「スイングの状態は悪くはない」と思っていたのだが、黒ティーからだとミスが多く、スコアメイクできない。どんどん下手になってきている気さえする。そんな弱気の虫が顔を出し始めている。
ゴルフスクールのコーチに「力んで上半身から打ちに行って、その結果、下半身が暴れている」という症状を伝えた。「実際にその姿を見ていないから正確なことはわからないが」と前置きがありつつも、コーチによる分析は次の通り:
- フルバックという距離の長さと、上級者とラウンドすることにやられているのではないか。「飛ばさなきゃ」「ミスできない」と、無意識に力が入っている
- ところが飛ばない構えから「飛ばそう」と力を入れてしまうので、ミスになる
そして、ハーフショットの練習を勧められた。フルショットではわかりづらいが、ハーフショットの練習を通して何か気づくことがあるはず、というのである。
- 7I を使って、「飛ぶアドレス・構え」からハーフショットを徹底的にやる
- 骨盤を後ろに置いて前傾させる。少し遠めに球を置く
- ハーフショットのフィニッシュをピタッと決める
- 最初は飛距離を気にしなくてよいが、慣れてきたらハーフショットのままできるだけ遠くに飛ばす
- ハーフショットを徹底的にやることで、何か気づくことがあるはず
コーチが他の生徒を見て、1時間ほどで僕のところに戻ってくる。だが残念ながらそれまでに、何か気づきを得ることができなかった(かなり重症である)。そこで次なるコーチのアドバイスは
- ハーフショットよりも振り幅を狭めて、クォーターショットで、できるだけ遠くに飛ばしてみる
というものであった。
そしてようやく気づいた。ヘッドが走らず、ボールを強くヒットできていなかったことに。
インパクトの瞬間に手首をリリースして、ヘッドをビュンと走らせる感覚、そしてボールを強くヒットする感覚を、やっとのことで思い出した!
インパクトでヘッドを走らせると、ハーフショットでもかなり飛ばすことができる。要するに、スイング自体はおかしくなっていなかった。ただインパクトの瞬間に強くヒットする感覚が失われていたのである。
競技に出てスコアにこだわるゴルフをする、上級者とまわる…。その経験自体は重要だが、知らず知らずのうちに「合わせるスイング」「流すスイング」になっていた。ミスをしたくない気持ちから、「クラブを振る」という一番重要なことを忘れていた。これでは飛ばない。飛ばないから、フルバック(黒ティー)からまわると、力んでミスショットとなる。
忘れていた感覚、そして力まなくても飛ばせることを思い出すことができ、コーチには「吹っ切れた?」と声をかけられた。
せっかく思い出した感覚を忘れずに定着させるべく、2日後の自主練習で、もう一度、ハーフショットで遠く飛ばすことを行った。そして少しづつバックスイングの振り幅を大きくして、フルショットにしていく。
- インパクトの瞬間に、手首のリリースを使って、ボールを強くヒットする
- ヘッドをビュンと走らせる
- インパクトの瞬間、グリップ圧が強くなり、グリップエンドを入れ替えるような感覚がある
- グリップエンド側にブレーキをかけて、ヘッドを走らせる感覚
- それと同時に、体をターンさせて、さらにヘッドスピードを上げる
- 地面を叩くことを怖れない
この時、フィニッシュをピタッと決めることが大切である。練習場ではできても、本番のコースではなかなか決まらない。それだけ上半身が力んでいるという証拠である。
この練習を通じて、わざわざフルショットせずとも、ハーフショットないしスリークォーターショットくらいのバックスイングから、強い球を打つことができることがわかった。一番手ほど距離は落ちるが、精度は上がる。ショットのバリエーション、コントロールショットの一つの方法として、追求してよいかもしれない。
もしかしたら阿河徹プロが提唱する「圧力系」インパクトに通じる道かもしれない。ハンドファースト・インパクトのためには、右手首の角度をキープしてアーリーリリースを抑えるが、それを意識し過ぎるとボールを強くヒットできない。インパクトの瞬間に手首をリリース、グリップエンドにブレーキをかけることでヘッドを走らせる。それによってボールに強い圧をかけることにつながる。
ハーフショットで強い球を打つことも、阿河プロが基本練習と呼ぶ「9時・4時スイング」と相通じるものがある。改めて読み直してみよう。
そんなことに思いを馳せていたら、目の前の打席に練習場(ニューウイングゴルフクラブ)所属の矢部昭プロが登場した。顔馴染みの生徒さんをじっくり教えている。コーチが親しみを込めて「大先生」と呼ぶ、師匠の師匠みたいな存在であり、心なしか緊張する。そういえば矢部昭プロの練習法をコーチから教わっていたのだった。