Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

ジェイコブス 3D ゴルフによる「うねりスイング」の科学的裏づけ

ジェイコブス 3D ゴルフ(Jacobs 3D Golf)を学ぶのは面白い。しかしそれを学んで得た知識は、自分のスイングの技量向上には何一つ貢献しない。素人なりにこの知識を上達に活かせないものか考えてはみたものの、

  • 偏重心のゴルフクラブが持つ本来の「右回り」の特性を活かすこと
  • ダウンスイングにおいてグリップエンド方向にクラブを引っ張ること

という知見が、自分の実際の身体の動き、スイングにどうつながるのか、今一つ実感が湧かない。

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Jacobs 3D のハブパス(『Elements of the Swing』より)

そんな中、MITSUHASHI TV で三觜プロとマツモト・タスク氏が、ジェイコブス 3D について説明する一連の映像が公開された。マツモト氏の『ゴルフの力学』に書かれていた内容が、映像と二人の解説により、非常にわかり易く紹介されている。そしてジェイコブス 3D によって明らかになったゴルフクラブの力学によって、三觜プロの「「うねりスイング」の教えが、どのように裏づけされているかがわかる。やはり映像の力は大きい。


一流プレーヤーはスイング中に何をしているのか?【日本上陸!Jacobs 3D②】

  • 偏重心のゴルフクラブは、引くことによって重心をコントロールする。
  • スイングは「振り上げて振り下ろす」のではなく「引いて引く」。
  • テイクバックで「引く」とはどういうことか?押す感覚かもしれないが、実際に計測すると引くエネルギーが働いている。
  • 「左ハンドル」のテイクバックは、グリップエンドを下げることによって、効率よくクラブヘッドを回転させて、トップの位置に持っていく。
  • 一方、テイクバックで「右ハンドル」してしまうと、グリップエンドを引けずに、腕でクラブヘッドを直線的に持ちあげる羽目になる。
  • 「左手を下げる」テイクバックにより、グリップエンドは下方向に引かれ、結果的にコックが入る。


アマチュアのミスショットはどうして起こるのか?【日本上陸!Jacobs 3D③】

  • 「右ハンドル」のテイクバックでは、グリップエンドは正面を向く。このグリップを切り返し以降、地面に向けて引くには、外からクラブを回転させるトルクをかける必要がある。
  • クラブの持っている力学特性に反したテイクバックが「右ハンドル」。辻褄を合わせる必要がある。効率が悪い。
  • クラブに与えるエネルギーは、2/3 が直線(フォース)、1/3 が回転(トルク)。フォースのほとんどはグリップエンド方向に引くこと。
  • グリップエンドを引けるような位置にグリップをキープすると、効率がよい。それが「左ハンドル」のテイクバック。
  • 「左ハンドル」のテイクバックで上がった位置から、グリップエンドを引くと、クラブの「右回り」特性によって、ヘッドは元の位置に戻ってくる。
  • マシュー・ウルフのように「左ハンドル」をやり過ぎると、グリップエンドは引けない。
    • マシュー・ウルフは切り返しで、クラブを後方に倒すことによってグリップを引ける方向に持ってきている。強靭なフィジカルで、クラブが行き過ぎるのをコントロールしている。
    • またクラブは直線的に上がっているので、改めてトルクをかける必要がある。
  • 「シャローアウト」「パッシブトルク」は、偏重心のゴルフクラブの特性。
    • グリップエンドを引けば、自然とシャローになる。そこに重力も加わるので「シャローアウト」は自然現象。
    • 自分でシャローになるよう、意図的にクラブを倒すと、グリップエンドが引けなくなる。
    • このように自分の感覚と、実際のエネルギーにはズレがある。
  • 効率的なクラブの動かし方は、再現性の高いスイングにつながる。


最新スイングではフェースターンをしない!?答えはすべてこの動画にあります【日本上陸!Jacobs3D④】

  • ダウンスイングで「タメを作る」:
    • ボールに向かっていくということは、グリップエンドを引くフォースよりも、シャフトを正面に向かって押すフォース(βフォース)の方が強くなる。そうすると、ゴルフクラブヘッドは後ろ方向に遅れて回転、さらに重力がかかってヘッドが落ちてきてしまう。
    • グリップを持って、ゴルフクラブに直線運動のエネルギーを与える(フォースを加える)と、ヘッドがついてこずに回転運動(ローテーション)が起こる。これによって自分の意識と、実際のクラブの動きにズレが生じる。
    • ボールに向かって直線的に当てに行こうとしても、クラブはその意図通りには動かない。
  • 「シャローアウト」:
    • ゴルフクラブの偏重心特性により、グリップエンド方向にクラブを引くことで自然に起こる。タメを作ろうとして、手が前に出る動きではそうならない。
    • グリップエンドを引き続ける訳だが、P6 の位置に来たら、ヘッドをボールに向かわせる必要がある。P6 からはβフォースをかけることになる。これが「リリース」とか「スピネーション」といわれる動き。
    • 左手はグリップエンドを引く(γフォース)ことで、円弧を大きくすることでインパクトゾーンを長くする。
    • 右手は引く方向・ベクトルの向きをコントロールする。そのためにβフォースをかけている。
    • βフォースをかけることにより、ヘッドが回転するのでそれを抑制するために、ヘッドが遅れないように、 αトルクをかけることになる。
  • 「フェース・ターン」:
    • クラブヘッドの重心は後ろ側にオフセットされているので、遠心力をかけると、ヘッドは自然と開くことになる(γローテーション)。
    • フェースが開かないようにカウンターを当てる必要があり、反対方向の γトルクをかけて、フェースを閉じる動きが入る。
    • 上手な人は、「右回り」の回転の中で腕を振ることで、自然に γトルクをかけている。
    • 「フェースを返していない」というプレーヤーは、自分が γトルクをかけていることに気づいていないだけ。
    • プレーヤーのグリップによって、γトルクの感覚に違いはあるかもしれないが、γトルクをかけない(フェースを閉じない)ということは、物理学的にはあり得ない。

ジェイコブス 3D のスタジオは、三觜ゴルフアカデミー内に設置されている。ジェイコブス 3D の計測により自分のスイングの実態が明らかになり、三觜プロがその人に合ったレッスンを提供すると言う、夢のようなコラボレーションが実現するという訳だ。これは、なかなか高額なレッスンになりそうである。

ゴルフの力学 サンエイ新書

ゴルフの力学 サンエイ新書

最後に、この映像でわかり易く紹介されていたジェイコブス 3D の解説書『ゴルフの力学』の要点を再度まとめておく。Jacobs 3D はプレーヤー視点でのグリップにかかる力(「フォース」「トルク」)、スイング中のグリップの軌跡(「ハブパス」という)を明らかにする。この本ではスイングのポイントを次のようにまとめている(P.122):

  1. 偏重心のゴルフクラブの右回り特性は基本:
    • 正しく扱えばシャローアウトする
  2. テークバック(P1-P4)の目的は効率的重心管理:
    • 不必要なローテーションのトルクによる相殺
  3. 切り返し(P4)は、それ以降のフォースのベクトル管理が主眼:
    • マッチアップが必要であればあるほど、エネルギー効率は低下
  4. ダウンスイング以降(P5-P7)は円運動と遠心力の源であるフォースの最大化がテーマ:
    • 主役はグリップエンド方向へ引き続けるγフォース
  5. インパクト(P6-P7)は莫大なGによりプレーヤーができることはほとんどない

フェースコントロールはすなわち重心のコントロールであり、重心が理想的な位置になるように、クラブをグリップエンド方向に引き続ける。つまり遠心力を生むために、グリップエンドを引き続ける γフォースが重要である。

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