「このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。」
衝撃的な書き出しで始まる荒唐無稽なファンタジィが、またしても万城目学によって放たれた。『プリンセス・トヨトミ』である。
今回は鬼は出てこないし、鹿もしゃべらない。ごく普通の市井の人の暮らしが描かれる。しかしそこには、父親から息子へ、母親から娘へ、連綿と語り継がれていく秘密の物語があった…。大阪の町は奥が深い。
『鴨川ホルモー』の時もそうであったが、前半なかなか話が始まらない。500ページのうち 200ページくらい読み進んだところで一気に話が展開する。冒頭の書き出しに惹かれて、ここまでついてこられた人は、最後まできっと面白い。
万城目学に関するエントリ
- 2008.1.20:古都のファンタジー
- 2008.3.30:『鹿男あをによし』サウンドトラック、万城目学のエッセイ『ザ・万歩計』
- 2008.5.9:万城目ワールド、全開!