Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

梅田望夫『ウェブ時代 5つの定理』--- 「上」を伸ばす場所

『ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!』を読む。この本では、シリコンバレーの偉大なビジョナリーたちのことばに耳を澄ませるというユニークな勉強をしてきた著者が、「切れ味の良い言葉」を厳選し、「アントレプレナーシップ(Entrepreneurship)」「チーム力(Team Strength)」「技術者の眼(Technology Mind)」「グーグリネス(Googliness)」「大人の流儀(The Style of Maturity)」という5つの切り口から解説する。

シリコンバレー「『上』を伸ばす場所」(P.59)とし、ここの持つ進取の文化、未来を創造する攻めの姿勢を、偉人たちのことばを通して伝えている。そこはプロスポーツと同じような世界である。数多くの若者がプロのアスリートをめざし、しかし実際にそうなれるのはその中の一部だけ(P.70)。ただ目標とする場所があり、そこで活躍する機会があるから、そこをめざす人が増え、結果としてその世界を支える人材の層が厚くなり全体がレベルアップする。ビジネスの世界も同じである。梅田さんはシリコンバレーのような場所の魅力を伝えることで、そういった場所に身を置くことを勧めている。

トップ集団に身を置くこと。あるいはそこをめざすこと。それは僕自身の人生においても貴重な経験であった。結果としてそこでサバイブできるかは本人の能力・努力・運などで決まる。超一流にはなれないかもしれない。しかし優秀な人間と出会うことで自分の能力を再確認し、その世界での自分の生きる場所・ポジションを見つけていく。「こいつにはどうやっても敵わない。」そういう奴がごろごろいる。しかしその中にあっても「これだけは自信がある」ことは必ずある。それはおそらく自分が好きで精進し続けることのできるスキルだろう。人はそのようにしてトップ集団の一員として自分がやっていける場所を見つけてサバイブする。その過程を通して、自信と謙虚さとが同居する人間味のあるプロフェッショナルとして成長する。

このドキドキわくわくの環境に若いうちに身を置くこと。そういう若者を応援する大人になること。梅田さんのそういうメッセージが、全編を通して伝わってくる本である。

この本を読んで僕はどうするべきだろうか?まずはプライベート。10代の息子たちにはぜひ「上」をめざしてほしい。結果的にそうならなくても、それをめざす過程で得るものは一生の宝になる。彼らには常々「英語と数学だけはしっかり勉強しておけ。そして本をたくさん読め。」と言っている。しかし残念ながらそうなっていない現実に嘆息する毎日である。

一方会社では、限られた経営資源の中で、イノベーティブな攻めの環境を作っていくことが、経営者あるいはマネジャーとして求められる。シリコンバレーと違い、日本では優秀な人間は大会社に就職してきた。その傾向は変わってきたとはいえ、今でも多くの技術者が大会社の研究所に集まっているのは確かであり、その力をどう活用するか、どう解き放つのかが、その会社の経営者・マネジャーに求められていることである。

個々人に日々考えることを促すこと。そのアイディアを拾い上げ育成すること。大きな広がりのある考えにするようコメントすること。事業の現場で営業と技術とがしっかりコミュニケートして製品・サービスを作り出す組織にすること。そういう事業の現場に研究者を連れ出すこと。そういったことを日々心がけていきたい。

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!