Muranaga's Golf

46歳で始めたゴルフ。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

筋トレ不要?! 飛距離を伸ばす技術「地面反力」「床反力」

「飛距離を求めるなら腕立てと腹筋!」コーチにはそう言われるが、そんな「内力」に頼らずに「外力」をうまく利用して飛ばす技術が、「地面反力」「床反力」(Ground Reaction Force)である。最近の練習では、足で地面を踏む感覚が出てきた気がするので、改めて足を使った地面反力について復習してみることにしたい。

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PGAツアー選手が、地面を蹴る反動で飛距離を伸ばしている。タイガー・ウッズも「地面反力」を使う、体に負担の少ないスイングに変えることで、従来よりもヘッドスピードを上げ、見事、復活優勝を遂げた。吉田一尊プロは早くから地面反力を取り上げていて、ツアープロによってその使い方の違いがあることを示していた。

このように最近「地面反力」を使うスイング理論が広く知られている。地面反力とは、足を踏み込む反作用として、地面から受ける力のことである。筋力という体の中の力(内力)だけではなく、地面からの反作用という外力を利用することで、体のターンを加速させ、ヘッドスピードを向上させる。

地面反力の理論的な根拠を示した本が、クォン教授と吉田洋一郎プロの共著『驚異の反力打法』である。吉田洋一郎プロは、反力についていくつか本を著しているが、内容はほぼ同じなので、原点となるこの本をまず読んでおけばいいだろう。

驚異の反力打法~飛ばしたいならバイオメカ

驚異の反力打法~飛ばしたいならバイオメカ

この本は、物理学(力学)、そしてバイオメカニクスの観点から、地面反力の効果を体系的に説明する。著者のクォン博士によると、地面反力はまったく新しい概念ではなく、従来からあるスイング理論を、バイオメカニクスの観点から改めて体系づけたものであるとのこと。筋力を鍛えるのは大変だが、反作用という体にとっての「外力」を使うことで、体に負担をかけずに、飛距離・精度を上げていくことができるという。

体の回転軸は、垂直、前後、飛球線と3つの軸がある。どのようなタイミングで左足と右足を踏み込めば、地面反力の効果を最大化して、3軸の回転のモメンタムを得られるか。その理論的な説明に一章が割かれている。

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前後軸の地面反力(出典『驚異の反力打法』)

上の図は体の前後の軸に対する回転の様子を描いている。左足を右足よりも強く踏むことで、両足からの反力のベクトル F が生まれ、回転モメンタム F x d を生んでいる。このとき頭を右に残すことで、体の重心 CM(Center of Mass)が左に流れるのを防ぎ、d のモーメントアームを長くすることができる。

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垂直軸の地面反力(出典『驚異の反力打法』)

この図は垂直軸での回転を示している。ここでは右足を後ろ(背中側)に、左足を前に、互い違いに蹴ることで、頭上から見て反時計回りの回転力を生んでいる。

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切り返しにおける地面反力(出典『驚異の反力打法』)

切り返しでは前後軸の回転が、正面から見て、時計回りから反時計回りへと方向転換する。これをスムーズに効率的に行うためには、バックスイングでは右足を踏んで右足寄りの地面反力を使い、ダウンスイングでは左足を踏んで左足寄りの地面反力を使う。最も重要なのは左足を踏み込むタイミングで、腕やクラブがトップの位置に到達する前に、左足を踏み込むことで、カウンター動作による反動を使うことができる。

キモになるのは、切り返しでの左足の踏み込みと、そこからの運動連鎖。下から上へ、足→腰→腕→肘→手と正しい順番で体を動かすことができれば、無駄な力を使わずにヘッドスピードを上げることができるし、体への負担も小さくなる。

後半の章は、吉田コーチによる、地面反力を利用するスイングを身に着けるためのドリルやコツの説明となっている。この本はスイングの土台となる物理と運動力学の理論と、そのドリルとの両方をカバーしている。説明のためのモデル化のレベルが高校の物理レベルで、詳細過ぎず、かと言ってシンプル過ぎず、ちょうどいい抽象化レベルで、わかりやすい。「地面反力」は、物理(力学)の観点からも、非常に納得できる理論である。

  1. テークバック:右足で地面を押す。
  2. バックスイングからトップ:右足はかかと側に、左足はつま先側に踏むことで、地面反力は右のお尻側に抜けていく。
  3. 切り返し:下半身が先に動き始める。左足で左斜め下方向に地面を踏み込む。
  4. ダウンスイング:左足は真ん中からかかと側に、右足はつま先側に踏み込むことで、前後軸の回転を加速する。切り返しで踏み込んだ左足は、ダウンスイングで左ひざを伸ばしていくスクワットのような動きになる。
  5. インパクトからフォロー:左足側で地面反力が抜けていく。

「地面反力」の理論から導かれるスイングは、何のことはない、従来から言われてきたことである。最近の計測技術の進歩から、バイオメカニクスの観点で理論が整理されてきたと見るべきだろう。大事なのは、運動連鎖とタイミング。あまり積極的にやると上下動が大きくなって当たらなくなるが、徐々に地面反力を使う足の動きを取り入れていきたい。

因みに「うねりスイング」の三觜喜一プロは著書の中で、地面反力について、下記のようなポイントを指摘している:

  • 胸郭でリードして引き上げたクラブが、再び胸郭で戻る時に、一瞬深く沈み込んでからジャンプすることによって、よりクラブが加速する。スクワットジャンプ的な使い方。
  • マチュアがジャンプの動作を入れるには、相当の練習量が必要になるし、タイミングが狂うと全く当たらなくなる。
  • ジャンプの動作、地面に対して強いエネルギーが出るほど、反作用で足は強く切りあがる。
  • 切り返しで右の股関節がしっかり入り、そこに上体が乗ることによって、はじめて地面反力は使える。

さて、本エントリーのタイトルには「筋トレ不要」と書いたが、一応、「みんなで筋肉体操」は何とか続けている。

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