Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

昭和の教え方で「地面反力」を習っている

ここ数ヶ月のテーマであったバックスイングについて、だいぶ改善されてきたので、ゴルフスクールでは、新たなテーマとして「右足を使った下半身の動き」に取り組み始めた。

コーチ曰く「昭和の教え方」だそうだ。僕自身は科学的根拠に基づいたアプローチに惹かれるが、実はこういう昭和の教え方・練習法も好きだし、その練習によって身につけたこともたくさんある(たとえば、左足荷重のまま左サイドを使うドリル右足ベタ足による下半身を使った腰のターン)。

道具が進化しているとは言え、ゴルフクラブの形状は変わっていない。GEARS などの技術により、計測データの分析が進んだものの、スイングそのもののあり方、そしてその練習法は、今も昔もあまり変わっていないのではないだろうか?

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その昭和の教え方による右足の使い方は次の通り:

  • アドレスで両内腿を内側に締めるように構えて、骨盤の回転の土台をしっかりつくる
  • 切り返しからインパクトにかけて、右足親指の側面で地面を押さえつける
    • 右ふくらはぎ周りの筋肉を使う
    • この時、左脚・左膝は左に流れず、両脚とも内側に締める感覚
  • フォローからフィニッシュに向けて、右かかとが引き上がる

これが基本であり、去年の5月に習った脚の動きをもう一度習っていると言えよう。

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この右足の使い方をさらに積極的に行っていくと…

  • 右足親指の側面が痛くなるくらい地面を押さえつけて蹴る
  • 左腰・骨盤の回転と、右足の蹴りを同期させる

昔、脚を使った腰の回転を学ぶために、右足ベタ足で右腰を押し込む練習をやっていた時期がある。今回、それとは内容が異なる。ベタ足ではなく、右親指で地面を蹴ることにより、腰の回転量を増やす。

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僕の場合、左足の踏み込みによる切り返しはうまくできているのだが、右ベタ足の時の癖が出て、右足で地面を蹴るタイミングが遅く、腰の回転との同期ができない。

もしこれがうまくできるようになれば、「地面反力」を使っていると言えるのではないだろうか。というのは、10数年前に吉田一尊プロが『セカンドショットは、ウェッジで。』や『ゴルフ 飛ばしの最終定理』という本で、「地面反力」の一つとして右足の内側を使うものを紹介していたからである(末尾参照)。

まぁこの動きが「地面反力」かどうかはさておき、ハーフショットで徹底的に、右足の蹴りと身体のターンを同期させる動きを身につけたい。もしかしたら、左足の踏み込みと右足の蹴りをほぼ同時に行ってもいいのかもしれない。

ハーフショットでできるようになったら、徐々に振り幅を大きくしていくようにしたい。振り幅を大きくする時に気をつけるのは、バックスイングを背中を使って行うことと、バックスイングのスピードを少し上げていくことである。

ゆっくりバックスイングするとミート率もいいのだが、速くすると打点が安定しない。しかしコーチには「これからさらに歳をとると、(筋力の問題から)ゆっくりバックスイングすることはできなくなる」と言われている。したがってバックスイングのスピードに今のうちから慣れておく必要がある。

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昭和の教え方で習っている「地面反力」についての科学的な解説は、やはり『Golf Science: Optimum performance from tee to green』という本が参考になるだろう。以前、体重(荷重)移動の項を紹介したことがあるが、そこに「地面反力」(Ground Reactive Force)の解説もある。

地面反力のベクトル:『Golf Science』P.52 より引用

この図は荷重に対しての「地面反力」のベクトルを示している。したがって自分の荷重はその逆向きのベクトルになる。TB(トップ、P4)では右足(後ろ足)に多く荷重している。ED(ダウンスイングの早い段階、P5)では左足(前足)に荷重するが、この時、右足の地面反力は自分の後方に向かっている。つまり右足は前方に向けて荷重している。そして BC(インパクト、P7)においては、ED と両足の荷重ベクトルの向きは相互に入れ替わり、右足の荷重は後方へ(地面反力は前方へ)向かっている。

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荷重移動(赤=Front-foot style):『Golf Science』P.53 より引用

体重移動(荷重移動)には、Front-foot style(右 → 左)と Reverse style(右 → 左 → 右 → 左)があるが、ここでは従来型の Front-foot style に注目する。上図の赤が、左足(前足)にかかる荷重の割合を示している。TB(トップ、P4)では 20% だったものが、ED(ダウンスイングの早い段階、P5)では 80% となり、それが BC(インパクト、P7)まで続く。青の Reverse style だとインパクトからフォロースルーにおいて、右足(後ろ足)の方への荷重が多い。

荷重フットワーク:『Golf Science』P.53 より引用

グラフの赤が左足(前足)、黒が右足(後ろ足)への荷重を示す。上のグラフが従来型の Front-foot style であり、下のグラフは Revese style である。Reverse style だとハーフウェイダウンから、インパクト(BF、P7)、フォロースルー(MF、P8)にかけて、右足に体重(荷重)が増えている。僕は Front-foot style だが、もしかしたらこれが右足の蹴りのタイミングについて、ヒントを示してくれているかもしれない。

「地面反力」について書かれた本の読書メモ
PGAツアー選手が、地面を蹴る反動で飛距離を伸ばしている。タイガー・ウッズも「地面反力」を使う、体に負担の少ないスイングに変えることで、従来よりもヘッドスピードを上げ、見事、復活優勝を遂げた。

このように最近「地面反力」を使うスイング理論が広く知られている。地面反力とは、足を踏み込む反作用として、地面から受ける力のことである。筋力という体の中の力(内力)だけではなく、地面からの反作用という外力を利用することで、体のターンをスムースに行う。

この本は、物理学(力学)、そしてバイオメカニクスの観点から、地面反力の効果を体系的に説明する。体の回転軸は、垂直、前後、飛球線と3つの軸がある。どのようなタイミングで左足と右足を踏み込めば、地面反力の効果を最大化して、3軸の回転のモメンタムを得られるか。その理論的な説明に一章が割かれている。著者のクォン博士によると、地面反力はまったく新しい概念ではなく、従来からあるスイング理論を、バイオメカニクスの観点から改めて体系づけたものであるとのこと。筋力を鍛えるのは大変だが、反作用という体にとっての「外力」を使うことで、体に負担をかけずに、飛距離・精度を上げていくことができるという。やはりキモは、切り返しでの左足の踏み込み。クラブがトップに上がり切る前に踏み込むことで、回転の大きなモメンタムを得る。

後半の章は、吉田コーチによる、地面反力を利用するスイングを身に着けるための方法論。スイングの物理的な理論と、そのコーチングとの両方をカバーしている。モデル化のレベルが詳細過ぎず、またシンプル過ぎず、ちょうどいい抽象化レベルで、わかりやすい。

「地面反力」は、物理(力学)の観点からも、非常に納得できる理論である。体の回転を、3軸に分けて説明しているのが新鮮。下半身の使い方、左・右の荷重のタイミングを明確にしている。下半身を使ったボディーターンは永遠のテーマであり、いかに精度を高く、回転スピードを上げるかに取り組んでいる訳だが、2018-19 の冬のスイング改造のメインに「地面反力」を据えてみたい。
左足を支点とする左足一軸スイングで、右半身を動かすことにより、飛距離を伸ばすことを提唱。トップで筋肉を引き伸ばし、それが縮む作用でスイングするイメージ。その理想を体現しているのがタイガー・ウッズ

スイング・リズムは「イーチ」の一拍子で、止めることなく、体幹の動き(手を振るのではない)でスイングすること。

そしてアドレス、バックスイング、ダウンスイングで、症状(膝、腰のどこがゆるむか)ごとに修正ポイント・練習法を示す。

理想のバックスイングのポイントは:
・左股関節の位置をキープ
・右股関節を後ろに下げる動きで体を回す
・肩甲骨周りの筋肉が引き伸ばされる
・グリップの形はアドレス時と変わらない

このように引き伸ばされた筋肉が縮む動きでダウンスイングへ移行する。ダウンスイングは、バックスイングが正しくできていれば自然にできる。左脚軸が基本。地面からの反力を使うために、

・トップの寸前に、右足の内側で、地面をグッと踏み込む。すると、地面反力が左斜め上方向に働き、下半身が左側に動き、右脚が伸び、骨盤が左に回転する

バックスイングで:
・右ひざが緩むタイプの人は、地面をえぐるように右足を内側に倒す。両膝の間隔が近くなり、体が回転する。セルヒオ・ガルシアのイメージ。
・左腰が動くタイプの人は、左足外側方向に両足で踏み込む。次の瞬間、体全体が沈み込んだ分伸びあがるとともに、左の骨盤は後ろに下がり、鋭く回転する。タイガー・ウッズのイメージ。
・右腰が横にずれるタイプの人は、骨盤を右に向けたままお尻をターゲット方向に沈み込ませる。アダム・スコット尾崎直道のイメージ。

そしてスイング中、手は何もしない。手首のコック・ヒンジ・ローテーションは自然に起こる。(手をコントロールしたり、リリースタイミングを変えたりして、球筋を制御するのはプロの技)手を固定すること、下半身から切り返すことで、シャフトのしなりが使える。

当然、練習が必要。「イーチ」のリズム、左軸で振ることを繰り返した結果、「クラブに振られるような感覚」「体ががゴムのように、自分で動かすのではなく、動かされている感覚」が生まれ、その時には力強い弾道が生まれるはず。
同じ著者の本を3冊読んだが、この本が一番ビジュアルでわかりやすく、さまざまなドリルを紹介している。また症状別の対処の仕方も説明されている。

・飛ばない理由は「手打ち」と手を速く振ろうとすることによっての「振り遅れ」「体の開き」。
・右手が支点、左手が力点、てこの原理で左手を引いてクラブヘッドを走らせる。
・胸に目があるイメージ、その目でボールを左斜めから見るつもりで思い切って体重移動すると体が開かない。
・リリースを遅く、タメを作る。ダウンスイングで腕とシャフトの角度を保ったまま下してくる。
・左手でシャフトを軸に回転させると小さな力でフェースターンできる。腕はV字に動く。横に振るイメージはない。

・ゴルフスイングは振るのではなく、体を左右に揺らすイメージ。
・下半身でヘッドを走らせる。そのためにダウンで左足を強く踏み込む。その反動で左ひざが伸び、それとともにグリップの動きが止まりその間にヘッドがグリップを追い越す。クラブが最下点に向かう直前で左足を伸ばすこと。

・地面からの蹴りは、(1) 左足(松山英樹、D.ジョンソン) (2) 右足(マキロイ、ファウラー) (3) 両足(タイガー・ウッズ) と3タイプある。

・飛ばしはタイミング。
・左足を軸にして回転する。
・両ひじを体に向けることで、背中の筋肉が伸び、その縮む力を利用できる。