Muranaga's Golf

46歳でゴルフを始めて10数年。シニアゴルファーが上達をめざして苦労する日々をつづります

理系ゴルファー必読の書、1年で「90切り」を実現した研究者の考え方

有機 EL の研究者である山形大学の城戸教授が、自らのゴルフ練習法を紹介した本が『大学教授が考えた1年で90を切れるゴルフ上達法!』である。50歳を過ぎてからゴルフを始め、たった 1年で 89 を出した考え方は、シンプルかつロジカルだ。

練習時間は週に 1回 1時間半から 2時間、ドライバーの飛距離は 230ヤード、7番アイアンが 140ヤードというから、多くのアマチュアにとって参考になるだろう。飛ばし屋でもなく、週 1回の練習で、たった 1年で「90切り」できるなんて。どうしたらそんなことができるのだろう?一介のアマチュアゴルファーが「自分なりの工夫と開眼」について書いた本に過ぎないと言えばそれまでだが、なかなか「100切り」できないで苦しんでいるゴルファーが参考にすべき考え方・工夫が多々あると思うので紹介する。

著者自身のまとめは以下の通り:

  • 標数値と期限を設定する(1年以内で100を切る)。
  • シンプルな練習を心がける(ドライバーショットの安定、セカンドで確実に打てるクラブを作り、グリーン周りから3打以内でホールアウトできるように練習する)。
  • コースでは無理をしないマネジメントを心がける。打てるクラブしか打たない。

まず自信を持って打てるクラブしか実戦では使わない。そのためにクラブをドライバー、7番アイアン(7I)、AW の 3本に重点を置いて練習する。この 3本以外に練習するのは 5W、9I、SW、そしてパター。

独学するが我流に陥らないため、DVD の映像で学ぶ。鶴見功樹、高松志門、江連忠が心の師。鶴見功樹からスイングの基本を学び、高松志門から「ゆるゆるグリップ」をはじめとする実践的な内容を学ぶ。江連忠からはショートゲームやパッティングのコツを学ぶ。

著者なりの開眼ポイントは四つあるが(ゆるゆるグリップ、フィニッシュをきっちりとる、左腕が伸びている、ハンマー投げのイメージでヘッドを感じる)、特に強調されているのが高松志門の「ゆるゆるグリップ」。これによりシャフトがしなり、ヘッドが走るようになる。力みが取れてフェースターンが自然にできるようになる。それに加えて、自分自身がヘッドであるという強い意識を持つ(ヘッドがスイング中にどう動いて、どこにあって、インパクトに向けてきちんと戻ってこられるのか、そこに意識を集中させる)ことで、球が曲がらなくなり距離が伸びたという。

100ヤード以下の距離の打ち分けは、AW と SW のピッチショットで徹底的に練習する。またグリーン周りのころがすチップショットは「クラブ固定」ではなく「振り幅固定」、同じ打ち方だが、クラブを変えることで距離を調節する。

そして実際にコースに出たら「上手に打てないクラブは使わない。」この割り切りが素人にはなかなかできないことである。著者に言わせると、3割くらいの確率でしか打てないクラブは実戦投入できない。そしてそのその裏返しでもあるが、 7I 以下にかなり自信を持っていることが推察される。ドライバーで 230ヤード飛ばした後の 2打目以降は 7I 以下できっちり距離を合わせる(8I、9I のみならず 10I や 11I まで持っている)。グリーン周りは自分が得意の振り幅のチップショットで、クラブを変えて寄せていく。グリーンに着実に乗せるアイアンショットとアプローチを身につけていると思われる。

ドライバー以外は、7I 以下の易しいクラブをまずマスターする。そしてそれだけでも 90 が切れることを身をもって証明したという点で、この本の価値はある。工学の研究者らしく、人とは違うこと・やり方を志し、また失敗の原因分析をして、練習に創意工夫をこらしている。その意味では、理系出身のゴルファー、あるいは研究者ゴルファー必読の書と言ってもよいかもしれない。

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