久富章嗣『月いちゴルファーが、1年でシングルを目指す方法』は、その題名通り、月1回程度ラウンドする「90台」のゴルファーが、1年後にシングルが見えてくるスコア「82」を目指す上達方法論を示した本である。
その骨子は次のようにまとめられる:
- スコアメイクの鍵は、ショットの安定性である
- 目的の場所までボールを運ぶハーフショットを極める
- ドライバーは安定して 150ヤード(キャリー、ランを入れたら 180ヤード)運ぶ
- 徹底してボギー・ベースのコースマネジメントを行う
- 必ずボギーオンして「狙ってボギーが取れる」ようにする
- 第1打と第2打で、グリーン手前 50ヤードに運ぶ
- 50ヤード以内からは3打以内で上がる
倉本昌弘プロの「90 を切るゴルフ」や「シングルへの道」(平均 85)に通じる考え方であるが、後述するようにハーフショットと 50ヤード以内のアプローチショットを極める必要がある。フルショットで飛ばすことよりも、ハーフショットとクォーターショットの安定性を極める方が、時間はかからないし、練習量の少ない「月いちゴルファー」には、それが最短の道であると提唱する。
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スコア 82 を出すためにハーフ 41、「4パー 5ボギー」が目標になる。90台のゴルフから 82 を目指す道のりを、7段階で示している:
- 狙ってボギーが取れる実力をつけ、すべてのホールでボギーオンを狙う。
- すべてのホールでボギーオンを実現する。
- すべてのホールで 3m 以内のボギーオンを狙う。
- 3m 以内のボギーオンをできるだけ増やす。
- ボギーオン 1パットのチャンスを待つ。ただし、狙わない。
- すべてのホールで 3m 以内にボギーオンする。18回のパーチャンスを作る。
- 18回のパーチャンスで淡々とパーが来るのを待つ。→ 8ホールで実現すればスコア 82。
もちろんボギーオンを狙っていると、パーオンすることもあるだろう。バーディの可能性もある。そうすれば 82 の可能性はさらに広がる。
まず求められるのはスイングの「安定性」であり、そのためには振り幅の小さいハーフショット、力をコントロールしてブレをなくすハーフスイングに徹すること。大きめのクラブでハーフスイングをすること。そして苦手なクラブを徹底的に練習すること。
そしてボギーオンのマネジメントを実践するには、アプローチショットを極める必要がある。第3打、50ヤード以内からは確実にグリーンに乗せなければならない。ファーストバウンドをフロントエッジの先に落として、ランでピンに寄せるアプローチである。ランの量はクラブ選択でコントロールし、基本はクォータースイングで転がすこと。
この方法論に基づく年間の上達スケジュールを示したのが下図である:
そして本の最後に、スコア「82」への5箇条がまとめられている:
- 第1打と第2打のフェアウェイキープ率を 100% にすること。
- 2打で、グリーン手前 50ヤードのフェアウェイまで確実に運びます。
- 18ホールすべてでアプローチ 3m 以内を目指すこと。
- 50ヤードから 100% グリーンオンできる自信をつけてください。
- 自分のリズムをつくること。
- ボギーオンのゴルフに徹し、ラウンド中は決してリズムを壊さないことです。
- チャンスは求めず、待つこと。
- リズムをつくりながらパーが来るのを待つ。この余裕がゴルフの極意です。
- 致命的なミスを絶対にしないこと。
- ナイスショットへの誘惑に打ち勝つことがスコアメイクにつながります。
僕がなかなか 90 を切れないのは、パーオンできる地点にボールがあると、グリーンを狙ってしまうからである。フルショットをするとミスの確率が上がり、バンカーなど難しいところから第 3打を打つことになる。グリーンを狙うのではなく、安定性のあるハーフショットの第 2打でグリーン手前 50ヤードに確実に運ぶことを徹底する。そうすることで確実にボギーを取り続けるのがこの本の教えだが、この「グリーン 50ヤード手前に刻む」選択が、なかなか僕にはできない。
ここに大きな分かれ道があると思う。この考え方を変えない限り、万年 B クラスということなのかもしれない。一度騙されたと思って、この本のやり方を試してみるのがいいのだろうか?
因みに、僕のコーチの教えは
- とにかく振れ!(当てに行くな)
- グリーンを狙える距離なら、狙わなきゃダメ!
- FW はグリーンを狙うクラブ
と、この本とは真逆である。スコアにこだわり過ぎると、バックスイングが浅くなる。バックスイングが浅いと手打ちになる。コントロールショットはもちろん重要だが、フルスイングを封印してハーフスイングに徹底するというこの本の考え方とは異なる。
この本の中で、たとえば「リズムを壊さず、パーが来るチャンスを淡々と待つ」など「なるほど」と思う考え方もある一方で、ハーフスイングとボギーオンに徹するやり方を踏襲することについては、まだ決心がつかない。
ただし、フェアウェイキープ率を上げること、そしてボギーオン率 100% をめざすことは、当面の僕の目標とするべきだろう。
そして改めて、最近パーを量産し始めている飛ばし屋の友人(ライバル)たちを羨ましく思う。彼らは「ボギーオンするために 50ヤード手前に刻む」ことなど考えないだろうし、そうする必要もないだろう。