かねてより体験したかった堀尾研仁プロによる GEARS ゴルフレッスンを、ついに受けてみた。光学式モーションキャプチャ技術に基づく GEARS によるスイング分析によって、自分のスイングが今どういう状態にあるのか、そして目標とすべきスイングとどのような差異があるのか。自分のスイングの現在地と、今後の向かうべき方向を確認するよい機会だと考えている。事前に、堀尾研仁プロの著書を読んで、準備万端である。
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場所は有楽町駅前にある KEN HORIO GOLF ACADEMY。堀尾プロによる GEARS レッスンは、初回のビジター料金が割引になっている。グローブのみ持参すればよい。モーションキャプチャ用のスーツを上半身に着るので、薄着になれるようにしていく。冬でも室内は暖かい。僕はユニクロの極暖を着ていったが、それだと汗をかくくらい。Tシャツでも十分である。
自分のゴルフ歴・スイング状態に関する簡単なアンケートに答え、堀尾プロと会話しながら、体を温めるべく 10球くらい打っていく。その後、モーションキャプチャの目印となる装具を各所に身につけ、実際の計測に入っていく。測定用のクラブが用意されていて、自分が普段使っているものに近いクラブを使う。アイアンとドライバー、それぞれ 5-6球は測定しただろうか。そこで得られたデータをもとに、自分のスイング像がアバターとして再現される。それを基準となるスイング(PGA ツアー選手平均)と比較することで、あるべき ToBe のスイングと現在地 AsIs との差異が明らかになる。
堀尾プロが GEARS のデータを解説してくれて、その後、ポイントを絞って、修正のドリルに取り組む。まずはクラブを持たずに、体の動きを修正。その後は堀尾プロのサポートを受けながら、スイングする。その間も GEARS でデータを取っており、それがレッスン後のデータとなる。
最後はレッスン前とレッスン後の自分のアバターを比較しながら、どう修正・改善されたか、堀尾プロが今回のレッスンの内容を総括する。この最後の数分の解説動画が、その日のうちにクラウド上にアップロードされて、PC や iPhone のアプリで見ることができるようになる。
正直、あっという間の 80分間であった。堀尾プロは、本にも書いていた通り、感覚ではなく事実(データ)が明らかになるので、選手との信頼関係が構築し易く、効率的なレッスンができるようになったと言っていた。
GEARS の効果は、2つほどあるように思う。
- インパクト時のクラブパス、フェイスの向き、入射角など、計測システムでないとわからないデータが取れる
- ふだんのレッスンで指摘されていることが、客観的なデータとして取れ、それが具体的なアバターとして表現される
後述するように、僕の場合はハンドファーストでインパクトできていることがわかったのは朗報だった。また自分では真っ直ぐの軸でバックスイングしているつもりだったのが、正面から見た時に胸と腰が一直線になっていないということも、GEARS のデータで改めて知ることができた。
一方、今回の GEARS レッスンで指摘された「トップの位置が高い」という課題は、ふだんゴルフスクールのレッスンで指摘されていることと同じだった。
こういった事実(ファクト)を客観的なデータ(表現としてのアバター)として突きつけられた時に、どう受け止め、どう活かしていくかが大切だと思う。
実際に GEARS によるスイング解析を受けてみて、「スイングの定期健診である」という感想を持った。1年に1回くらいの頻度で受けて、自分のスイングの状態を確認するのが、ちょうどいいのではないだろうか?スイングの修正は、永遠に続く。その進歩の度合いを確認するためにも、GEARS は有効な手段だと思う。スイング改造に試行錯誤しているゴルファーには、一度受けてみることをお勧めしたい。
ただし、自分のスイングの真実がデータとして突き付けられるので、それを受け止める覚悟と、受け流す鈍感力が必要である。
堀尾プロの姿は、ご自身の YouTube や中井学プロのチャンネルなどでお馴染みだったが、最初に実物にお会いした時の印象は「でかっ!(失礼)」である。背も高いし、横も筋骨隆々で鍛えられたアスリートだった。レッスン後、しっかり著書にサインをもらってきた。
さて、僕自身のレッスン内容については、堀尾プロによる総括の動画に要点がまとめられている(黄色がレッスン前、青がレッスン後の姿)。
- トップが高過ぎていたのを、左肩を下げずに回転軸を保ったままバックスイングを行い、右ひじを下に向けることで、よりフラットなレイドオフのトップにする。
- 肩の位置まで腕が上がったくらい、クラブが後ろの壁を指すくらいがトップ。その後は反動でさらに上に上がる。
- 正しいトップが決まれば、そこからはアウトサイドインのイメージでダウンスイングしても、真っ直ぐスクエアなインパクトになる。
「フラットなレイドオフのトップを作る」というのが、今回の僕の GEARS レッスンの要点である。昨年、友人のシングルプレーヤーが習った内容と共通するものが多い。
以下、より詳細に記しておく。
まず、僕のスイングはきちんとレッスンで習って身につけてきたものであることがわかるとのこと。
といったところはよい点である。
そして
- インパクトにおいて、クラブパスの「インサイドアウト」が大きい(10度。適性値は 2度くらい)
- 「フェイストゥパス」と相殺していない(そのため右に飛ぶ)
- アイアンは若干アッパーに捉えている(ダウンブローにはなっていない)
- 「クロージャ・レート」は適正値だが、「グリップロール」は大きい
- 「キャスティング」の動きがうまくできていない
といったことがわかった。
僕のスイングの最大の課題・要因はトップの位置にある:
- トップの位置が高過ぎる
- エルボープレーンより高く上がっている
- バックスイングで左肩の位置が下がることにより、トップの腕の位置が高くなっている
- バックスイング時の左の側屈が強過ぎる
- このため、正面から見た時に、胸の位置と腰の位置がズレている(一直線になっていない)
- 胸と腰の回転軸がズレている
- 眼鏡をかけてゴルフをやる人にありがちとのこと(ボールがフレームアウトしないようにしてしまう)
- 右脇が開き、右肘が下を向いていない
- シャフトクロス気味のトップになっている
このことにより、下記の現象が起こっている:
- ダウンスイングで、高い位置から入ってくるクラブを寝せる調整をすることにより、エルボープレーンの内側に持ってくるため、インサイドアウトの傾向が大きくなる
- ダウンスイング時に軸回転せずに、左横に腰を使おうとしている
- バックスイングでの左側屈が、切り返しを経て、ダウンスイングでの右側屈(腰を左横に動かす)につながっていると考えられる(ギッコンバッタンするスイングイメージ)
- ダウンスイング時に軸回転せずに、左横に腰を使おうとしている
- 左手の掌屈を使う調整を行って、フェースを閉じることで球を捉まえている
- ドライバーだとフェースを閉じ切れず、オープンのまま右に飛ぶ場合があった
トップの位置を適正な位置にするためには、左肩を下げずに、軸を意識してバックスイングする。矯正するために、いくつかのドリルを行った。チェストターン・ドリルは、著書にも書いてあったものである。
- チェストターン・ドリル
- 胸の前に筒(ペットボトルでもよい)を当てて、バックスイングする
- トップでは完全に右を向く(腰が45度、胸が90度)
- 切り返し直後は、ペットボトルは右斜め下を指す(腰と胸の角度は変わらない)
- フィニッシュでは、ペットボトルは左上を指す
- クラブヘッドが腰の高さにあるところからバックスイング
- 回転軸が左に傾かない、左肩を下げない
- 右尻を引く
- トップの位置でクラブヘッドは、後ろの壁を指す
- 上記ができたら、その感覚を持ったまま、前傾してアドレス、通常のスイングを行う
- 低いトップの位置から、柔道の一本背負いのイメージで切り返す
- 「アウトサイドイン」のつもりでダウンスイング
- 左尻を引くイメージでヒップターン
こうした一連の矯正ドリルをやることで、トップの位置を修正した。ワンポイント・レッスンなので、その成果は一時的なものだが、低いトップの位置からは、「アウトサイドイン」になるくらいのイメージでダウンスイングしても、スクエアなインパクトになることを、実感することができた。
今日習ったことを定着させるためのドリルとして、著書に書いてあった以下の3つのドリルを勧められた:
GEARS を使ってのスイング分析・レッスンの有効性が認められて、今後、ますます普及していくと考えられる。「中井学チャンネル」では、堀尾研仁プロによる GEARS を使ったスイングレッスンが始まった。その第1回では、腰と胸の回転・捻れについてわかり易く説明している。
そして今回僕が習った「堀尾理論」のエッセンスは、次の動画で説明されている。
そうそう、「井上透ゴルフ大学」でも GEARS によって明らかになったスイングの新常識の解説が始まっている。
また稲見萌寧プロのコーチである奥嶋プロによる GEARS 分析・レッスンも、横浜のゴルフ練習場で行われている。