今年の夏ゴルフ旅は、日本女子オープンが開催された烏山城カントリークラブへ。36度を超える猛暑の中、初日は三の丸 → 本丸コース、2日目は本丸 → 二の丸コースに挑戦した。三の丸コースの 8番、9番は日本女子オープンの最終を飾る名物ホールである。
戦略性の高い素晴らしいコース。気の置けないゴルフ仲間たちとの和気あいあいのラウンド。猛暑、炎天下の中、8人全員、熱中症にかからず無事生還、夜の飲み会も含めて、とても楽しいゴルフ旅行であった。残念ながらスコアの方は初日、2日目とも大叩きのホールが多数あり、散々なものであったが、自分の弱点が明確になったラウンドであった。これについては 2日目のラウンド日記にまとめておく。
初日は三の丸:49(17パット)、本丸:47(18パット) の 96(35パット)。
Date | Course (rate) | Yard | Par | Score | Shot | ShortG / PT / GB | P | Situation | ||||
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2023.7.29 | 烏山城CC 三の丸→本丸 (70.5/94.5/129) | 6354 | 72 | 96 | 49 | 47 | 43 | 50 | 35 | 4 | 3 | 9.2ft、晴れ |
- スコア:96、パット:35(1.94)
- ショット(60Y以上):43、ショートゲーム(60Y未満):50、ペナルティ:3
- パーオン率:11.1%、ボギーオン率:61.1%
- バーディ率:0%、パー率:27.8%、ボギー率:44.4%
- ダブルボギー率:5.6%、トリプルボギー以上率:22.2%
- フェアウェイキープ率:35.7%、OB 発生率:5.6%、ペナルティ率:5.6%、ガードバンカー率:22.2%
パーオン率+ボギーオン率、パー率+ボギー率などのスタッツを見ると、「90切り」してもおかしくはない出来なのに、96 という残念なスコア。三の丸の 1番、4番、8番でトリプルボギー、本丸の 9番で 10(+5)の大叩きがあった。1番、4番はバンカー、8番はクリークと、コース設計者である井上誠一の罠にまんまとハマった感がある。
朝の練習場では調子のよかったドライバーが、コースではまともに当たらず苦労する。テンプラが多いので、上体が突っ込む、あるいは切り返しで間をとれずにから叩きに行くといった症状が発生していたと思われる。練習場で調子がいいと、かえって本番では力が入ってしまい、よいリズム・テンポで打てなくなってしまう。
一方、アイアンショットは、練習場同様、よい出来であった。ここ最近、アイアンについては自分でも「何か掴んだ」感覚がある(例によって幻かもしれないが)。
8番の名物パー5(女子ツアーではパー4の設定)でも、ドライバーがテンプラ。5W による第2打はうまくフェアウェイ左サイドに打ったつもりが、傾斜に持っていかれて右のクリークに入ってしまう。
もう一つの名物ホール、何段もの滝が流れる 9番のパー4(女子ツアーの最終ホール)では、ようやくドライバーがまともに当たってフェアウェイに行き、そこから大きめの番手を選択することで、池に落とすことなく、何とかボギーで切り抜けることができた。
本丸コースでは、相変わらずドライバーショットに苦しみつつも、セカンド以降を頑張り、40台前半のペース。トータルで何とか 90台前半のスコアに持っていければ、と思っていたのだが、最終 9番パー5で OB を叩き、その後のリカバリーショットでミスを重ねて何と 10打。すべてを台無しにしてしまった。まぁ猛暑の中粘っていたものの、最後の OB 一発で集中が切れてしまった感は否めない。
大叩きしたホールが多数あったのは問題だが、それ以外については、スタッツにもあるように、技術的にはまずまずのラウンドであったと思う。
それにしても入道雲の浮かぶ炎天下のゴルフはキツかった。水分補給・塩分補給をまめに行い、カートにはできるだけ乗るようにして(後半になると、同伴者のボール探しは遠慮させてもらった)、何とか無事帰還した。大浴場には 28-30度の水風呂が用意されており、これに浸かって体をクールダウンさせた。
夜は、ホテル近くの和食レストランで夕食。そしてホテルに帰って、レンタルルームで宴会。ゴルフ談義で盛り上がった。アーコス・キャデイにはストローク・ゲインドのデータがあるらしく、僕からはストローク・ゲインドを提唱した人の『ゴルフデータ革命』という本の情報を提供した。
たとえば、グリーンまで得意な距離を残すべきなのか、ハザードを避けつつできるだけ近くまで打つべきなのかについても、データで明らかになっている。アベレージゴルファーは後者の戦略が正しい。また、平均 90のプレーヤーと平均 80プレーヤーの10打の差は、ティショットで 2.5打、100ヤード以上のショットで4打、100ヤード以内のショートゲームで 2.1打、パットで 1.4打あると分析も興味深い。シングルプレーヤーとの差は、すべてのショットにわたって大きいが、中でも 100ヤード以上のアイアンショットのレベルを上げることが大切だとわかる。
せっかくなので、数年前に読んだ時の読書メモを引用しておく:
(2018年3月:再読
3年ぶりに読み直したら、自分の上達具合に応じて、新たな箇所が気になったりした。データに基づくパッティングのライン読みは、もっと頭の中に入れて実践してみると、役に立つ気がする。)
スコアに対するショットの貢献を「稼いだ打数」と定義する。ホールアウトまでの平均打数の減少分からそのショットの 1打を差し引いたもの 。たとえば 、平均スコア 4のホ ールでティーショットを打ち 、ホールアウトまでの平均打数が 2.8打のフェアウェイにボールが止まったとすると 、このティーショット 1打でボールを 1.2打分カップに近づけたことになる 。この 1回のティーショットで稼いだ打数は 0.2打となる 。
「稼いだ打数」を、パット、ティーショット、100ヤード以内のショートゲーム、100ヤード以上のショット(「アプローチ」という)など、ショットの種類で分類。これら Score Gained Putt (スコアに対するパットの貢献。たとえば 平均打数が 1.5打の距離から 2パットでホ ールアウトしたとすると 、稼いだ打数は -0.5打となる 。)、Score Gained Driver、Score Gained Approach / Shortgame などの指標により、それぞれのショットの価値を分析すると、米国 PGA ツアーで活躍するプレーヤーの特徴・意外な姿が浮かび上がってくる。PGA ツアーのすべてのショットが記録されているデータベース、ショットリンクの賜物である。
さらには平均的なアマチュアプレーヤーのデータベースもあるので、たとえば平均80プレーヤーと平均90プレーヤーの違いがわかる。
パッティングについては、(A) ツアー選手、(B) スクラッチプレーヤー、(C) 「平均 90 プレーヤー」が 1パットで入れる確率:
(A) (B) (C)
0.6m: 99% 99% 95%
0.9m: 96% 93% 84%
1.2m: 88% 80% 65%
1.5m: 77% 66% 50%
1.8m: 66% 55% 39%
2.1m: 58% 47% 32%
2.4m: 50% 41% 27%
2.7m: 45% 36% 23%
3.0m: 40% 33% 20%
平均90プレーヤーだと、1.5m(5ft)を1パットで入れる確率は 50%、平均 1.5パット(SGP)である。ここを 1パットで入れれば SGP で0.5打稼ぐことになる。
また、平均 90のプレーヤーと平均 80プレーヤーの10打の差は、ティショットで 2.5打、100ヤード以上のショットで4打、100ヤード以内のショートゲームで 2.1打、パットで 1.4打あると分析している。つまりわれわれレベルはショット練習が重要ということだ。
またセカンド・サードショットにおいて、打ち易い距離を残すべき、というのが、アベレージ・ゴルファーへの一般的な教えだったが、実はハザードがない限り、できるだけグリーンに近づけるべきというのが統計的にデータ分析をした結論。へぇー。確かにウェッジのフルショットの距離、70-100ヤード残すよりも 30-50ヤードの方がグリーンに乗せる確率は高そう。
そして最も興味深いのは、「飛距離か精度か」という問いに答えを出していること。これらはトレードオフではなく、実は統計的には「よく飛ぶゴルファーほど真っ直ぐ打てる。」そのうえで「プロにとっては飛距離のほうが精度より重要である。アマチュアがスコアを縮めるには飛距離のほうが精度よりはるかに重要である。」と結論づけている。
というのは、20ヤード、ドライビングディスタンスを伸ばした時の縮まる打数は、PGAツアー選手で 0.8、80プレーヤーで 1.3、90プレーヤーで 1.6、100プレーヤーで 2.3。精度を 1度高めた時の縮まる打数は、PGAツアー選手で 0.8、80・90プレーヤーで 0.9、100プレーヤーで 1.0。つまり、われわれにとってドライビング・ディスタンス、「飛ばし」は重要なテーマなのである。
このように自分のレベルではどのショットを練習すべきなのか、その方針を導くことができる。その他にも興味深い、意外な事実が導かれ、一読の価値あり。