Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

カリスマ・フィッターによる最新技術に基づいた『クラブ選び&セッティング術』

『誰でもスコアアップできる!クラブ選び&セッティング術』は、最新の技術に基づいたクラブの選び方、セッティングの考え方を、カリスマ・フィッターである鹿又芳典氏が解説する。この本がもう少し早く出版されていれば、ドライバーを買うフィッティングする、そしてリシャフトする前に読んで、予備知識を得ておくことができたのだが…。

前半でそれぞれのクラブごとの選び方を、後半の最終章でセッティングを解説しているが、このセッティングの章が面白い。まず「クラブセッティングを工夫すれば、誰でもシングルになれる」と主張している。そのシングルのレベルとは:

  1. ティショットが「平均」220ヤード以上飛ばせること
  2. 7番アイアンが「打てる」こと(そこそこのショットが6割くらい出る)
  3. 10m のパットの距離が合わせられること(1m 以内に寄せられる)

ベストパフォーマンスの質を上げることではなく、ワーストパフォーマンスの底上げをすることが大事で、セッティングの基本は「弱点をなくすこと」。極端に苦手なクラブや距離をなくすことができれば、誰でもシングルになれると言う。理想のスイングを求めるのではなく、現状のスイングをベースに、そのスイングで結果が出るセッティングを作る方法を勧めている。

ティーイングショット

「平均」220ヤード以上飛ばせるとは、レギュラーティーから 2オンの可能性を残すにはそれくらいの飛距離が欲しいという目安。そのために大事なのは、「2打目が打てるところにある」こと。OB や池に打たないことが絶対条件。その意味では「飛ぶドライバー」を選ぶのではなく、「曲がらないドライバー」を選ぶことが最重要である。

  • フェースがスクエアにならず、開いて当たっている場合:
    • 「つかまる」ドライバーを選ぶ
    • 高い慣性モーメントのドライバーは重心距離が長く、ダウンスイングでフェースをスクエアに戻しにくい → 重心距離が短い国内ブランドのモデルを試す
  • 打点が安定せず、フェースのセンターに当たらない場合:
    • 深重心・大慣性モーメントのオフセンターヒットに強いドライバーを選ぶ
  • 両方の場合:
    • クラブの総重量に問題があるので、適正な重量を探る
危険ゾーンのクラブ

「危険ゾーン」とは 170 - 200ヤードくらいの長めの距離。この距離から大きなミスなくグリーンまわりまでボールを運べるようになると、スコアが一気にまとまるようになる。距離の幅があり平らなライから打てないので、複数のクラブで手厚くカバーしたい。距離がかぶってもいいので、球が易しく上がるクラブと方向性が安定してラインが出るクラブの両方が必要になる。フェアウェイウッド(FW)とユーティリティー(UT)とを組み合わせる。

同じロフトでも FW は UT より飛距離も高さもでやすく、ソールの抜けもよくなる。逆に UT の方が低めの強い弾道を打ち易い。

100ヤード以内のクラブ

シングルになるには、100ヤード以内から常に 2打、最低 3打で上がることが求められる。ベタピンでなくともパーパットのチャンスを残すこと、「30ヤード以内から2打」が計算できるようになればシングルである。

そのためのウェッジは、アマチュアにとってスコアメイクの生命線であり、最近ではウェッジを4本入れるのが当たり前になりつつあると言う。ロフト1度の違いが約 3-5ヤード。6度ピッチだと番手間で 20-30ヤードの距離が開くが、これを 4度ピッチにすることで番手間の距離差は 10-12ヤードとなり、中途半端な距離が残っても、グリーンに乗せられる確率が上がる。さらにグリーン周りからのアプローチのキャリー対ランのバリエーションが増える。この時 60度を入れると、球を上げて止めるのが楽になる。

100ヤード以内をノーストレスで打てるクラブ、バンカー専用を前提としたクラブを入れたい(たとえば下表):

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ウェッジのセッティング(鹿又芳典『クラブ選び&セッティング術』より引用)

基本セッティング

スコアメイクのために何を重視するか。下表の基本セッティングをベースに、得意・不得意を考えて入れ替えていく。

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基本セッティング(鹿又芳典『クラブ選び&セッティング術』より引用)

「ウェッジのロフトを 4度刻みにしろ」「60度を入れろ」というところが新鮮であった。僕のセッティングは 6度刻みになっている(PW 44度、50度、56度 のウェッジ 3本体制)。ティーイングショットにしか使わない 3W を抜いて、ウェッジを 1本追加すして、4度刻みにすべきか、ちょっと心が揺らぐ。

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このようにウェッジを追加してきめ細かく揃えていくか、少ない本数のウェッジで距離を打ち分けていくのか。倉本昌弘プロの考え方は後者であり、「3本のウェッジ x 振り幅 3通り x グリップの長さ 3通り」の 27通りを打ち分けてみて、自分の得意な組み合わせを見つけることを推奨している。フィッターとプレーヤーとでの考え方の違いとも言えるし、クラブ技術の進化による違いとも言えそうだ。

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ドライバー & カスタムシャフト

冒頭に述べたように、この本がもっと早く出版されていれば、ドライバーを買ってフィッティングをしてリシャフトする際に参考にできただろう。

2021年のドライバーのトレンドは「深・低重心 & 大慣性モーメント」。

ドライバーの曲がりを抑える、いわゆる「曲がらないドライバー」には二つの観点がある:

  • フェースの向きができるだけスクエアな状態でインパク
    • 開いたフェースをインパクトまでに戻せる → 重心距離の短いクラブ(例:XXIO)
  • インパクト時のフェースのブレを抑えてくれる
    • オフセンターヒットに強い → ネック軸まわりの慣性モーメントが大きいクラブ(例:米国ブランド)

ドライバーについては、ヘッドだけでなくシャフトも著しく進化している。ヘッドに合わせて作られた純正シャフトは、もっとも飛ばせる可能性を秘めている。

まずは純正シャフトをベースに考えるが、純正シャフトが重量的にマッチしない時に、カスタムシャフトを検討する。カスタムシャフトが最も貢献するのは、同じように振った時のスイングスピードをアップさせて、ボールの初速を上げること。切り返しの瞬間、そしてハーフウェイダウン以降で、心地よいしなりが感じられれば、振り抜いていける。

ヘッドスピードが 40m/s という一般的なアマチュアゴルファーがめざすべきは「ランの出る中弾道」。打ち出し角 11-13度の「ちょっと低め」でバックスピン量が 2,500rpm前後。キャリーが 220-230ヤード出て、ランが伸びれば 240-260ヤードの飛距離が見込める。

僕は SIM2 MAX-D の純正シャフトが重かったので「軽硬」のシャフト PLATINUM SPEEDER を導入した。フィッティング時のデータを再掲すると、適正なスピン量、打ち出しが 14-15度とちょっと高め、ということになる。

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PLATINUM SPD3 SR のデータ

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