最近ホームコースに向かう電車の中で読んでいるのが、『90を切る!倉本昌弘のゴルフ上達問答集』である。「90を切るゴルフ」とは、90 を境に 10打のゴルフ。つまりショットがよい時は 85、悪くても 95 までで上がれるゴルフにより、平均 90 を切る。そのために必要となるゴルフというゲームに対する考え方を説いた本である。倉本節と言ってもいいだろう、アベレージゴルファーに対する辛口で耳の痛い言葉が並んでいて、何度読んでも心に響く。10年ほど前、「100切り」レベルで読んだ時は自分にはまだ別世界という内容だったが、ハンディキャップ 18 になり、今まさに「90を切るゴルフ」をめざそうという僕にとって、バイブルと言ってもいい本である。
この本で説明された「90を切るゴルフ」の心得 10ヶ条と、25のラウンド術については『スコアメイクの真実』(休刊した『書斎のゴルフ』の特集号)にまとめられている。また『90を切ろう!マッシー倉本のチャンピオンズゴルフ』は写真が豊富であり、文章だけの『上達問答集』を補完する内容となっている。
これらの「90 を切るゴルフ」の一連の著作・DVD については、2012年にブログで一度紹介しているが、「90切り」をめざしている現在、もう一度、エッセンスをまとめておこう。技術的なことよりは、ゴルフというゲームに対する考え方・気持ちの持ち方を実践していこう。
「90を切る」ゴルフ心得 10ヶ条
- 欲をかかず、冒険をしない地道なゴルフを我慢強く行う
- 1打1打を丁寧に、ルーティンをきちんとやって、自分のスイングを行う
- ミスしようが上手くやれようが、ずっとそのことを第1打から最終パットまでやり通すと言う強い意志を持つ
- 90 を切るゴルフとは、決して 100 を叩かないゴルフ
- よい時は 85、悪くても 95 までで上がれるゴルフ
- 考えていることがだいたいできたと言う時に 87 - 88 で上がれるゴルフ
- ベストスコアを求めるのではなく、ワーストスコアを少しでもよくすることに全力を傾ける
- 90 を切りたければ、ボギーオンのゴルフを行う
- 「飛ばさない、乗せない、寄せない、入れない」の「4ない」ゴルフ
- ドライバーは飛ばさない、アイアンで無理にグリーンを狙わない、アプローチではピンをめがけない、パットでは何でも入れようとしない
- 欲を捨てた地道なゴルフを徹底的に行う
- ゴルフはミスのゲーム、ミスを想定してプレーする
- 自分が犯しうるミスを想定して、それが起きても大丈夫な攻略法を考えて実行する
- ゴルフは足し算のゲーム、1ホールの大叩きは取り返せない
- 大きなミスを犯したら、素直に反省して、無理をせずにダボをいただく
- トリプルボギーやダブルパーに決してしないこと
- ボギーオンが無理ならば、ダボオンにしっかりと切り替える
- 思わぬミスが出た時こそ冷静になって、ミスはミスと認めて、1打足した攻略法に切り替える
- 林に入れたら素直にフェアウェイに出して、そこから本来のルートで攻める
- 戻る勇気が必要
- OB と池には絶対に入れない、グリーンオーバーもしない
- 基本は前進、その打数を最少にするゲーム
- パットは 30回を切る!それだけで 90 が切れる
- 足し算のゴルフの中で唯一引けるのはパット数
- アプローチが上手になれば確実にパット数は減らせる
- 9ホールを3ホールずつに分け、3オーバー以内にするよう頑張る
- 大叩きをしても引きずらない、ボギーを取っていく癖を身につける
賢いラウンド術 25 の方法
- ナイスショットはアドレスで決まる。目標に向かって正しくアドレスせよ!
- 飛球線に平行にスタンスをとり、膝・腰・肩も平行に
- ナイスショットを打とうとせず、ナイススイングを心がける
- よいスイングをする時にたまたまボールがあったというイメージで振る
- フィニッシュがピタッと決まるように
- 打つ前にきちんと素振りを行い、そのリズムとテンポでボールを打つ
- マン振りは決してせず、7割の力でフルスイング
- 気持ちが悪ければ打たない。気持ちよく構えるようにする
- 最悪を避けるように自らボールを曲げて逃げる
- グリーンに無理に近づかない。第3打が打ちやすいところに運ぶ
- 確実にボギーオンできる距離や平坦で難しくないエリアを狙う
- 自分の得意な距離を残す。40ヤードという中途半端な距離より、ウェッジのフルショットの方が易しい
- ひどいミスショットが出たら、得意なクラブで自信を回復する
- 林に入れたら、安全に横に出す。ギャンブルを犯すのは頭が悪い証拠
- グリーン前の池には絶対に入れてはいけない
- 傾斜のライは目標を変えるのでなく、フェースの向きで目標を狙う
- ミドルアイアンよりもユーティリティやショートウッドを使う
- グリーンへはピンを狙わず、センターセオリーで
- グリーンまでのフロントエッジ、バックエッジまでの距離を把握する
- 受けグリーンであればフロントエッジを越える距離で打つ
- ピンが奥ならば、バックエッジまでの距離を越えないクラブで打つ
- 時にはグリーンを狙わず、グリーンまで届かないクラブで打つ
- 100ヤード以内の距離はウェッジ3本で打ち分ける
- アプローチショットは次のパットが打ちやすいところに
- アプローチもグリーンの真ん中に乗ればいいと思って気楽に打つ
- バンカーからは普通の打ち方で確実に1回で出すこと
- 打ちたい距離の 2倍から 3倍の距離を打つつもりで振る
- バンカー越えのアプローチはピンの奥に打ってもいい
- グリーン周りは転がしで。パターが使えるならまずパター
- パターヘッドの芯でボールの芯をヒットする
- ロングパットは寄せるより次のパットが入りやすいところに
- ラインがわからなければカップをめがけて打つと、上りのストレートラインが残る
- カップには入り口がある。ボールはその入り口から入れよ
- パッティングではフォローを出すよう心がける
- ショートパットはカップインの音を耳で聞け
練習における基本10ヶ条
- 体の向き(足と膝と腰と肩の線)が目標とボールを結んだ飛球線に対して平行
- 体の中心軸が地面に対して真っ直ぐ
- ボールは正しい位置にある
- 頭や視線が傾いていない
- バックスイングのスタート方向が合っている
- トップの位置が正しい
- スイングが淀みなくスムーズ
- 軸はぶれていない
- きちんとボールをヒットしている
- フォロースルーは正しい方向に出ている
ラウンド術
- ティーイングショットは飛ばさずに危険を避け、セカンドショットは第3打がうちやすいように、ウェッジのフルショットの距離を残す。それも平らなフェアウェイで、バンカー越えにならない花道の手前にする。こうしていつでもきっちりとボギーオンしていく。
- 常に次のショットを考えて、今のショットをする。
- 自分のミスショットを認識し、起き得るミスショットを想定しながらゲームを組み立てる。想定内であれば慌てることもなく、次の一手が打てる。
- 飛ばす必要はない。いつもの8割の力のスイングで、いつも同じ飛距離を打つ。最大飛距離を求めない。
- 自分の得意距離を知って、それに磨きをかけること。その距離を残すように組み立てること。
飛ばし術
- 距離が出ないからスコアが悪いのではない。アプローチとパットが悪いからスコアが悪い。
- 9割の力で、常に同じ距離を打っていけるその距離こそが、その人の飛距離。
- 飛距離とはあくまで平均飛距離。
- ヘッドスピードを上げるよりも、ヘッドの芯にボールを当てることの方が大切。芯に当たる回数を増やすこと。
- そのために再現性の高いスイングをめざしていく。
- 飛ばしたければ短く持ってシュアに振る。
- ミスショットがたまたまではなく、それが普通であって、ナイスショットこそがたまたまと思う。
アプローチ術
- 90 を切るもっとも大切なものがアプローチ、「100ヤード以内のショット」である。30% が100ヤード以内。
- アプローチを上達するには、本当のことを言えば、球数を打つしかない。
- それが望めないアマチュアは、「何が何でもグリーンに乗せること」を考える。グリーンの真ん中に乗せる。
- 上げるより転がす。やり方は何でも構わない。
- 60ヤードから100ヤードまでの距離の練習をして、距離感を養わなくてはならない。グリーン周りのアプローチよりも大切。
- 3本のウェッジのフルショット(10時から2時 ← 通常のフルショットは 11時から1時)、ハーフショット(9時から3時)、8時から4時、さらにはグリップを短く握って距離を把握。
- 残った距離を得意なクラブで打つ。得意な距離を残すように組み立てる。
- 60ヤードの第3打でもピンは狙わない。とにかくグリーンにしがみつく。
- 寄せようと思うとざっくりする。グリーンの真ん中でもいいと思って気楽に打つ。
パット術
- ロングパットの距離感と、ショートパットの方向性
- 3パットをなくすには距離感をよくする。
- そのためにはパターの芯でボールの芯を打つ。
- 同じ場所から、同じストロークをして、同じところに止まるように打つ練習。
- ファーストパットは、次のパットが上りのストレートラインに残るようにする。
- 傾斜のラインはカップの入り口を考え、その入り口から入るように打つ。
- そしてどこで曲がるかその頂点、ブレークポイントを探して、そこに向かって打つ。
アイアンショット
- アイアンのフルショットは、ボールをコントロールできる範囲で最大のスイングの大きさであるショット。7割の力感で振る。
- ゴルフは飛距離を競うのではなくスコアを競うゲーム。アイアンはドライバー以上にコントロールしなければならない。それなのに自分の最高飛距離を打とうとする。
- 普段の練習からコントロールするアイアンショット、目標にきちんと飛ぶスイングを身につけなければならない。
- バランスのよい滑らかなスイングでボールをコントロールして打つ。そのスイングは「素振り」のスイングである。
- 悪くなり始めたら練習場で基礎練習をする。
- グリップとアドレスを再点検する。
- 素振りのスイングを心がける。素振りの途中にたまたまボールがあって打つと言う感覚。
- スイングが壊れてしまうのは、心の問題。
- 不安かもしれないが、素振りのスイングをすることに集中する。
- スイングすることだけを考える。結果は気にしない(ボールに当たろうが当たるまいが、気にしないし悩まない)。結果を怖れずに素振りのスイングに集中して振り切ること。
- アマチュアはショットが悪くて当たり前。
- 練習しているプロのようなショットを望むから、病気になってしまう。
- ミスが起きにくいクラブで、ボギーオンのゴルフを組み立てる。
- 難しい傾斜のライは、ミドルアイアンではなくショートアイアンを持つ。
- ピンまでの距離、フロントエッジまでの距離、バックエッジまでの距離を把握する。
- グリーンオーバーしないクラブ、フロントエッジに届くクラブを把握する。
- 受けグリーンは手前から攻めるフロントセオリー。ピンまでの最大飛距離以内のクラブを選択する。
- ピンが奥の時は目いっぱい打ってもグリーンをオーバーしないバックセオリー
- 基本はボギーオンのセンター狙いのセンターセオリー:気持ち手前か奥かは考慮する
練習法
- 練習場では基本に帰る。「基本10ヶ条」(上述)をチェックしながら、1球1球丁寧に打っていく。
- 常に同じスイングで同じショットが打てるようにすること。同じショットとは、方向、弾道の高さ、キャリー、ランが同じであること。
- PGA のレッスンプロに見てもらう。
- コースでのショットの練習は、スコアをつけないラウンドをやってみること。
- 1球1球真剣に、練習場でやった基本事項を繰り返したショットを試みる
- その結果は把握するが、スコアは気にしない
- 前のショットの継続で今度のショットがあるという考えを捨ててしまう
- 自宅での練習は素振り。週に1度の練習では、体はすぐに忘れてしまう。
- 毎日100回。30分。
- どんどん振っていけば、無駄な動きがなくなり、合理的なスイングになってくる
- 毎日の努力の積み重ねしか上達する方法はない。いつ上手くなるのかわからないのがスポーツでありゴルフである。
- ラウンド後スコアカードを見てどこがいけなかった反省するよりも、本当に反省すべきは、その日のラウンドではなく、毎日の常日頃の練習を怠っていたことである。