Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

三觜喜一プロのスイング理論の集大成『最強インパクトを作るうねりスイング』

レッスンプロについて10年。僕の上達に合わせて、コーチが提示するテーマを一つ一つ、時には後戻りしながらモノにしていくなかで、ようやくスイングの土台・外枠ができてきたというのが正直なところである。コーチは「ゴルフスイングの究極の目的は飛距離」と言う。そのコーチのガイドに従って、各テーマを一つ一つ習得していく長い道程の中、いつも頭の片隅にあったのは「めざすべきスイングとは、そもそもどういうものなんだろう?」という素朴な疑問である。

これまでさまざまなプロの教えを、本や映像で学んできた(たとえば「切り返しについて、世のプロたちは何と言っているか?」レッドベター編ツアープロ編ティーチングプロ 基礎編ティーチングプロ 応用編)。その中で今の自分の技術レベルで概念的に理解でき、最もロジカルでわかりやすく、しっくり来ているのは、三觜喜一プロの「ハンドファーストインパクトを目指す教えである(森守洋プロの「ダウンブロー」の教えと通じるものが多い。桑田泉プロもアスリートゴルファーが習得すべき技術として、ハンドファーストを掲げている)。

YouTube 番組 MITSUHASHI TV に多数のレッスン動画を上げ、その教えを広めた三觜喜一プロ。その提唱する「うねりスイング」がめざすべきスイングの一つの姿を示しているのではないかと、僕は考えるようになり、わざわざ体験レッスンを受けたり「うねり棒」なる練習器具をいち早く取り入れたりしている。そして2019年2月、その教えのバイブルと言ってもよい本、『最強インパクトを作るうねりスイング 世界基準のゴルフを身に付ける!』が出版された。この本は「うねりスイング」について、そのポイントを系統だってまとめた本であり、「うねりスイング」理論の集大成と言ってもよいだろう。

前著『ゴルフは直線運動(スイング)で上手くなる!』で、さわりだけ紹介された「左ハンドル」や「うねり」と言った概念、さらには大量の YouTube レッスン動画の中に分散・散逸していた教えや理屈を、270ページある本の中で、体系的にまとめ直した本だと言える。今まで YouTube のレッスン動画の中で説明されたことと重複する内容が多いが、重要なポイントを改めて整理して学び直すことができる。大判のハードカバーで、文章と写真で詳しい説明がされるが、至るところに QR コードが埋め込まれており、本と連動して、スイング動作の映像を YouTube で見ることができる。その動画の数は 38本、さらに本の購入者は 8本の特典動画が見られるようになっている。1本あたり 1分から3分、中には6分超の映像が計 46本、いわば 270ページの本に 1時間超の DVD が同梱されている感覚である。そう考えると、税込み 3,888円という価格は、そんなに高いとは思えなくなる。

三觜理論、すなわちこの本の最大の目的は、「ハンドファースト」のインパクトを手に入れること。そのためには次の4つの連動する動作を身につけることになる。

  1. テイクバックでは「左ハンドル」を切る
  2. 切り返しでは「パッシブトルク」の力がかかる
  3. ダウンスイングでは、左手による軸回転「スピネーション」を意図的に行う
  4. その結果、左手の甲が張った「ハンドファーストインパクトが実現する

その際に最も重要となる動きが、「うねり」と呼ばれる体の使い方である。シャフトをしならせる以外に飛距離アップの方法はない。それを実現するのが「胸郭から動かしてバックスイングをし、胸郭から動かしてダウンスイング」する体の使い方である。「肩を回せ」と言われると、肩と胴体をひとかたまりとして、肩と胸が一緒に動いてしまう。そうではなく「胸郭から」「肋骨から」動かすと、肩と胸郭が分離して別々に動き、肩と体幹の時間差が生まれる。これが「うねり」と呼ばれる動作になる。

本は5章からなる。
第1章は「うねりスイング」の本質を理解するためのキーワード、「左ハンドルを切るテークバック」「パッシブトルク」「スピネーション」「フリップ動作」「スピンアウト」「時間差」を説明する。

第2章はアドレスの解説。ゴルファーのレベルが高くなるほど、スイング中の動作よりもアドレスのチェックに占める割合が多くなる。

第3章では、まったくの初心者にゴルフスイングを教える時の手順が紹介される。真っ先に教えることが「フェースターン」でボールをとらえることである。

第4章は飛距離アップの方法について、ある程度「芯に当てる」「ミート率が上がっている」スイングができることを大前提として、その上でいかにシャフトをしならせるかを解説する。この中で最近流行している「床反力」「地面反力」を使うフットワークについても説明される。

第5章はアマチュアのよくあるエラー・勘違いにフォーカスを当て、正しい動きを解説する。特に「切り返しでシャフトを倒す」際に、どうしても自分でこの動きを作りに行く人が多いらしく、その修正に多くのページが割かれている。

「うねりスイング」の骨子を説明する、2020年1月まで限定公開という 8本の特典レッスン動画について、その内容を紹介しておこう。特典動画では、この本のバックグラウンドとなるゴルフクラブの物理学的な特性と、その特性を活かす理に適ったスイングが語られている。本の説明に加えて、大きな学びとなるのは「左手でクラブをリードする」ことの重要性である。左手でリードすることによって「パッシブトルク」は自然に生まれ、左手で意図的に「スピネーション」を行うことで、ハンドファーストインパクトが生まれる。

  1. 「ねじれ」と逆方向に戻るゴルフクラブの特性
    • ゴルフクラブはその力学的な特性から、シャフトの横方向、縦方向、軸回転の3つのねじれ、トルクが発生する。シャフトはねじれと逆方向に戻ろうとする。
    • 重いヘッドが先にあるクラブのトルクをコントロールするのは、押すのではなく引く方が易しい。つまり右手で押すのではなく、左手で引くのが、力学的には正しい。
    • 左手で引き戻すことによって、クラブの重心やトルクをコントロールするのが重要、絶対条件になる。

  2. 「左ハンドル」の動きを正しく理解しよう
    • 左ハンドルの動きは、フェースを閉じるトルクと、シャフトの上下方向・縦のトルクと、左右方向・横のトルクを同時に発生させるのがポイント。
    • 縦方向のトルク、自分の体に向かうトルクを入れるが難しい。これにはコックを使う。

  3. 左手を引き戻すことでクラブは「パッシブ(=受動的)」に倒れる
    • パッシブトルクは、「左ハンドル」のバックスイングができれば、ほぼオートマチックにクラブが倒れることを称する。常に右手が上の状態で、クラブが立ってくるテイクバックが前提。
    • 切り返しで、クラブを左手で引き戻せば立っていたクラブが勝手に倒れる。これがパッシブ(受動的)トルク。
    • 両手で意図的に倒すのは、能動的で間違った動き。
    • 「左ハンドル」のテイクバック、「左手で引き戻す」切り返しがパッシブトルクの肝。

  4. 左手に3つの捻れを発生させる「スピネーション」
    • 「スピネーション」は唯一インパクトにて意図的にやる動き。
    • クラブフェースが戻るエネルギーをさらに増幅させる動きであり、最後に押し込む動き。
    • 左手を引き戻す中で、左手に3つのねじれを発生させる動きを行う。

     ①左手の肘より先を外旋させる(回外)
     ②左手首をノックするように使う(ボウイング
     ③下方向にドアノックするように使う

    • 左手を引き戻す中で、掌を開いた状態から、小指から握り込みながら、外旋、下方向に解放すると、スピネーションの動きが理解できる。
    • インパクトで「締まる」ようにスナップ、解放させる。

  5. ボールに当てようとして、左手の動きを止めてしまうと「フリップ」する
    • なぜフリップしてしまうのか?ボールに当てる意識が強いと、早くフェースを戻そうとして右サイドに支点が行くため。
    • 力学的に左手で引くのが正しいが、左手でリードし続ければ、フリップは決して起こらない。インパクトで左手の動きを止めないで、動かし続ける。
    • ただしインパクトからフォローにかけて、右に支点・頭が残ること、左サイドが伸び上がって、右サイドが側屈すること。

  6. 左手でしっかり引くことで「スピンアウト」は出なくなる
    • スピンアウトとは、右足の上で回転してしまうこと。
    • 右手でクラブを押すのではなく、あくまで左手でクラブを引くことを理解する。

  7. 左手のリードで、「うねり」ながら「時間差」を作る
    • 時間差・タイムラグを作る動作のことを「うねる」と表現する。なぜうねるのかと言うと、クラブに逆方向の負荷をかけるため。
    • 連続素振りの中で、下半身から先にねじり戻してうねるのはできても、ボールを置くとできなくなる。ポイントは左手でのリード。
    • ねじり戻す時に左手からクラブの距離が遠いほど、アークが大きく、インパクトゾーンが長くなる。飛距離も伸びる。

  8. ボールに最も圧力をかける形が「ハンドファースト」
    • ハンドファースト」でインパクトすることが、ゴルファーの永遠の課題と言ってよいくらい重要。さまざまなライから直接ボールにコンタクトできる。
    • ハンドファーストは、ボールに最も圧力をかけられる形。
    • 胸郭のリードでうねりながら回転すると、クラブは遅れてついてくる。インパクトでスピネーションすることで、クラブのロフトが立って、正しい最強のハンドファーストとなる。

この本を読み、連動する動画を見ることにより、「うねりスイング」の原理原則を頭の中では理解できた。それをすぐに再現できるのがトップアマや上級者。一方、それができないのが僕のようなレベルのアマチュアゴルファー。実際に「うねりスイング」を自分のものとするには、練習の中で何らかのコツ、きっかけを掴む必要がある。「うねりスイング」を実現する自分なりのイメージを、自分自身で見つけていかなければならない。それにはきっと長い道程が待っている。コーチのガイドに従いながら、めざすべき「ハンドファースト」に向けて、一歩一歩進んでいこう。

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ゴルフ 読書メモ

三觜喜一プロの本、およびその教えと共通するところが多い森守洋プロの本(ダウンブロー)について、読書メモを以下に掲載する。

知り合いのシングルプレーヤーが「目から鱗」熟読して、YouTube の動画を見て練習に励んでいるというレッスン。丁寧なレッスンで好感が持てるとのこと。

本を読んだ印象では、僕のレベルにはちょっと難かしかったが、YouTube のレッスン映像がわかりやすい。横の回転ではなく、縦の回転による直線的なインパクトを身につけるための考え方やドリルが、よくわかる。

・バックスイングは飛球線後方、直線でイメージする
・クラブは円弧を描くし、解剖学的にはスイングは回旋運動だが、イメージとしては直線運動としてとらえることが大切
・回転のイメージで打って真っ直ぐ飛ばすより、直線運動のイメージで真っ直ぐ飛ばす方が簡単
・ダウンスイングでも下半身の直線運動が入ってからボールをとらえれば、脳の中では直線として処理できるのでラインが出しやすい。特に試合では直線のイメージの方が戦いやすい

YouTube の動画で有名な三觜プロのコミック版レッスン。アマチュアの陥りがちなミスを一つ一つ取り上げ、あるべき姿とその理屈、修正の仕方を紹介する。

シャフトのしなり戻りを使うための腕の使い方、ダウンスイングにて、体は左に動きつつも肩は右に向く胸郭の分離、下半身を使わずに、打った後に体を回し切るフィニッシュなど。森守洋・桑田泉プロの教えに通じる。

飛ばしのための床反力など、新しい理論にも言及している。しゃがんでから膝を伸ばすタイミングが難しく、習得には時間を要するとのこと。

本やコミックで理屈や重要なポイントを押さえられるが、やはり動画レッスンの方が分かり易い。この本も YouTube 動画へ、QRコードでリンクしている。

YouTube の番組 MITSUHASHI TV に多数のレッスン動画を上げ、その教えを広く普及させた三觜喜一プロの提唱する「うねりスイング」理論の集大成。前著『ゴルフは直線運動(スイング)で上手くなる!』でさわりだけ紹介された「左ハンドル」や「うねり」と言った概念、さらには大量の YouTube 映像の中で分散・散逸していた教えや理屈を、270ページもある本の中で、体系的にポイントをしてまとめ直したと言える。今まで YouTube のレッスン動画で説明されたことがほとんどではあるが、改めて重要なポイントを整理して学び直すことができる。

ハンドファースト」のインパクトを手に入れることが、この本の最大の目的。
①テイクバックでは「左ハンドル」を切る
②切り返しでは「パッシブトルク」の力がかかる
③ダウンスイングでは、左手による軸回転「スピネーション」を意図的に行う
④その結果、左手の甲がターゲット方向に突き出た「ハンドファーストインパク
と言う連続する動作を身につける。

シャフトをしならせる以外に飛距離アップの方法はない。「胸郭から動かしてバックスイングをし、胸郭から動かしてダウンスイング」すると言う体の使い方、「うねり」の動作が肝となる。肩を回すと胸と一緒に動いてしまう。胸郭、肋骨から動かすと、肩と胸が分離して時間差が生まれる。これが「うねり」と呼ぶ動作になる。

大判のハードカバーで、文章と写真とで詳しい説明がされるが、それだけではなく、至るところに QR コードが埋め込まれており、連動してスイング動作の映像・レッスン映像が見られる。本を読むと同時に、38本(1本あたり1分-3分)の動画を見ることで、実際の動きを確認することができる。本に数10分の DVD が付録としてついてくる感覚である。そう考えると、税込みで3,800円と言う価格は無闇に高いとは思えなくなるかもしれない。

ボディーターンは重要だが、アマチュアの多くはそれを誤解している。正しいスイングを身につけるには、体を回転させるのではなく、腕をしなやかに縦に振れ、と提唱する。これによりフェースターンで球が捕まり、ダウンブローに打てるようになる。

マチュアのボディーターンに対する誤解は、正しくはボディーターンではなくヒップターンであることにある。下半身と上半身の間に捻転差が生じるべきなのに、上半身と下半身を一緒に回転させてしまうため、体が開き、振り遅れ、アウトサイドインの軌道になる。そうならないための教え方が「まず、腕を振れ」という、アンチテーゼのような教えになる。(この辺り、まずは手打ちせよ、という桑田泉のクォーター理論にも通じる。)

この本によれば、ダウンブローへの最重要ポイントは、体を回さない、腕をしっかり振る、重さと力を真下に解放するの三つ。

正しい腕の振り方、アームローテーションのドリルにより、アマチュアの球筋はスライスからドローボールへ変貌を遂げる。

2冊の本だった『森守洋のダウンブロー革命』を1冊にまとめ、さらに巻頭に16ページのカラーレッスンを加えたものが500円という価格で発売されたので購入。非常にコストパフォーマンスのよい、漫画でのスイング解説本である。

ボディーターンよりも腕の振りによるフェイスターンを重視し、最終的にはレベルブローではなくダウンブローを目指す。一般に、ボディーターン重視の風潮がある中、僕自身も一時期、ボディーターンか腕の振りかで悩んだこともあったが(たとえば中井学か森守洋か)、ゴルフ・スイングには実は両方の要素がある。どちらを先に重視するか、それはそのプロが育ってきた環境やアマチュアに教える順番に依存する。そう考えるようにした。

その意味で、この本はスイングにおける腕の使い方、フェースターンのための腕の内旋・ローテーションの動きを重視し、それを身につけるためのドリルを丁寧に説明してくれるものと位置づけられる。またアプローチやパット、コースレッスンの様子も紹介される。

○ダウンブロー・スイングのポイント
・腕の振りが「主」で、体の回転は「従」。ビシッと叩くように腕を振る。
・左手を押し下げる動きでバックスイング、不要な体の回転を抑える。
・ダウンスイングは、右足の真上にグリップを思い切り降ろす。ボール方向に下ろすと、上体が開いてしまう。
・空手の瓦割りの動作で、真下に力を解放する感覚を掴むことができる。
・グリップを右足の真上に下ろすと、アームローテーションが自然に発生し、フェースがターン、インパクトゾーンが長くなる。
・右前腕を上に向けたままダウンスイングすると、フェースターンが容易になる。