最近、グリーン周りにおいて専らサンドウェッジ(ロフト:56度、バウンス角:6度)を使うようになったのは、スピンのかかるアプローチに憧れているからだ。コーチにも 56度を使うことを勧められた。その契機となったムック本が今野康晴プロによる『確実に寄るアプローチ術』である。「80台を出したいゴルファーのため」「スピンがかかってキュキュッと止まる」といった副題が、とても魅力的である。
この『確実に寄るアプローチ術』では「80台のスコアを出したければ SW 1本で、アプローチのいろいろな打ち方を学ぶ」ことを提唱している。この本を読んで、目から鱗というか、大きな誤解が解けた。実はこれまで、フェースを開くことでボールをフェースに乗せ、カット軌道に打つことでスピンをかけると思っていたのだ(実はこのやり方も正しい。追記で補足)。フェースを立てることで、フェースにボールが乗ってスピンがかかるというのは、考えてもみなかった。今は出球を低く、フェースを立ててスピンをかけるやり方で、56度のウェッジの練習を行っている。ラウンドでも専ら 56度を使うようにして、さまざまな状況の経験値を増やそうと思っている。
この本に書かれているアプローチの技術について、メモをまとめておく:
- ボールの位置で打ち出し角とスピン量をコントロールする
- キャリーよりランを多くしたければ、ボールを右に置き、ランよりキャリーを多くするイメージならば、ボールを左に置く
- ボールの位置が変わっても、両手は左腿の付け根の前にセット
- ボールをどこに置いても、スクエアにとらえられるようなインサイドインの軌道で振る
- ダフリ防止のコツは重心をボールの左にキープすること
- おへそをボールより少し左側にキープしてアドレスし、スイング中もおへその位置が変わらないようにする
- 体のセンター軸・頭の位置を固定し、胸を左右に回して体の回転でスイング
- 両脇を適度に占めて、胸を左右に回せば腕とクラブがついてくる感覚
- テークバックではクラブの重さでコックが自然に行われる
- 軽くコックした手首の角度をほどかずに打つ
- バックスイングは肩だけ回し、ダウンスイング以降は腰を回す
- ダウンスイング以降は、腰を回せば肩も自然に回転し、腕や手・クラブが勝手についてくるというイメージ
- 右ひざを左ひざに寄せて、腰のベルトのバックルをターゲットに向けよう
- オープンスタンスに構えるのは、バックスイングが大きくなるのを抑制し、かつダウンスイング以降の腰の回転をスムーズにするため
- 右ひじはフェースの向きを管理する司令塔。右ひじを下に向けておけば右手首の角度が変わらない
- 右ひじを右わきに軽く触れた状態で体をまわす
- 右ひじを下に向けて体の近くを通せば、右手首の角度をキープできる
- スピンがよくかかるアプローチは、ボールの出球が「低め」となる
- 出球が低い方が距離感も合いやすい
- フェースを立てて前に押すようにヘッドを出せばスピンがかかる
- スピンがかかるのは、ライがよく、クラブヘッドを入れやすいなどの条件が揃っている時
- 右手首の角度をキープし、フェースを立てながら振り抜く。フェースを立てて、フェース面にボールが長く吸い付くイメージ
- フェース面の下の方の溝に当ててインパクト、フェースの溝1本分ボールが乗るイメージ。これでスピンがかかる
- テークバックなしでボールを飛ばすと、フェースに乗せる感覚がわかる
- ボールを前に飛ばすには、フェース面にボールを乗せるイメージが欠かせない
- クラブを振り出す時に、一瞬フェース面を立てて、手先を使わずに体幹の回転を使って、クラブを振らなくてはならない
- SW が難しければ、PW や 9I を使うといい
- クラブヘッドをボールの真下にきっちり入れることが大前提
- ハンドファーストに構えて、緩やかな角度で入り、フェースの刃をボールの真下まできちんと入れることが重要。そのままソールを真っ直ぐ滑らせていく
- バウンスの前側を使って打てば、ソールを滑らせることができる
- フェースをスクエアにセットし、ハンドファーストに構えると、フェースの刃が芝につき、ボールの下までクラブヘッドが入っていくイメージが湧きやすい
- フェースを寝かせるほど、バウンスが芝に跳ねてトップしやすくなる
ここまでが基本の打ち方で、高く上げる時は:
- フェースを開いてハンドダウンに構える
- フェースを開くとヒールが浮き、そのまま打つとフェースの刃がボールに直接当たりやすい
- グリップを下げてハンドダウンに構え、シャフトを少し寝かせて、ソール全体を芝につける
- クラブの重さを利用して、ゆっくり大きくスイングする
さらに状況別のテクニックとして、以下が紹介されている:
- ショットのイメージづくり:落とし場所を決めて、そこまでの距離感で打つ
- ボールが花道でピンが奥:
- ピンまで 40ヤード近くある時、SW の転がしでも寄せきれない時は、AW に持ち替える
- ラフからのアプローチ:
- ボールが浮いている場合は、フェースをスクエアにセット。コックを抑えて、横から払い打つ。鋭角に打つとダルマ落としになり易い
- ボールが沈んでいる場合は、フェースを少し開いて構える。クラブをやや立てるイメージでコックを使い、鋭角に打ち込む
- いずれにしてもスピンはかかりにくく、ランを多めに見積もって、落とし場所を設定する
- バンカー越えのアプローチ:
- ボールがラフに沈んでいる場合は、フェースを開いて、ピンの右に向け、スタンスを広めに、ゆっくり大きくロブショット
- ボールがラフに浮いている場合は、フェースを寝かせて(傾けて)、フェースの刃をピンに向けて、横から払い打つロブショット
- ディボット跡:
- ボールを上げようとするとミスにつながるので、転がす。パターではなく UT だとボールの弾きがよくて転がりもスムーズ。ソールも滑ってくれる。
- UT を短く持って、ピッチエンドランと同じ姿勢でアドレス、パットの感覚で手首を固定、ソールで芝を掃くイメージでボールを横からヒット
- グリーン奥からの左足下がり:
- グリーンも下っているケースが多く、どこに落としたらランを少なく抑えて、ピンの近くに止めやすいかをイメージ、たとえばグリーンエッジの少し手前に落とすなど
- 低く打ち出すイメージで、斜面に沿って、クラブヘッドを目標よりも左に振り抜く
- 距離感のコントロール:
- 距離感はフルショットから「引き算式」で覚える
- フルショットから、肩の高さ、胸の高さ、腰の高さと言う具合に振り幅を小さくして、距離がどう変化していくかを練習で把握する
- 振り幅は左右対称に。
- またクラブを指1本分短く持って、スタンスを狭めれば、5ヤード減となる
そして最後に、左手打ち、右手打ちなどの各種練習法が紹介される。
カット軌道でスピンをかけるやり方もある(2020年9月5日 追記)
「Golf Today 2020年10月号」はアプローチの特集。この号で、何と今野康晴プロは、スピンをかけるアプローチの別のやり方を紹介している。それは「アウトサイドインのカット軌道でバックスピンをかける」というもの。ムック本には「インサイドインでフェースを立てる」と書いてあって、これまでの大きな誤解が解けたと思ったが、なぁーんだ、このやり方も正しいんじゃないか。
- アドレス
- ややオープンスタンスに構える(ピンのやや左を向く)
- サンドウェッジを軽く開く(フェース面はピンのやや右を向く)
- ボールの位置はスタンスの中央、狭めのスタンス
- 両手の位置は体の中心線上(左腿の付け根ではない!)
- スタンスの向きに沿って、アウトサイドインに振り、カット軌道でスピンをかける
- フェースの使い方
- フェース面のヒール側から当ててトゥの方に抜けていくという具合に、フェース面を斜めに使うのがコツ
- フェースを返さない。フェース面を上に向けたままで振るイメージ。
- 腰とクラブを体の正面にキープし、腰の回転でスイングする
- 右傾斜のグリーンはスライス回転で寄せる
- フック回転で傾斜と回転を相殺させる方法もある。ランがかなり抑えられるので、ピンに向かって真っすぐ打ち出す。
- 花道からはフック回転で低く転がす
最後のフック回転のアプローチが、本文で紹介したムック本のやり方である。
要するに、スピンをかける方法は一つだけではない。
- フェースを立てながら(ターンさせながら)、低く出す(フック系)
- 開いたフェースを返さずに斜めに使い、カット軌道で振る(スライス系)
と、いろいろな方法があるということだ。どちらも自分のものにして、状況に応じて使い分けられるようにしていきたい。