Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

井上透プロコーチの『ゴルフ 90 を切る「素振りトレ」』を読むと、真摯に練習に取り組みたくなる

「大概のアマチュアはシャローイングができない」と言う井上透プロコーチ。その『ゴルフ 90 を切る「素振りトレ」』を読む。素振りを基本としたスイングの身につけ方、ショートゲーム、メンタルについて書かれた本だ。凄くシンプルなことが書かれている。読み飛ばしてしまいそうなくらいシンプルだけど、よく読むと、アスリート志向で味わい深い本である。至極まっとうな教えであり、この本を読むと真摯に練習に取り組みたくなる。

たとえば次のような言葉が心に響く。

  • 正しい軌道を素振りで身につけよ。正しい軌道のスイングは綺麗なスイングでもある。綺麗なスイングでなければ、いずれ伸び悩む
    • ひたすら地面の同じ場所を擦ること。それを全番手でやれるようにすること。
  • 素振りで正しいスイング軌道が身についたら、次の段階。ボールを打ってフェースコントロール、安定した打点を身につけよ。
    • 芯に当てよう。いいスイングをすれば芯に当たるのではない。「芯に当てる努力をしてつくり上げたものがいいスイング」なのである。
  • アプローチは「ただ打て。とにかく打て」
    • 頭で考えて動いても、アプローチの「勘」は磨かれない。めちゃくちゃたくさん球を打つ。無意識のうちに調整する力が養われる。

自分の苦手なこと・欠点を把握すること。それを中心に練習することを説く。たとえば、まずインパクトシールで打点の傾向を知ること、ショートパットの苦手なラインを知ること。その上でそれを克服する練習をしていく。あたりまえだけど、質の高い練習の本質をついている。

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この本の基本的な考え方は次の通り:

同じ1万時間の練習でも質の高い努力をしたい。そのためには「質のいいスイング」を身につける必要がある。それに必要なのが「素振り」。「素振り美人」になることが重要。

  • 素振りで大事なのは形(見た目)、リズム、いい軌道で振れること。
    • 韓国の女子プロを真似るのがオススメ。
  • 上達が早い人は次のようなことを実施している:
    • 自分のレベルを正しく認識する。
    • ミスを正しく反省する。
    • ラウンド後その日のうちに練習ないし復習する。
    • 反省すべきはスコアではなくショット(ミスの傾向)
    • その日の調子に対する調整力がある(安定を求めない)。
    • 正しいポジションに固執せず、自由な選択・試行錯誤ができる。
    • アプローチとパットの練習が多い。
  • 質のいいスイングの三つの条件
    1. 正しい軌道で振れる
    2. フェース向きを管理できる
    3. 打点が安定している(芯で打つ)
  • 1.は素振りだけで身につけられる。2.3.は打点に関する経験・勘が必要で、球を打って磨く。1. を身につけてから 2.3.に進むべし。

ここまでが、この本の基本的な考え方である。その質の高い練習の中身について、以下にまとめておく:

正しい軌道
  • 正しい軌道を身につける素振りトレーニン
    • ヘッド2-3個の幅でスティックを2本平行に置く
    • 2本のスティックに当たらないように素振り
    • 地面(マット)を薄く擦る
    • ドライバーからウェッジまで
  • アイアンは自分のセンター(鼻の下)より左側を擦る
    • ヘッドが右に落ちているのはダフっている証拠:
      • 右足に体重が残っている、アッパーに振ろうとしている、アーリーリリースなどが原因
    • ヘッドが左に落ちる場合:
      • 体重が左にかかり過ぎている、上から入れ過ぎている、リリースが遅いなどが原因
  • 正面からスマホ画像でチェック
    • バックスイングで右腰がアドレスのライン通りに回転する
    • 頭:左右の動きはウェッジでほぼゼロ、ドライバーなら頭半分まで
    • 頭:上下動はほぼゼロ
    • ハーフウェイダウンで、左腕とクラブの角度が90度以下(それ以上だとアーリーリリース)
    • フィニッシュでバランスよく 3秒以上立てる
  • 飛球線後方からのチェック
    • フェース向き: *トップで 45-60度空を向いている。
      • ダウン(ヘッドが腰の高さ)ではトゥが真上を向いているか、前傾した背骨と平行
    • 軌道:
      • ダウンとフォローで軌道が同じ
      • シャフトが右肩より低い位置を通って下りてくる
      • ドリル:ゴムホースドリルの連続素振り。トップとフォローで肩に当たるように。
    • 前傾角度のキープ:
      • アドレス時の「左腕とクラブが作る手首の角度」をキープしてインパク
      • バックスイングでのコッキングが不可欠 *ドリル:アドレスした状態から手元を動かさずに、コックして90度の角度を作る。この手首の角度をキープしたまま、バックスイングして、そのまま素振り。
フェースの管理
  • インパクト時のフェースの向きをチェック
    • 真っ直ぐ振って右に出るなら開いている
    • 左に出るなら被っている
  • インパクトバッグを叩いて、フェースが開く動きを直す
  • ハンドファースト
    • 切り返しにて、左手首が自然にしなり、手のひら側に折れた(ヒンジ)形で下りてくる
    • ヘッドが手元より遅れ、手元がヘッドより 10cm ほど先行するハンドファーストとなる
    • 手首をしならせられない人は、左手をフックグリップにする
  • 手元を支点にクラブをぐるぐる右回りに回転させる
    • 手首を柔らかく使う感覚、自然なグリップやグリッププレッシャーが身につく
  • フェース面を思い通りに操るためには、テニスラケットの素振り
    • ドローやフェードの打ち分け
    • フェースの開閉を抑えたコントロールショット
打点の安定
  • いつも芯に当てることを目標に練習する
    • 「芯に当てる努力をして作り上げたものがいいスイング」
    • 「いいスイングをすれば芯に当たる」のではない
  • インパクトシールで、打点のズレの傾向を把握
    • 考えないで振る練習:すぐ打つこと、リズムを合わせて打つこと
  • 左右の打点のズレ
    • 「芯で打とう」と意識する
    • ボールと身体との距離を変える
    • ヘッドをセットする位置を、ヒール寄り、トゥ寄りに変える
    • 擦るマットの位置が安定するまで、素振りを繰り返す
  • 「芯に当てる」調整力を磨くために
    • わざと空振りする:ボールの手前や向こう側
    • わざと先っぽに当てたり、ネックに当てたりする
  • 上下の打点のズレ
    • 最下点がボールより手前:
      • 右足体重、ボール位置が左過ぎる
    • 最下点がボールより先:
      • 左足体重が強過ぎる、ボール位置が右過ぎる
    • すべての番手で同じ位置が擦れるように素振り
  • ドライバーの打点のズレ
    • テンプラ
      • ヒール寄りの当たり → ボールに近すぎる
    • トップ
      • トゥ寄りの当たり → ボールから遠い
    • 打点が上にズレやすい
      • ヘッドが上から入っている → 体が左に突っ込んでいる
    • 打点が下にズレやすい
      • ヘッドが下から入っている → 体重が右に残り過ぎている
  • 「打点を安定させる」調整力を磨くために
    • 重いものを振る:700-800g のマスコットバット
    • 1日5分、右に30回、左に30回
アプローチ
  • スコアメイクの鍵はアプローチとパット
  • 一つの技術しか使えないより、さまざまな打ち分けを経験し身につけた人の方が、上達のスピードが速く、頂点が高くなる。
  • アプローチは「勘」を磨くこと。それにはめちゃくちゃたくさんボールを打つこと。
    • 30分で30ヤード以内を150球。何も考えず「ただ打て。とにかく打て」
    • 人は無意識に調整する。その中で「勘」が磨かれる。
30ヤード以内
  1. 基本のピッチ&ラン
    • キャリー:ラン=5:5
    • 距離感は振り幅ではなくクラブスピードで調整
    • ボールに近づき、ハンドアップで構える、少しウィークグリップ
    • 切り返しでうっすらできた左手のヒンジの動きを感じ取り、それをキープしたままインパク
    • ヘッドとボールのスピードを一致させると、球の高さも揃う
  2. それより低いピッチ&ラン
    • 体重を左足にかけ、低く打ちたい時ほどボールを右に置く(ハンドファーストの度合いが強くなる)
    • ヘッドをぶつけたらおしまい、フォローを抑えて打つ
    • 距離感はインパクトの強さ。「当て勘」「刺し勘」を自分の中にインプットする
    • 冬場、ディボット跡、薄芝などのライはぶっつけ打ちで距離感を出す。砲台グリーンのワンクッションも、前ではなく上に跳ねてくれる。
  3. 高い球のアプローチ
    • フェースを開きハンドダウンに構える。両膝を曲げ重心を落とす
    • ボールの位置は左
    • フェースを開く分、左に向く
    • テークバックの始めから左親指方向にコック
    • ダルマ落としの要領で、ヘッドをボールの下にくぐらせる
    • 体を回したり重心移動させたりする動きはない
40-70ヤード
  • 30ヤード以上はコックを使う
  • 距離感は「振り幅+勘」
  • 「ひざからひざ」「腰から腰」「肩から肩」で基準を作る。あとはその微調整。
  • 「胸から胸」「耳から耳」もあり。体の上の方で基準を作る。
パッティング
  • ボールは左目の下、それより 1-2個分遠いか左にあるのはOK
  • 左肘からパターが一直線。手首を使わないため。
  • バックスイング 1:フォロースイング 2
    • 自然とアッパー軌道となり、転がりがよくなる
  • ショートパット(3m 以内)
    • ラインに対してスクエアなフェース向きでインパクトし、ボールを芯でとらえることが絶対条件
    • フローリングの床のラインにフェースを合わせる練習
    • フェースの芯の左右にテープを貼り、芯で打つ感覚を磨く
    • 一つのボールをもう一つのボールにぶつけて、スクエアにインパクトして真っ直ぐ打ち出す練習
    • ボールの赤道部分に線を引き、線が真っ直ぐ見えたまま転がる練習
    • コースの練習場で、カップの周り 2m にサークル状にボールを置き、カップインさせる練習
      • 苦手なラインを知り、それを練習する
  • ドルパット(3 - 10m)
  • ロングパット(10m 以上)
    • 部屋の中で「強く打つ」練習。座布団やクッションめがけて、10m 以上をイメージして打つ。
    • パットの上手い人の転がりを見る。
    • ピッタリに寄るスピード、転がりのイメージを養うには、見た経験を増やすこと
打たれ強いメンタル
  • 「1打の価値はすべて同じではない」
    • 精神的に揺さぶられた状況にいくつも出合う。より1打に集中すべき場面がある。
  • 「自分の心は揺さぶられている」ことを自覚し、フラットな気持ちで打てるよう、次の一打に集中する
  • プロのスコアメイクの5ヶ条を、アマチュア用に置き換える:「ボギー」→「ダボ」、「パー5」→「パー3」
    1. スタートホールでダボを打たない
    2. 9番と18番でダボを打たない
    3. パー3 でダボを打たない
    4. パーやバーディのあとにダボを打たない
    5. ダボのあとにダボを打たない
  • 自分がどんな場面に弱いのか、自分の弱点を知る
    • OB などのミスのあとにミスを重ねる
    • スタートホールで失敗すると立ち直れないなど
  • いいスコアが見えている時の最終ホールは要注意
  • 実力よりちょっと高い目標を立てる
  • パー3 のためにティーアップして練習しておく
  • 苦手な状況を想定して練習する
    • 狙ったところより右に打たない、左に打たない
    • 難しいコースに行くと、普段のコースが易しく感じられる
  • 脳の指令と体の反応を一致させる
    • パッティングであれば打つ前の素振りでイメージをしっかり作り、そのイメージ通りにストロークする
    • そのために「打った瞬間、結果を宣言する」練習