Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

民主党 vs. 共和党、リベラル vs. 保守

アメリカ大統領選まで1週間。民主党共和党という対立軸、あるいはリベラル対保守という二項関係を理解したくて読んだ『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』はとても面白かった。

アメリカ政治において二党間の対立軸として特に浮き彫りになるのは、銃規制、生命倫理、同性愛者間の結婚という3つの「社会的価値観」の論点である。そもそもなぜこれらが取り上げられるのだろうか。どうしてこういう「極端な」問題を取り上げて賛否両論を問うのだろうか。このような基礎的な疑問の解決に始まり、それぞれのカルチャーの比較、そして建国以来どのように二党間の対立軸が変化してきたのかを歴史的に振り返っている。

映画や TV ドラマ作りにもそれぞれのカルチャーが表れている。民主党のカルチャーを「和解と純愛」、共和党のカルチャーを「孤軍奮闘とほろ苦い人生」と位置づけ、例を示しながら対比する。たとえば『E.T.』『タイタニック』『プリティ・ウーマン』などはまさに民主党の「和解と純愛」路線そのものである。一方で、クリント・イーストウッドブルース・ウィルス共和党系。純粋なエンターテインメントに徹した作りに見える『ダイ・ハード』シリーズも、その根底には政府への不信、正義への不信があり、個人が孤軍奮闘する作りは共和党のカルチャーなのである。こういう視点を知らずに、今までずいぶんとナイーヴに米国映画を見ていたものだ、と認識を改めさせられた。

もう一つ、環境とエネルギーについて。共和党地球温暖化に対して楽観的である。もともと大自然を切り拓いてきた人たちにとって、自然は荒々しく畏怖すべき対象である。人の力ではどうにもならないのが自然であり、その自然と戦って自分の身を守らなければならないのが人間である。そういう前提から、温暖化を人間の努力でコントロールできるはずがない、という発想になるらしい。さらに自然に対抗する人間は、神から選ばれた特別な存在である。だからこそ妊娠中絶や安楽死に対して強い抵抗感を示す。

このようなわかりやすい事例が多く、特に映画の見方については「目から鱗」であり、楽しく読み進むことができた。

同じようにアメリカの保守とリベラルの違いを描いた本に『見えないアメリカ』がある。著者は民主党選挙事務所において、アメリカの選挙戦で「アウトリーチ」という票集めをやっていた人で、さまざまな都市やコミュニティの家を一軒づつ訪問していった経験がもとになっている。単なる保守対リベラルという対立軸では描き切れないのがアメリカ人の価値観であり、「アカデミック」か「土着(宗教・地域など)」か、という新たな軸を加えて分類を試みている。

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