iPhone と Android のアプリケーション開発に特化している GClue 社の代表取締役である佐々木陽氏が、それぞれのソフトウエア開発の違いを解説した記事が、日経エレクトロニクス 2009.2.9号に掲載されている。同社のサイトに、この二つのスマートフォンの比較したスライドがある。
iPhone と Android は、いずれもまだ小学生くらいの子供であり、同じ目標に向かって志を持っている。iPhone はいわば芸術的な才能を持った少年であり、芸術的なセンスにあふれた新しいイノベーションをどんどん起こし始めている。一方、Android はマニアックでギークな才能を持つ少年であり、技術を探求することでイノベーションを起こそうとしている。
「iPhone vs. Android ソフトウエア開発の実際」(日経エレクトロニクス、2009.2.9、pp.74)
このようにたとえられた二つのスマートフォン。どちらもクラウド・コンピューティングの重要な端末になる。この記事で述べられている二つの違いをざっと表にまとめてみると以下のようになる:
iPhone | Android | |
---|---|---|
ビジネス戦略 | 垂直統合AppStore 売上の30%= Apple の収入 | 水平分散Android Market 売上の30%(決済手数料= 携帯電話事業者の収入 |
音楽配信 | iTunes Store | Amazon MP3 Store |
開発言語・環境 | Objective-C +Xcode +Interface Builder | Java +Eclipse +ADT (Android Developer Tools) +Android SDK |
組込みデータベース | SQLite | SQLite |
Web ブラウザ連携 | WebKit のアプリケーション埋め込み | WebKit のアプリケーション埋め込み +ブラウザの JavaScript とアプリ間データやりとり |
アプリケーションの公開 | iPhone Developer Program(年間 10,800円)iTunes Connect サイトで登録や配信数・売上集計Apple 社の審査あり | Android Market への開発者登録(US$ 25) |
携帯電話事業者は iPhone の場合、そのコンテンツを配信する「土管」に過ぎないが、Android では、エコシステムを構成する重要なプレーヤーとして認識されている。Google としてみれば、Android を普及させてそこに広告を表示させられればよいという考え方をしているのだろう。
Web サイトとの連携については、Android アプリケーションは Web サイトの JavaScript とデータのやりとりができるため、緊密である。OpenSocial などの API をアプリケーションから容易に利用することができる。
Google / Android が携帯電話事業者やインターネット上のプレーヤーとの連携を重視していることが見てとれる。