「クラウド」、「雲の中」と言っているが、クラウドコンピューティングの実体は、データセンターにある。その中では、コンピューティング(CPU とメモリ)、ストレージ、ネットワークの3つの要素が組み合わせられ、分散してスケーラブルなコンピュータ群が構成されている。これらの資源は仮想化され、必要なだけ利用者に提供される(たとえば Software Defined Datacenter)。
そのうちの一つ、最新のストレージ技術(フラッシュストレージ、ストレージの階層化、バックアップにおける重複排除など)については、たとえば以下の IT Leaders の記事などで、その概略が解説されている:
こういった解説を読むための前提となるであろう、ストレージ技術やシステムの全体像を概観するのに適した本を 2冊、そこで説明されている技術項目群をメモしておく。
- 作者: EMC Education Services,株式会社クイープ
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2013/02/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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一つは『IT技術者なら知っておきたい ストレージの原則と技術』、ストレージのトップベンダーの一つである EMC の教育部門が執筆したストレージ技術の入門書である。
最新のストレージ技術全般の知識を広範囲に身につけることができる。(ついでに EMC 製品についても学ばされることになる。)通読して学ぶもよし、ざっと目を通して自分の知識の弱いところ、曖昧なところを補うもよし。個人的にはストレージ・ネットワーキング技術の知識を補強できた。
この本では以下のような技術を解説する:
- 単体のストレージ技術
- HDD/SDD、ストレージI/F
- RAID、ストレージアレイ
- 仮想プロビジョニング
- ストレージ・ネットワーキング技術
- ストレージ共有技術
- ファイルシステム・ストレージ NAS(Network Attached Storage)
- InfiniBand 活用によるスケールアウト NAS
- オブジェクト・ストレージ
- それらを統合するユニファイド・ストレージなど
- ストレージ管理技術
- 作者: 喜連川優
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2011/05/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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もう一冊は『よくわかるストレージネットワーキング』、ストレージシステムの基盤技術入門書である。『IT技術者なら知っておきたい ストレージの原則と技術』より、概念説明がわかり易いかもしれない。この本で扱っているのは下記の技術である:
- SAN
- FC(FiberChannel)-SAN に代表されるストレージネットワークに関する導入
- 各種技術の概要紹介
- IP-SAN/イーサネットストレージ
- ストレージ仮想化
- ストレージ仮想化により、物理構成に依存しない環境、運用・管理の一元化、高い拡張性が実現
- グローバルネームスペース、高速コピー、スナップショット、複製、クラスタ化、シンプロビジョニング、ライフサイクル管理などの紹介
- ストレージリソース管理
- デバイス管理(機器管理と構成管理)
- プロビジョニング
- 性能管理
- データ保護
- ファイルシステム
- SSS (Solid State Storage)
- グリーンストレージ
- クラウドストレージ
- Amazon Web Services の S3、EBS:使用量に応じた課金
- クラウドストレージに関する標準化:CDMI(Cloud Data Management Interface)
- ストレージセキュリティ
- ストレージネットワークに対する脅威と対策:プロービング、傍受、脆弱性評価、スキャニング、侵入テスト
- データセキュリティ:アクセス制御、サニタイゼーション
- 暗号化
- 監査ログ
- 将来のストレージ技術
- オブジェクトストレージ
- グリーン化技術
- フラッシュメモリ特性の活用
- 仮想化ストレージの高機能化
ストレージ・ネットワーキングの業界団体 SNIA (Storage Networking Industry Association) があり、そこが用語集を提供している。