Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

桑田泉の「クォーター理論」のコミック本、待望の中級編へ。レッドベターの教えとの「決別」も語られる

ティーチング・プロ桑田泉の「クォーター理論」については、コミック本のシリーズが出ていて、わかり易い解説がなされている(少々まわりくどく、繰り返しが多いが)。そのコミック本の第6弾にて、「クォーター理論」の中級編「7ポイント」が、市販本として初めて紹介された。「90切り」レベルには待望の書である。

今まで出ていた「クォーター理論」の本は、「100切り」レベル、90台を出すための基礎編に留まっていた。S1(肩のターン)、S2(ボディーターン)、S3(前腕ローテーション)と、パーツに分解し、S3→S2の順番で組み合わせる(「手打ち→足の裏」)ことで、シャフトのしなり戻りを使ったドローボールが打てるようになるのが基礎編。「手打ち」「ハンドバック」と、理想的なウイングとは反対の逆説的な教えだが、アマチュアはこれくらいのズレたイメージで打てば、スピードのついた実際の動きの中で、よい結果となる。スウィング要素を分解して組み合わせる教えはわかり易く、スライスに悩んでいるアマチュアに対しては福音となる教えだったと思う。

しかし中級・上級と進む中で、本来目指すべきは「手を使わず、ボディーターンで体重移動ハンドファーストインパクトする」スウィング。これはある意味、基礎編で習ってきたことと逆の、一般的なスウィング理論。この理想のスウィングを、ジュニアの頃から訓練しているプロでなくとも、大人になってからゴルフを始めた体力低下・練習不足のアマチュアが身につけられるという指南が中級編であり、80台のゴルフのための教えである。

中級編では、S2+S3 を同時に行う。その要諦は「7ポイント」。スウィングプレーン上の 7つのポイントにおけるフェースの向きを確認し、15秒というゆっくりしたドリルで身につけていく。スウィングプレーンの下の半円(体の前)は、ヘッドがプレーン上を通過、すなわち S2 のボディーターンとなる。一方、上の半円(体の後ろ)は、シャフトがプレーン上を通過、すなわち S3 のアームローテーションとなる。

  1. アドレス:基本通りに構える。
  2. テイクバック:クラブが8時になるまでは、S2 で上げる。フェースは閉じてボールを向き、背骨とリーディングエッジが平行になる。(ここは三觜プロの「左ハンドル」と同じ)
  3. トップ:腕の位置は9時、ここでテイクバックが終了するイメージ(実際にはスピードがついてもっと上に上がる)。ここまではS3の前腕のローテーションでクラブをひっくり返す。
  4. ダウンスイング:再びシャフトが8時の位置になるまで、S3のローテーションでひっくり返す。「フェースを前倒し」する。8時の時点でフェースはボールを向き、グリップエンドは右腰を指す。
  5. インパクト:8時からインパクト、いわゆるクォーター理論の 1/4 に相当するところはS2の足の動き。トップからS3の前腕ローテーションでクラブのヘッド(外周の動き)は間に合う中、S2のボディーターン・足を回す動きでインパクトする。「手打ち(S3)→足の裏(S2)」の順番、あるいは同時に。この時、下半身は4時を向いても、上半身は8時で後ろを向いたまま。この上半身と下半身の捻転差がパワーとなり飛距離を生む。この時、S3の要素が強ければフック系、S2が強ければスライス系のボールになる。スライスが出るなら、前倒しのフックの要素を強めるとベター。
  6. フォロー:S3の動き、シャフトが3時の位置でリーディングエッジが真上を向く。ここで8時に頭を残せば残すほど、遠心力が働き、ヘッド→手→肩→腰→足の順番で引っ張られ、フィニッシュを迎える。
  7. フィニッシュ:最後に左に体重が乗る。

以上の「7ポイント」におけるフェースの向きを確認しながら、15秒のゆっくりした動きの中で、スウィングプレーンをなぞっていく。これを繰り返し、だんだん速くしてことで、正しい動きを身につけていく。「7ポイント」を映像で解説した DVD が市販されている。

こうして見ると、「クォーター理論」中級編はごくオーソドックスなスウィングプレーン上のスウィングである。各ポイントにおけるフェースの向きも、オーソドックス。上半身と下半身の捻転差がパワーを生む。基礎編で覚えた S2、S3 といった基本部品を細かく組み合わせていくことで、スウィングを形成する。この本においては、ダウンスウィングでは、S3 による「クラブの前倒し」が強調されているが、当然 S2 の足を使ったボディーターンも同時に加わることになる。下半身主導の切り返しは S2、足の動きが強くなったものと解釈できそうだ。

この本の中で個人的に興味深かったのは、渡米時の師匠であるレッドベターとの「決別」である。レッドベター・アカデミーに協力して、それを日本に持ち込んだ桑田泉プロが、その教え方は「上手い人が微調整することはできても、下手な人が上手くなることはできない」と決別、独自に「クォーター理論」を編み出していったエピソードが紹介されている。

70台の上級編、シングルプレーヤー向けのスウィングについても、DVD が市販されている。こちらはよりボディーターンの要素、上半身と下半身の捻転差を強めたスウィングとなる。さらにその上のアスリート級では、下半身主導・ハンドファーストがめざすべきスイングとなる。DVD は目標となるスイングを示して完結しているが、いずれこのコミック本のシリーズでも紹介されていくことを期待している。

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