『90を切る!倉本昌弘のゴルフ上達問答集』と『シングルへの道 倉本昌弘のゴルフ上達問答集』の2冊には、何度も目を通している。歯に衣着せない「倉本節」が心に刺さる本である。
『90を切る!』に書かれた「90 を切るゴルフ」そして「80 を切るゴルフ」について、それぞれブログ記事としてまとめている。
muranaga-golf.hatenablog.com muranaga-golf.hatenablog.com
ここではその間となる「平均 85 のゴルフ」、すなわちシングル一歩手前のゴルフについて、『シングルへの道』に書かれた教えのエッセンスをまとめておく。「90 を切るゴルフ」については、少しづつ実践できるようになってきたと思うので(ホントか?)、その一歩先のゴルフについて、学んでおきたい。
この本で倉本昌弘プロは「ボギーゴルフを少しだけ進化させれば、憧れのシングルになれる」と提唱している。
シングルへの道
- 「平均 85」でシングルへの道(ハンディ 9)が見えてくる
- 「90を切る」はホールマネジメントで成しえたが、「平均 85」は練習が必要
- たった5打だが簡単ではない。「たかが5打、されど5打」
- ドライバーの平均飛距離が 200ヤードでも全く問題なく可能なレベル
- 「90を切るゴルフ」の基本である「ボギーオン」のゴルフを続ける
- チャンスとなった時に「パーオン」のゴルフを行う
- ティーショットが飛んで得意なクラブが使える時
- グリーン周りが易しく、ミスをしてもボギーが拾えそうな時
- 思わぬパーが拾えて、よい波が来ていると判断した時
- ハンディ 5以下と 10以下ギリギリでは全く実力が異なる
- 5 以下は「80を切るゴルフ」、悪くても 80台前半で上がる。技術が必要、練習もかなり必要
- シングルになることで、これまでに体験できなかったゴルフの世界を知ることができる
ドライバーショット
- リズムよく振ることが最も大切
- 素振りのリズム、素振りをイメージして振る
- 腕の振りと体の回転がシンクロすることが大事
- スイングには先行動作があるので、常にはそうならないが、腕の振りと体の回転が一致するイメージで振る
- 素振りではゆっくりのリズム(拍子)でシンクロさせる。そのリズムを保ったまま、本番は速いテンポで振る
- 「振る」のであって「打つ」「叩く」ではない
- 本番は素振りにたまたまボールがあるだけ
- ボールがあっても素振りのように「振る」
- ホールによって、スイングの強弱のメリハリをつける
- 1打の重みがわかる上級者ほど、心の問題で、リズムよく振れなくなる。それを克服するために…
- ホールによって、スイングの強弱のメリハリをつける
- このホールは振ってもいい、ここは振ってはいけない、というメリハリをつけることで、プレーにもスイングにもリズムが出てくる
- 腕の振りと体の回転がシンクロする振りの中で強弱をつける
- スイングの大きさはフルスイング(ハーフスイングではない)。スピードが違う。
- 100%:振っていい時。シンクロする中で最速で振れるスイング。以前から8割のスイングと言っているフルショットのこと
- 80%:振ってはいけない時
- 50%:さらにスピードを落としたスイング
- 100%、80%、50% それぞれの平均飛距離を把握しておく
- 球筋(ドロー、フェード、高さ、ラン)をしっかりとイメージ、でも結果は気にしない
- 普段の練習から、フェードとドローのどちらも打てるようにしないといけない。球を曲げる練習をする
- 結果は結果、(逆球が出ても)気にしない。
- やってしまったミスは取り戻せない。さっさと切り替えて次のショットに集中すべき
- 飛距離とスコアは直結していない
- 飛ばさないようにして、フェアウェイをキープすることが重要
アイアンショット
- どこを狙うかだけでなく、絶対打ってはいけないエリアを知る
- セカンド地点に行くまでに「ピンを狙えるか」、グリーンの形状や傾斜、グリーン周りを見ながら考える。
- グリーン周りのバンカーや池
- グリーン奥、左右の OB・ペナルティ、崖がないか
- ライをチェックする
- 距離を知る
- ピンまで、グリーン手前エッジまで、奥のエッジまで
- 風をチェックする
- 風がある時は、1番手・2番手大きいクラブを持って「柔らかい」球を打つ(強く打たない)
- アイアンはコントロールショット!
- PW を打つようにアイアンを打つ練習をする
- 強く打つと曲がる
- 大きいクラブを持った時は緩まない
- 決断したらすぐに打つこと!
- 状況を迅速に判断して、どう打つかを決める。決めたらさっと打つ。
- これがプレーにリズムを与えてくれる
- 右と左のどちらに打つのが得意なのか苦手なのかを認識する
- フッカーが右から左サイドのピンを狙うと、大きくフックする場合がある
- ショートホールでも左サイドのピンを狙う時は、左に立った方がいい
- 番手間の距離を練習してコントロールショットを覚える
アプローチショット
- 難しくないところ(寄せやすいところ)から確実に寄せて、ワンパットのパーを取る
- 難しい寄せではパーを取る考えを捨てる
- ミスをしても寄ってくれるクラブを使う
- 転がしが一番危険が少ない
- 春先の薄い芝・砲台グリーンは転がし上げるのが最もミスが少ない → パターを使う
- ハイバンスの SW をバンカー・ラフ専用にする
- 花道からは AW・PW を使う
- ローバンスの SW をフェアウェイ用に入れてもいいが、そもそもロフトが大きいので難しい
- オフセットのグースネックは、フェースが遅れて違う感覚になり易い。オンセットのストレートネックの SW の方が球を拾い易い
- 転がしが一番危険が少ない
- アプローチは打ち方を学ぶより、上手に寄せられるクラブを発見することが大事:寄せやすいクラブ、寄るクラブを見つける
- 理論より感覚。自分でマニュアルを作る
- エッジまでの距離:エッジからピンまでの距離 = 1:10、1:2、1:1、2:1 の4通り を練習して、寄るクラブを見つける
- 1:10(1m:10m):7I、8I、9I
- 1:2(5m:10m): PW、AW
- 1:1(10m:10m):SW
- 2:1(10m:5m):SW
- ファーストバウンドはグリーン面、エッジの先。落としどころも目標は近くにある方が寄せやすい
- この練習で、ワンクラブ以内に 30-40% 寄るようになると、シングルプレーヤー
- アプローチの基本はピッチ&ラン、ロフト通りに打つ
- PW で打てばピッチ&ランになるし、SW ならピッチショット、8I/9I ならランニングになる
- 1本のクラブでボールを上げたり、転がしたりはしない
- 9I、PW、AW、SW の4本で、ワンレバー・ツーレバーの打ち方(4本x2種類)で、キャリーとランを把握する
- ワンレバー=ノーコックで腕の振り幅 8時 4時。ツーレバー=コックが入って 9時 3時
- キャリーとラン、ボールの高さとスピンも把握する
- その上で、自分にとって寄るやり方を見つけたら(2つぐらいあれば十分)、あとはそれに磨きをかける(他のやり方は捨てていい)
- 家や練習場で基本練習。コースには基本を持ち込まない
パッティング
- ショットは回数を減らせないが、パットは回数を減らせる
- パット数 30 であればシングルになれる
- ショット数 36。79 で上がるならアプローチを 13回できる。 85 なら 19回
- パットが上手くなれば、ショットに気を使わなくてもよくなり余裕も出る
- パット数 30 を切るためには「1m を1パット、10m 以上を2パット」
- ショートパットは左右の方向性、ロングパットはタテの距離感(タッチ)が重要。二つを分けて練習する
- ショートパットはフェースの向きが大切
- ロングパットはリズミカルにスムーズにストロークする
- 自然にストロークすると、イン・トゥ・インの軌道になる
- パッティングで最も大切なこと:パターの芯とボールの芯を確実に当てる
- ストロークと同様、軸をしっかりさせる(例:首の後ろの支点)
- 下半身は動かさない
- 両肩・両肘・両手で作られる5角形を崩さない
- 手首は使わない
- 距離感の安定
- ストロークでは力を入れず、振り子のように回転の力だけで打つ
- 振り子の速さは一定にして、振り幅だけを変えて距離を変える
バンカーショット
- 「バンカーは、1発でグリーンに」を交通標語のように覚えてしまう
- ダボを叩かないことが大切、ボギーで十分
- バンスのあるウェッジで確実にグリーンに乗せる
- ボールを止めようとか、砂を薄く取ろうとか、難しいことは考えない
- シングルを目指すならバンカー練習場でみっちり練習する
- 目標はサンドセーブ率 50%:それくらい高い気持ちで練習する
- アイアンをしっかり練習して、バンカーに入れない
- そしてアプローチを磨いて、グリーンを外してもパーが取れるようにする
- 距離によってフェイスの開き方とスタンスを変える:クラブを主役にアドレスする
- 腕が 3時から9時 のハーフスイング、左足体重のまま振る
- リーディングエッジはピンに向けたまま、シャフトを飛球線後方に倒してロフト角を大きくする
- グリップエンドが体の右に来るので、体ごと後方に移動して、グリップエンドが中央に来るようにする
- ピンが近いとシャフトを大きく倒すので、オープンスタンスも大きくなる
- ボールの位置は左足かかと延長線上
- スタンスの向き通りに振る
- 上級者は、飛球線方向にインサイドアウトに振ることで、サイドスピンを避ける
- 砂の種類を見極めてショットをイメージする
- 硬い砂はクラブを弾くので飛ぶ。柔らかい砂は飛ばない
- 硬い時はバンスの少ない AW や PW で。柔らかい時はバンスのある SW で
- 距離がある時も、9I などを使って、無理のない 3時9時 のハーフスイングで
- 右足体重のまま打つと距離が出ず、左足体重のまま打つと距離が出る
- 膝を折って重心を落としたアドレスだと、フラットなスイングで低く出る
- スッと立ったアドレスだと、アップライトなスイングで上がり易くなる
飛距離アップ
- 飛ばしの本質:
- クラブの芯できっちりボールをとらえる確率を上げることが第一
- 一発の飛ばしを求めるよりも、平均飛距離を上げる
- マン振りはしない。常に 8割のスイングで 9割の飛距離を求める
- 最長飛距離が 220Y なら、いつでも 200Y 飛ばせること
- 常に芯でとらえられるプロは、筋力アップしかない
- スイングをよくして再現性を高め、ミート率を上げると、ヘッドスピードも自然と上がっていく
- 腕は完全に脱力する(力を全く入れない):
- アドレスでは腕は肩からだらんと下がっている
- 肩も脱力する:肩もなで肩になっている
- でんでん太鼓のように、体の回転によって腕は振られる感じ
- 腕の重さ・加速を感じる
- 背骨を軸とした体の内側の回転を、外側の手やクラブヘッドに伝えて、遠心力をアップする
- 腕から先に振っては、スピードは出ない
- 一番大きくて力のある脚の筋肉を使って、回転力をアップする:
- ゴルフのフットワークは「足踏み」が基本
- 右足を上げる時に左に腰を回転、左足を上げる時に右に腰を回転
- イチ、ニ、イチ、ニ、とリズミカルに足踏みをしながら、左右に腰を回転する
- 脚はただ足踏みしているだけ、腕と手は上体の回転に合わせて振られているだけ
- 足踏みのように、体重を完全に一方の足に乗せてから、もう一方の足に完全に乗せ換える
- 足踏みをしながら素振りをする
- ボールがない方が体重移動を意識できる
- ヘッドスピードはフォローが最高スピードになるようにスイングする
- トップからのダウンスイングでは、徐々に加速をして、フォローで最大になるようにする
- ゆったりとバックスイング、100%右足に体重を乗せる
- トップからゆっくりと体重移動しながらダウンスイングを始める
- 腕とクラブヘッドが加速していることを感じながら、一気に振り抜いていく
- トップからのダウンスイングでは、徐々に加速をして、フォローで最大になるようにする
- フォロースルーで体を締めるようにする
- フォローで最高のスピードが出たら、その力を逃がさないように背中側にパッと振ってクラブを収める
- 切り返しでは先行動作がある:
- トップで間を作る:
- バックスイングする時に、左肩が顎の下まで入るようにしっかり回転する
- 弓矢を引くように、ギューッと限界までしっかり引いてから、矢を放つ
100ヤード以内
- PW、AW、SW の3本のウェッジの飛距離を把握する = 自分の距離の基準を作る
- フルショット、スリークォーターショット、ハーフショット
- 長く握る、普通に握る、短く握る
- 3 x 3 x 3 = 27通りのクラブと打ち方の組み合わせから、自分が上手く打てるものを見つける(3通りは見つかるはず)
- ミスなく打てる得意なクラブと振り幅の飛距離、キャリーとランを把握する
- ミスをしてしまう苦手なクラブと振り幅は、絶対にラウンドでやらない
- 得意な距離を残す、しかも平らでいいライに残すようにプレーする
- 特にパー5の第3打は、得意な距離・いいライを残すことが大切
- 得意でない距離が残った場合はどうするか?
- 嫌だなと思わずに、とりあえずグリーンに乗せてしまえばいいと考える
- 得意なクラブと振り幅が 3通り あれば、乗せるだけならたやすい
- 2グリーンなら 400m2、1グリーンなら 600 - 700m2 はある
- 手前のエッジから奥のエッジまで 20m、2番手の幅がある
- 乗せるだけなら得意なクラブ・振り幅があるはず
- 苦手なクラブと振り幅は絶対にやらない
- 不安な気持ちを持っていたら、たとえ 30m でも乗せられない
- 得意な打ち方で、センターセオリーで、手前からグリーンセンターで止まるように乗せていけばいい
- ピンが手前でもセンターセオリー、乗らないより下りのパットが残る方がいい
- できれば、PW、AW、SW のフルショットはある程度ミスなく打てるように練習すべし
- さらに AW(がいいと思う)のフル、スリークォーター、ハーフショットをマスターすれば、100ヤード以内は鬼に金棒
- 上手く打てた時の音と感触を覚える。その音と感触がどうやったら手に入るか。その音と感触となるように繰り返し打つ
- 天然芝のアプローチ練習場で徹底的に練習する
- できたら、実際のラウンドも AW 1本だけで回ってみる
- 100ヤード以内は確実に乗せられる
- 欲を抑え、刻むことのメリットが体に染み込む
自分の一番いいスイングをする
- よいスイングは「再現性」が高く「効率」のよいスイング
- 自分のスイングをいつも同じにできるように固める
- 素振りのスイングこそ、自分の一番いいスイング
- 本番と素振りで同じスイングをするためには、素振りをしっかりやって固めること
- 1回1回の素振りのアドレスを同じにする
- バックスイング:手でクラブを上げない、体を回す
- ダウンスイング:手で振らない、下半身から体を回す
- フォロー:右肩があごの下に入っていく
- 一番いい素振りを、毎日100回、しっかりと行う
- 自分の体に自分のスイングを染み込ませる
- 上達しても毎日の素振りを怠らない、スイングはあっという間に崩れる
- 本番では「欲」や「恐れ」があり、素振りのように振れない
- アドレスで力を入れない、腕や肩を脱力する
- グリップは緩く握る
- 「素振りのスイングをするんだ」とそれだけを思って振る
- フィニッシュまで振ること
- ボールをヒットしたらお終いではない
- 大事なのは当たってから。フォローがありフィニッシュがあり、振り抜かなければならない
- 素振りと同じテンポとリズムで振ること
- コースで成功体験を積んで、実際にはそれと同じように打てるはずだと自分に言い聞かせて振る
練習法
- 最低でも週に1回は練習する。本当は週2回は練習したい
- PGA の資格を持っているインストラクターに習う
- 生徒の悩みを聞いて、きちんと診断してくれる人
- ショートアイアン、9I を一本だけ持って練習する
- 1球1球、アドレスをチェックしながら、ミスショットがなくなるまでしっかり打ち込む
- ゆったりとフルスイングする。7割から8割の力で、トップからフィニッシュまでバランスよく振り切る
- フィニッシュを 3秒くらいとる
- ナイスショットとは、常に同じ弾道で、同じキャリーが出て、同じランが出ること
- 右に左に目標をいろいろな角度にとって練習する
- 苦手な角度を克服するように練習する
- スリークォーターやハーフショットも練習する
総論:ゴルフスイング
- コースではスイングのことは考えない
- ミスをしても、次のショットに全力を尽くす。明るく楽しくプレーする
- ラウンド後の練習で、ミスは直せばいい
- よいスイングとは?
- 効率がよい = 飛距離が出る
- 再現性が高い = ミスショットが出ない
- 効率のよいスイング:
- スイングスピードにブレーキをかけてしまう恐れ・不安・欲をいかに消すか?
- OB などの危険を避けるために、刻むならはっきり刻む
- 再現性の高いスイング:
- 素振りと同じスイング
- アドレスが同じ、アドレスに基準を持つ。前傾キープ
- 背骨を軸にして回転、右肘を体につける。手は使わない
- トップからダウンスイングにかけて先行動作を取り入れる
- 肩→肘→手首→手という順番でインパクトを迎える
- 基本を踏まえての個性(長所を伸ばす)
- 効率がよく、再現性の高いスイングを身につけるには、素振りをすること
- 素振りのスイングがその人にとって一番効率がよくて再現性が高い
- 毎日 100回の素振りで、そのスイングを固める。1回1回丁寧にやったら 30分以上かかる。それを半年続けたらシングルになれる