5.6mm トウ寄り)
- フェースアングル: 0.32度 オープン(0.5度 クローズド)
- インパクト軌道: 0.7度 アウト・トゥ・イン(2.0度 アウト・トゥ・イン)
- 2.8度 アッパーブロー(0.2度 ダウンブロー)
オデッセイ・パットラボについては、以下の「オデッセイパットラボで体験!パター選び」という記事に詳しく書かれている:
フィッティング時には、7球打って、常に同じ打ち方をできているかという一貫性(consistency)も測定されている。しかし途中、フォローを大きく出すなど、少し打ち方を変えてしまって、2球ほど平均から外れるパッティングがあった。計測時には、前の結果に影響されずに、いつも同じストロークをするというのが、よいように思う。
最後に、僕の計測データレポートを載せておく: