Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

マクロ経済学の道標

マクロ経済学入門ということで『マンキュー マクロ経済学』(入門篇応用篇)の旧版をぼちぼちと読んでいる。最近の情報を補完するためにときどき最新版の原著 "Macroeconomics: International Edition" にも目を通している。


マンキューマクロ入門篇 マンキューマクロ応用篇 Macroeconomics: International Edition

その中で感じたことがいくつかある。この教科書がわかり易く書かれているのは確かだが、たとえばクルーグマン『世界大不況からの脱出-なぜ恐慌型経済は広がったのか』(原著:"The Return of Depression Economics and the Crisis of 2008")などで扱われている経済現象をわかるためには、まだギャップがあるということである。単に僕自身の知識や理解が追いついていないだけなのかもしれないが、現実世界では、開放経済の中での為替の動きや、グローバルに資産を持ち合う金融システムが、実体経済よりも大きな影響力を持っていて、その複雑な動きになかなか頭がついていかない。


世界大不況からの脱出-なぜ恐慌型経済は広がったのか The Return of Depression Economics and the Crisis of 2008

このギャップを多少なりとも埋めてくれる本の一つが、伊藤元重『マクロ経済学』『同 スタディガイド』)である。これも入門レベルの教科書であるが、特に「Part 2 マクロ経済学の応用」において日本の経済問題を多く扱っていて、身近で興味を持ち易い。バブルの形成と崩壊、その後流動性の罠に陥ったとするクルーグマンの物価ターゲット論などが取り上げられている。


マクロ経済学 マクロ経済学パーフェクトマスター 現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門

さて、まだ学部レベルの入門書を読む段階にありながらも、もう少し進んで、最新のマクロ経済のモデルはどうなっているか、その一端を知ることは、到達点を知り、そこまでの位置を把握する点で意味のあることだろうと思う。学部上級から大学院レベルの教科書として、『現代マクロ経済学講義―動学的一般均衡モデル入門』の最初の章に目を通してみた。この本の奥附には、「学部レベルのマクロ・モデルと一流学術誌等に見られる複雑なマクロ・モデルとの橋渡しをすることを意図している」とある。

ざっくりした僕の理解では、伝統的な IS-LM モデルがミクロ経済学の基礎付けを持っていないのに対し、リアルビジネスサイクル・モデル(RBC モデル)をベースに作られた DSGE モデル(Dynamic stochastic general equilibrium model、動学的確率的一般均衡モデル)は、非対称情報や不完全競争、価格の硬直性、ゲーム理論などミクロ経済学の成果を加えたマクロ・モデルとして発展している。New IS-LM モデルも RBC モデルに不完全競争と価格の硬直性を導入したモデルであり、DSGE モデルの一つとして位置づけられるらしい。

マンキューの最新版 "Macroeconomics: International Edition" でも、DSGE モデルに向けて新たに一章が設けられている。

こうしてみると、まだマクロ経済学の入口に立ったばかりであることに気づかされる。

経済学の教科書に関するエントリ