Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

ストレージ技術を概観する本

クラウド」、「雲の中」と言っているが、クラウドコンピューティングの実体は、データセンターにある。その中では、コンピューティング(CPU とメモリ)、ストレージ、ネットワークの3つの要素が組み合わせられ、分散してスケーラブルなコンピュータ群が構成されている。これらの資源は仮想化され、必要なだけ利用者に提供される(たとえば Software Defined Datacenter)。

そのうちの一つ、最新のストレージ技術(フラッシュストレージ、ストレージの階層化、バックアップにおける重複排除など)については、たとえば以下の IT Leaders の記事などで、その概略が解説されている:

こういった解説を読むための前提となるであろう、ストレージ技術やシステムの全体像を概観するのに適した本を 2冊、そこで説明されている技術項目群をメモしておく。

IT技術者なら知っておきたい ストレージの原則と技術

IT技術者なら知っておきたい ストレージの原則と技術

一つは『IT技術者なら知っておきたい ストレージの原則と技術』、ストレージのトップベンダーの一つである EMC の教育部門が執筆したストレージ技術の入門書である。

最新のストレージ技術全般の知識を広範囲に身につけることができる。(ついでに EMC 製品についても学ばされることになる。)通読して学ぶもよし、ざっと目を通して自分の知識の弱いところ、曖昧なところを補うもよし。個人的にはストレージ・ネットワーキング技術の知識を補強できた。

この本では以下のような技術を解説する:

  1. 単体のストレージ技術
    • HDD/SDD、ストレージI/F
    • RAID、ストレージアレイ
    • 仮想プロビジョニング
  2. ストレージ・ネットワーキング技術
  3. ストレージ共有技術
    • ファイルシステム・ストレージ NAS(Network Attached Storage)
    • InfiniBand 活用によるスケールアウト NAS
    • オブジェクト・ストレージ
    • それらを統合するユニファイド・ストレージなど
  4. ストレージ管理技術

よくわかるストレージネットワーキング

よくわかるストレージネットワーキング

もう一冊は『よくわかるストレージネットワーキング』、ストレージシステムの基盤技術入門書である。『IT技術者なら知っておきたい ストレージの原則と技術』より、概念説明がわかり易いかもしれない。この本で扱っているのは下記の技術である:

  1. SAN
    • FC(FiberChannel)-SAN に代表されるストレージネットワークに関する導入
    • 各種技術の概要紹介
  2. IP-SAN/イーサネットストレージ
  3. ストレージ仮想化
    • ストレージ仮想化により、物理構成に依存しない環境、運用・管理の一元化、高い拡張性が実現
    • グローバルネームスペース、高速コピー、スナップショット、複製、クラスタ化、シンプロビジョニング、ライフサイクル管理などの紹介
  4. ストレージリソース管理
    • バイス管理(機器管理と構成管理)
    • プロビジョニング
    • 性能管理
  5. データ保護
  6. ファイルシステム

  7. SSS (Solid State Storage)

  8. グリーンストレージ

    • データセンターの電力使用効率 PUE: 改善する技術としてのフライホイールUPS、外気による冷却、暖気通路/冷気通路
    • グリーンストレージのための四つの戦略:
      1. 電力効率:電源・ファンの効率、SSD
      2. 冗長度を下げる:デルタスナップショット、RAID 5-6
      3. ストレージ容量削減:容量計画、シンプロビジョニング
      4. 効率的格納:重複排除、圧縮

  9. クラウドストレージ

  10. ストレージセキュリティ

    • ストレージネットワークに対する脅威と対策:プロービング、傍受、脆弱性評価、スキャニング、侵入テスト
    • データセキュリティ:アクセス制御、サニタイゼーション
    • 暗号化
    • 監査ログ

  11. 将来のストレージ技術

    • オブジェクトストレージ
    • グリーン化技術
    • フラッシュメモリ特性の活用
    • 仮想化ストレージの高機能化

ストレージ・ネットワーキングの業界団体 SNIA (Storage Networking Industry Association) があり、そこが用語集を提供している。

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