Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

昔々、電話は共用だった

僕が幼稚園から小学校低学年の頃だから、時は1960年代。うちには電話がなかった。電話がないのは僕のうちだけではなく、近所でも電話のあるうちはごくわずかだった。うちに用がある電話がかかってきた時は取り次いでもらった。またこちらから電話を借りてかける場合は、10円玉を置いてきた。電話を近所の家何軒かで共用していたのである。昭和40年代前半、「坊ちゃん」の舞台となった四国の、ある県庁所在地での話である。

今になって、なぜ急にこんな昔話を思い出したのか。あれから40年。アフリカの携帯電話の普及が同じような形で始まっていたからだ。「村のオペレータ」という人がマイクロファイナンスでお金を借りて、携帯電話と屋根に置くアンテナを買う。そして自分がその携帯電話を使うだけではなく、村の他の人に「通話を売る。」つまり電話をした人からお金を取る。このわずかの利益で「村のオペレータ」は借金を返していく。

この構図は、僕らが昔、黒電話を共用していた図に重なる。「10円玉を置いてくる」のを思い出すことによって初めて、マイクロファイナンスを実感できた気がする。

実際にマイクロファイナンスが始まったのは携帯電話ではなく、牛であった。借金して買った牛から取れる乳を他の村人たちに売って、そのわずかな利益から借金を返していく。乳牛と携帯電話とが、原理的には同じものであることに気づいた人は、目のつけどころがさすがである。