ミステリーやサスペンスは、話題になっているものや友人に薦められたものを読むことが多い。
ある友人に、「えぇー?そんなのあり?」というラストのドンデン返しは好きですか?と訊かれて読んだのが、歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」。なるほど、こういうトリックですか。すっかりだまされた。でもちょっとすっきりしない。僕としては、「スティング」や「シックスセンス」あたりのだまされ方が気持ちいい。
同じ友人に薦められて初めて警察小説というものを読んだ。今野敏「隠蔽捜査」。「踊る大捜査線」では「正しいことをやりたければ偉くなれ」だったが、この警察小説では偉くなっても正しさを貫き通すことの難しさを描く。
人気作家とは言え、自分の好みに合う人とそうでない人がいる。たとえば伊坂幸太郎は今ひとつ肌に合わない。「アヒルと鴨のコインロッカー 」や「陽気なギャング」シリーズを読んだが、その世界観に共感できない。唯一「重力ピエロ」が心に残っている。
一方、東野圭吾は好きである。話題になった「白夜行」や「容疑者Xの献身」。「エンジニア向きでは?」と言って薦められた「天空の蜂」も面白かった。原子力発電のあり方を複数の視点から問うサスペンスになっている。
僕に日本のミステリーを紹介してくれる友人は、海外ものをあまり読まない。海外の作品は映画化されたのをきっかけに読むことが多い。たとえばハンニバル・レクター博士シリーズ。「ハンニバル・ライジング」を読了後、「羊たちの沈黙」「レッドドラゴン」「ハンニバル」を全巻読み直してみた。この中でも「羊たちの沈黙」が秀逸。記述に無駄がなく展開がスリリングである。