Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

球を曲げて、ターゲットを狙う

先日の1ヶ月ぶりのラウンドでは、グリーンを手前から狙っていく時に、アイアンが右に出て、グリーン右のバンカーに捕まるミスが多かった。こういう場合、より大きめの番手を選んで、グリーン奥でもいいから乗せることを考えるべきだったのだろうか?あるいはグリーン左サイド(寄せやすいところ)に外してもいいと考え、そちらを狙うべきだったのだろうか?

muranaga-golf.hatenablog.com

コーチに質問してみた。「いろいろな考え方があるけれど、自分は、グリーンを狙える状況なら狙うべきと考えている(左サイドに外すべきではない)」との答え。そう、昔からラウンド・レッスンなどで、コーチには「グリーンに届くのであれば、狙うべき。刻んではいけない」と教わってきた。このケースの場合も同じで、「(池などのハザードがないのであれば)グリーンを狙え」ということになる。

「打ちやすいところに刻む」「アプローチが易しいところに外す」というのは、70台で回る上級者の考え方であると言う。上級者は「1打が重い」と同時に「寄せワンでパーを取る」技術を持っている。

一方、僕のような 80台・90台のゴルフの人にはまだ早い。なぜならこのレベルのプレーヤーは、ボギーを打つことが許されるからである。

このレベルだと、グリーンに近ければ近いほど、次打でグリーンに乗せられる可能性や確率が高くなる。たとえバンカーに入れたとしても、グリーンに近いから、次に乗せられる可能性はある。また、あえてグリーンの手前に刻んだとしても、そこがディボットだらけでかえって難しいという可能性もあるのだ。

だから、グリーンにできるだけ近づける。グリーンに届くのであれば(かつハザードがないのならば)狙うべきである。

なるほど。

そう言えば『ゴルフデータ革命』(後述)でも「90 プレーヤーはハザードがない限り、できるだけグリーンに近づけるべき」という事実がデータとして示されていた。

ニューウイングゴルフクラブ自主練習で3階打席を独り占め

そしてグリーンを狙うショットについて、「次のレベルをめざすならば」ということで、コーチから新たな練習を教わった。それは

球を曲げて、ターゲット(落下地点)を狙う

練習である。

よく言われるように、ゴルフでは、真っ直ぐの球を打つのが一番難しい。球は曲がるものである。だから球を曲げて目標を狙う。真っ直ぐピンを狙うのではなく、持ち球の球筋で目標を狙え、という教えである。

僕は持ち球がドローなので、まずは球が捕まり易い PW で 100ヤード先のピンを落下地点の目標として、ドローで狙う練習を勧められた。慣れてきたら、少しづつ番手を上げていき、150ヤード先のピン(落下地点)を 6I や 7I で狙う。

意識的にドローの球筋でターゲットを狙う時には、体を打ち出したい方向、つまり右に向ける。フェイスは閉じず(被せず)、ふだん通り、スタンスに対してスクエアに構える。そこから球を左に曲げるつもりで打つ。すると球はちゃんと右に出て左に曲がってくる。

この練習をしていて改めて認識したのは、今まで僕が漫然と打っていたということである。「何となく」ターゲット(ピン)方向に構えて、真っ直ぐ飛ばすつもりで打っていた。僕の場合、そのような狙い方・打ち方でも、球は右に出てドローがかかって左に戻ってくる。結果的には、ピン方向に球は行く。しかし実はそれは「結果論」に過ぎない。

そういう今までのやり方に対して、コーチが言っているのは、打つ前の段階から、「意図的に」曲げるつもりで目標を狙うことである。「何となく」ではなく、もっと明確に、目標(落下地点)と球筋を意識せよ、ということである。

こういう意図を持って、ターゲットより少し右を向いてドローで狙った時、もし球がターゲット方向に出たとする。それは周囲にはナイスショットに見えるかもしれないが、本人としては意図と違う出球になったことで、「危ない。叩きに行く癖が出ている」と感じることになる。ラウンド中はスイングのことを考えるべきではないが、打つ前の狙い・意図と違う球が出ることにより、結果的にスイングのチェックができるということになる。

意図した通りの球筋であったか、そうでなかったか。前者は素直にナイスショットだし、後者は、いつもと違うスイングだったと認識できる。

さて冒頭の問題に戻り、右手前にバンカーがあるグリーンを狙う場合で考えてみよう。

  1. 何となく真っ直ぐピンを狙って、結果的に右バンカーに捕まった
  2. バンカーの上からドローをかける意図を持って打った

この二つは本質的に違うものだと、コーチは言っている気がする。2. でドローがかからずに右バンカーに捕まったら、思ったほどフェイス・ローテーションができなかったことがわかる。もし真っ直ぐピン方向へ球が出たら、引っかけている、ないしは叩きに行っているというミスがわかる。1. だと漠然と「フェイスが開いたな」とはわかるが、自分へのフィードバックとしてはそれだけになる。

今年の初め、「頭で考え過ぎず、ゴルフの感性・本能を鍛える年にしてください」とコーチに言われた。ゴルフの感性を磨くためのアドバイス

  • ナイスショットとミスショットの違いを感じる
  • 本番でいろいろなことを試してみる

というものだった。今回の「球を曲げて、ターゲットを狙う」という教えは、特に前者に関連するものと位置づけられる。

muranaga-golf.hatenablog.com

今回、コーチには「球遊び」をして欲しいと言われた。球を意図的に曲げる、高い球を打つ、低い球を打つ、同じクラブで距離を打ち分ける…。遊びながら、いろんな球を打ってみて欲しいとのこと。

そう言えば、倉本昌弘プロも『本番に強くなるゴルフ』(令和改訂版)で、

  • 球を曲げたり、高さを変えたり、距離をコントロールしたりしながら目標を狙う
  • できるできないにかかわらず、それをやろうとすること、やり続けることで、自分の感覚が磨かれる

と書いている。球を曲げる、高さを変えると言ったことは上級者の技術だから自分には関係ない。そう思わずに、やってみる、やり続けることによって感覚が磨かれるという。

muranaga-golf.hatenablog.com

今回コーチから教わった「球を曲げて、ターゲットを狙う」ことの意味を、僕自身はまだ十分に理解できていないと思うが、次のレベルへ向かうステップだというので、継続して練習をしてみようと思う。そしてラウンド中も、狙い・球筋について明確に意図を持ってから、打つようにしたい。それを積み重ねることで、また見えてくるものがあるかもしれない。

結局この日は、PW で持ち球のドローを打つだけには飽き足らず、フェードで距離を落として狙うといった、余計な練習もしてしまった。PW で真っ直ぐ 100-110ヤードのピンを狙う。ドローで 120ヤード打つ。フェードで 90ヤード打つ。持ち球でないフェードの精度は低いが、意図的に左右に球を曲げる練習は、距離のコントロールにもつながり、いずれ本番で役に立つ日がくるだろう。

試しに、コーチに 6I でフェードを打つところを見てもらった。いわゆるスライス、偽フェードになっていないか聞いたところ、「いいフェードです」と褒められて、ちょっと嬉しい。「捕まったフェードが打てるのは、ちゃんとインサイドからクラブが来ている証拠」とのこと。

本番に強くなるゴルフ

本番に強くなるゴルフ

Amazon

これは面白い。動的計画法に基づくゴルフの統計データ分析により、ゴルフの 1打の価値を示す。ゴルフは各ショットによる多段階の決定問題と見なせるので動的計画法が応用できる。

(2018年3月:再読
3年ぶりに読み直したら、自分の上達具合に応じて、新たな箇所が気になったりした。データに基づくパッティングのライン読みは、もっと頭の中に入れて実践してみると、役に立つ気がする。)

スコアに対するショットの貢献を「稼いだ打数」と定義する。ホールアウトまでの平均打数の減少分からそのショットの 1打を差し引いたもの 。たとえば 、平均スコア 4のホ ールでティーショットを打ち 、ホールアウトまでの平均打数が 2.8打のフェアウェイにボールが止まったとすると 、このティーショット 1打でボールを 1.2打分カップに近づけたことになる 。この 1回のティーショットで稼いだ打数は 0.2打となる 。

「稼いだ打数」を、パット、ティーショット、100ヤード以内のショートゲーム、100ヤード以上のショット(「アプローチ」という)など、ショットの種類で分類。これら Score Gained Putt (スコアに対するパットの貢献。たとえば 平均打数が 1.5打の距離から 2パットでホ ールアウトしたとすると 、稼いだ打数は -0.5打となる 。)、Score Gained Driver、Score Gained Approach / Shortgame などの指標により、それぞれのショットの価値を分析すると、米国 PGA ツアーで活躍するプレーヤーの特徴・意外な姿が浮かび上がってくる。PGA ツアーのすべてのショットが記録されているデータベース、ショットリンクの賜物である。

さらには平均的なアマチュアプレーヤーのデータベースもあるので、たとえば平均80プレーヤーと平均90プレーヤーの違いがわかる。

パッティングについては、(A) ツアー選手、(B) スクラッチプレーヤー、(C) 「平均 90 プレーヤー」が 1パットで入れる確率:
(A) (B) (C)
0.6m: 99% 99% 95%
0.9m: 96% 93% 84%
1.2m: 88% 80% 65%
1.5m: 77% 66% 50%
1.8m: 66% 55% 39%
2.1m: 58% 47% 32%
2.4m: 50% 41% 27%
2.7m: 45% 36% 23%
3.0m: 40% 33% 20%

平均90プレーヤーだと、1.5m(5ft)を1パットで入れる確率は 50%、平均 1.5パット(SGP)である。ここを 1パットで入れれば SGP で0.5打稼ぐことになる。

また、平均 90のプレーヤーと平均 80プレーヤーの10打の差は、ティショットで 2.5打、100ヤード以上のショットで4打、100ヤード以内のショートゲームで 2.1打、パットで 1.4打あると分析している。つまりわれわれレベルはショット練習が重要ということだ。

またセカンド・サードショットにおいて、打ち易い距離を残すべき、というのが、アベレージ・ゴルファーへの一般的な教えだったが、実はハザードがない限り、できるだけグリーンに近づけるべきというのが統計的にデータ分析をした結論。へぇー。確かにウェッジのフルショットの距離、70-100ヤード残すよりも 30-50ヤードの方がグリーンに乗せる確率は高そう。

そして最も興味深いのは、「飛距離か精度か」という問いに答えを出していること。これらはトレードオフではなく、実は統計的には「よく飛ぶゴルファーほど真っ直ぐ打てる。」そのうえで「プロにとっては飛距離のほうが精度より重要である。アマチュアがスコアを縮めるには飛距離のほうが精度よりはるかに重要である。」と結論づけている。

というのは、20ヤード、ドライビングディスタンスを伸ばした時の縮まる打数は、PGAツアー選手で 0.8、80プレーヤーで 1.3、90プレーヤーで 1.6、100プレーヤーで 2.3。精度を 1度高めた時の縮まる打数は、PGAツアー選手で 0.8、80・90プレーヤーで 0.9、100プレーヤーで 1.0。つまり、われわれにとってドライビング・ディスタンス、「飛ばし」は重要なテーマなのである。

このように自分のレベルではどのショットを練習すべきなのか、その方針を導くことができる。その他にも興味深い、意外な事実が導かれ、一読の価値あり。

golf103.hatenablog.com